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*** あ ***              

 ◆ 哀哀父母 あいあいふぼ
 子を生み育てて苦労を重ねてくれた父母。
 苦労を重ねて死んだ父母の死と、その恩に報いることができなかったことを悲しみ嘆き、親を慕う情を表した語。「哀哀」は悲しむさま。「哀哀(あいあい)たる父母(ふぼ)」とも読む。
 ◆ 合縁奇縁 あいえんきえん
 人と人の気が合うのも、合わないのも全て不思議な縁によるものだという事。
 「縁」は、めぐり合わせ。「合縁」は「愛縁」「相縁」、「奇縁」は「機縁」とも書く。特に男女・夫婦・友人の仲について言う。
 ◆ 曖昧模糊 あいまいもこ
 物事の本質や実体が、ぼんやりして何かはっきりしない様子。
 「曖昧」も「模糊」も同じ意味で、二つの言葉を重ねることによって、より強調したもの。この二字で最初と最後を表す。密教ではこれを一切の原初と窮極を象徴するものとして阿を万有が発生する理念の本体、吽をそれが帰着する知徳を意味するものとする。
 ◆ 愛別離苦 あいべつりく
 親子・兄弟・夫婦など愛する者と生別・死別する苦しみ。
 仏教でいう「四苦八苦」のひとつ。四字熟語のほとんどは二字ずつの区切り(○○−○○)となっているが、この語は例外で「愛別離−苦」となる。
 ◆ 哀悼痛惜 あいとうつうせき
 人の死を悲しみ惜しむ気持の伝統的表現
 「哀悼」は、人の死を悲しみ悼むこと。「痛惜」は、ひどく悲しみ惜しむこと。
 ◆ 愛多憎生 あいたぞうせい
 度を過ぎて愛情を受けることは第三者の憎しみをかい、身の破滅のもと。人の愛情に甘え過ぎてはいけないということ。
 「愛多ければ憎しみ生ず」とも読む。
 ◆ 哀訴嘆願 あいそたんがん
 なりふりかまわず、心の底から願い出ること。
 「哀訴」は、哀しそうに訴えること。「嘆願」は、嘆きながら願い出ること。
 ◆ 愛執染着 あいしゅうぜんちゃく
 男女の愛欲の執着。
 愛にとらわれるの意。愛染の語源。
 ◆ 相碁井目 あいごせいもく
 何事につけても人の実力は上下さまざまであること。
 「相碁」は、同程度の腕前の人どうしが打つ碁。「井目」は、四角の中に「井」の字を書くと、「囲」の形になり、九つに区分されることから。碁盤の目の上に記した九つの黒い点をいう。囲碁で、両者の実力に大差のあるときは、弱い人があらかじめこの九点に自分の石を一つずつ置いて、有利にすること。「相碁聖目」「相碁星目」とも書く。
 ◆ 愛月撤灯 あいげつてっとう
 物に対する偏愛の程度が烈しいこと。
 月の光を愛すると、灯燭の明かりを消したくなることから。「月を愛して灯(ともしび)を撤(てっ)す」と訓読する。
 ◆ 哀矜懲創 あいきょうちょうそう
 懲罰を与えるには、相手を思いやる情が必要であること。罰はその罪を悔い改め、人生に新たな道を開くためのもので、悲しみ哀れみの心をもって行うべきことをいう。
 「哀矜」は、悲しみ哀れむこと。「懲創」は、こらしめること。
 ◆ 哀毀骨立 あいきこつりつ
 親との死別にひどく悲しむこと。父母の死に嘆き悲しんでやせおとろえ、骨と皮ばかりになること。
 「毀」は、悲しみのためにやせること。
 ◆ 愛及屋烏 あいきゅうおくう
 愛する人に関わる全てのものが好ましく思えること。
 愛するあまりに、その人の家の屋根にいるカラスまで好ましくなるという意から。「愛は屋烏に及ぶ」と訓読みする。
 ◆ 愛屋及烏 あいおくきゅうう
 愛する人のすべてが好ましく思えること。
 人を愛すると、その家の屋根にいるカラスまで好ましくなるという意から。「屋(おく)を愛して烏に及ぶ」と訓読する。
 ◆ 阿吽二字 あうんにじ
 「阿」は最初の字音、「吽」は最後の字音。
 この二字で最初と最後を表す。密教ではこれを一切の原初と窮極を象徴するものとして阿を万有が発生する理念の本体、吽をそれが帰着する知徳を意味するものとする。
 ◆ 青息吐息 あおいきといき
 非常に困ったときに出す元気のないため息。また、そのため息のでる状態。
 「青息」は、苦痛を我慢できないときの息。
 ◆ 阿衡之佐 あこうのさ
 天子を補佐する賢臣、名宰相のたとえ。
 「阿衡」は、摂政・関白の異称。中国の殷の湯王が宰相の伊尹をこう称したところから。
 ◆ 鴉雀無声 あじゃくむせい
 ひっそりとして声ひとつないこと。静まりかえっていることのたとえ。
 カラスやスズメなど鳥の鳴き声のない意から。「鴉」は、カラス。「鴉雀(あじゃく)声(こえ)無(な)し」と訓読する。
 ◆ 鴉巣生鳳 あそうせいほう
 愚かな親にすぐれた子が生れるたとえ。また、貧しい家にすぐれた人物が生れるたとえ。
 「鴉」は、カラス。「鳳」は、大型の鳥の総称。「鴉巣に鳳を生ず」と訓読する。
 ◆ 悪漢無頼 あっかんぶらい
 悪いことや乱暴なことなどをする男性。
 「悪漢」は、悪い男。「漢」は、男。「無頼」は、「無頼漢」の略で、信頼できない男。
 ◆ 悪衣悪食 あくいあくしょく
 粗末な衣服と粗末な食べ物。豊かでない生活のたとえ。
 『論語』に由来。孔子の「悪衣悪食を恥ずる者は、未だ与(とも)に議するに足らず」ということばから。
 ◆ 悪因悪果 あくいんあっか
 悪いおこないが原因となって悪い結果の生ずること。
 「悪因」悪い原因、「悪化」は悪い結末。
 ◆ 悪逆無道 あくぎゃくむどう
 人道理にはずれたひどい悪事を行うこと。道徳にそむく残酷な行為。
 「悪逆」とは十悪の一つで、父母や主君を殺すような大罪。「無道」は人の道に外れること。「あくぎゃくぶどう」とも読む。
 ◆ 悪逆非道 あくぎゃくひどう
 人の道を外した邪な行い。
 「悪逆」「非道」それぞれが同様の意味を持ち、重ねて言うことで意味を強めた言い方。極悪非道、悪逆無道などのようにも言う。
 ◆ 悪事千里 あくじせんり
 悪いことはどんなに隠してもたちまち評判になり、世間に知れ渡ってしまうということ。
 「悪事」は悪い行い、「千里」は、遠くかなたまでの意で、広い世間のこと。「悪事千里を行き、好事門を出でず」から来た語。「悪事千里を行く」「悪事千里を走る」の形で用いられることが多い。
 ◆ 悪酔強酒 あくすいきょうしゅ
 望んでいることと、実行することが相反すること。
 酒に酔うことはよくないと思いながらも、無理に酒を飲むことから。「悪酔」は酔うことをよくないと思うこと。「強酒」は無理に酒を飲むこと。「酔よいを悪にくみて酒さけを強しう」と訓読する。
 ◆ 悪戦苦闘 あくせんくとう
 死にものぐるいの苦しい戦い。困難な状況の中で苦しみながら努力すること。
 ◆ 悪人正機 あくにんしょうき
 人間は如来の本願にすがってこそ救われる。自分を悪人と思う人は、まさに本願他力の正しい機会を得ているという意味。
 「悪人」とは自己の罪を自覚する者のこと。また、「正機」は悟りを得る資質を備えていること。親鸞の浄土真宗の中心となる教え。
 ◆ 握髪吐哺 あくはつとほ
 人材を得ようとして努めること。また、すぐ人に会うこと。どんな時にも客人を待たせない努力。
 【故事】 中国の周公旦は、来客があったとき、入浴中であれば洗いかけの髪を握り、食事中であれば口の中の食べ物を吐き出し、すぐに客を出迎えた。「髪を握り哺を吐く」と訓読みする。「吐哺握髪(とほあくはつ)」ともいう。略して「吐握」ともいう。
 ◆ 悪木盗泉 あくぼくとうせん
 どんなに苦しくても道に背くようなことはしない、してはならないという教え。また、不義、悪事には決して近付くな、ということ。
 【故事】 中国の春秋時代、孔子が「盗泉」という名の泉のそばを通ったとき、のどが渇いていたが、その名が悪いといって水を飲まなかったという故事による。
 ◆ 悪魔調伏 あくまちょうぶく
 仏教で、人に害をなす化け物を、祈祷によって人間の意に従わせること。
 仏教語の一つ。「調伏」は、祈祷によって悪魔を従わせること。
 ◆ 阿修羅道 あしゅらどう
 強い闘争心と猜疑、嫉妬、執着の心をいう。
 地獄、餓鬼、畜生、人間、天上と並んで六道のひとつとされる修羅道の世界。
 ◆ 唖然失笑 あぜんしっしょう
 あっけにとられて、思わず笑ってしまうこと。
 「唖然」は、あっけにとられるさま。「失笑」は、自然と笑いが出てしまうこと。
 ◆ 悪鬼羅刹 あっきらせつ
 :恐ろしい魔物のたとえ。
 「悪鬼」は、人に悪いことをする化け物。「羅刹」は、足が速く力が強く、人をだまし、人を食うという魔物。「あっきらさつ」とも読む。
 ◆ 悪口雑言 あっこうぞうごん
 口にまかせて様々に悪口を言うこと。いろいろ罵ること。また、その言葉。
 「雑言」は、あれこれ悪口を言うこと。
 ◆ 阿鼻叫喚 あびきょうかん
 が[阿鼻叫喚]の意味です
 悲惨な状態に陥り、泣き叫んで救いをもとめるようすのたとえ。仏教語の一つ。「阿鼻」は仏教でいう八大地獄の一つ、無間地獄のこと。大悪を犯した者が落ちる地獄。「叫喚」は、大声でわめき叫ぶこと。
 ◆ 阿鼻地獄 あびじごく
 非常に悲惨な境遇。
 仏教語の一つ。仏教で、最も奥深くにあり、最も苦しい地獄。八大地獄の一つ。「阿鼻」は、梵語からの音訳語で、絶え間ない。「地獄」は、生前に悪事をした者が死後落ちて責め苦しめられる所。
 ◆ 阿附迎合 あふげいごう
 相手の機嫌をとり、気に入られようと努めること。
 「阿附」は、へつらい付き従うこと。「迎合」は、自分の考えを曲げてでも、他人の気に入るように調子を合わせること。「阿付迎合」とも書く。
 ◆ 蛙鳴蝉噪 あめいせんそう
 ただやかましく騒ぐこと。騒がしいばかりで役に立たない議論や文章のたとえ。無用な口論についてもいう。
 カエルや蝉がやかましく鳴き立てることにたとえて。「蝉噪蛙鳴(せんそうあめい)」ともいう。
 ◆ 阿諛迎合 あゆげいごう
 相手の気に入るように、おもねりへつらうこと。
 「阿諛」は、顔色をみて、相手の気に入るように振る舞うこと。「迎合」は、自分の考えを曲げてでも、相手の気に入るようにすること。
 ◆ 阿諛追従 あゆついしょう
 こびへつらうこと。相手に気に入られようとしてこびること。
 「阿諛」は、顔色をみて、相手の気に入るように振る舞うこと。「追従」は、こびへつらうこと。また、その言動。
 ◆ 阿諛便佞 あゆべんねい
 口先でへつらって、ずるがしこく人の気に入るように立ちふるまうこと。
 「阿諛」は、顔色をみて、相手の気に入るように振る舞うこと。「便佞」は、口先はうまいが、心に誠実さのないこと。また、その人。「阿諛弁佞」とも書く。
 ◆ 暗雲低迷 あんうんていめい
 今にも雨が降り出しそうな場合のように、危険なよくないことが起こりそうな気配。不穏な情勢。
 「暗雲」は今にも雨が降り出しそうな低く垂れこめた暗い雲。先行きに不安を感じる場面で用いられることが多い。
 ◆ 安居楽業 あんきょらくぎょう
 居所、地位も安定し楽しく仕事をしているさま。
 平和で安定した暮らしぶりの形容。「居に安んじ、業を楽しむ」「安居して業を楽しむ」と訓読する。
 ◆ 暗香浮動 あんこうふどう
 暗闇に中を花の香りがかすかに漂ってくること。特に、梅の花の香りについて言うことが多く、かすかに訪れる春の兆しをいう。
 「暗香」は、どこからともなく漂うよい香り。また、暗闇の中に漂うよい香り。特に詩などで梅の香りをいうことが多い。
 ◆ 暗黒沈静 あんこくちんせい
 周辺一帯暗闇となり、静まり返っていること。
 「暗黒」は、暗闇。
 ◆ 暗黒時代 あんこくじだい
 文化や道徳の堕落した時代。また、戦乱の時代などをいう。
 「暗黒」は、暗闇。転じて、世の中の道徳や文化が衰えていること。
 ◆ 晏子之御 あんしのぎょ
 低い地位に満足して得意がる小人物。また、主人の権威を笠にきて威張ることのたとえ。
 【故事】晏嬰の御者が、宰相の馬車の御者であることを得意にしていたのを、その妻が恥じて離縁を求めた。御者は大いに恥じて精励し、晏嬰に認められて、大夫に出世したという故事から。
 ◆ 安車蒲輪 あんしゃほりん
 老人をいたわり、大事にすること。また、賢者を優遇してもてなすこと。
 「安車」は、天井が低く座って乗る老人・女性用の車。「蒲輪」は、蒲の穂で車輪を包むことによって振動を和らげ、乗り心地をよくしたもの。
 ◆ 安常処順 あんじょうしょじゅん
 平穏な日々に慣れ、順境に身をおく状況。無風状態の平和でのどかな暮らしをいう。
 ◆ 安楽浄土 あんらくじょうど
 現実の世界のような苦悩はなく、一切の心配やけがれなどもなく、安心して楽しく生活できる清浄な国土。
 ◆ 安歩当車 あんぽとうしゃ
 貧乏に安んじて我慢するたとえ。誰でも歩くよりは車に乗るほうがいい。しかし、買えるほど財産がないから車のかわりにのんびり歩こうということ。
 ◆ 按兵不動 あんぺいふどう
 しばらく様子を見て好機が来るのをじっと待つこと。
 兵をじっとおさえて動かないということから。
 ◆ 安分守己 あんぶんしゅき
 おとなしくして自分の仕事をして己の分際、本分を守る生き方のこと。
 「分に安んじ己を守る」と訓読する。
 ◆ 安穏無事 あんのんぶじ
 穏やかで、事件や事故などがないこと。
 「安穏」は、安らかで、穏やか。
 ◆ 安寧秩序 あんねいちつじょ
 世の中が平穏で公共の安全や社会の秩序が保たれていること。やすらかな状態。
 「安」も「寧」も安らかな状態を意味し、「秩序」は社会や集団などを正しい状態に保つための順序や決まりのこと。
 ◆ 安如泰山 あんにょたいざん
 泰山のように微動だにしない安定したさまをいう。
 「泰山」は山東省にある名山。
 ◆ 暗渡陳倉 あんとちんそう
 男女が密かに通じあうたとえ。
 策略をもって相手を迷わせるという意から。「暗(ひそ)かに陳倉に渡る」と、訓読みする。「陳倉」は、地名。
 ◆ 安土重遷 あんどじゅうせん
 郷里や住み慣れた土地を離れたがらないのも人の情であることをいう。
 「土」は、郷土。「遷」は、移ること。「土に安んじて遷(せん)を重(はばか)る」と訓読する。
 ◆ 暗闘反目 あんとうはんもく
 互いに敵意を表面に現さないで争うこと。ひそかににらみあうこと。
 「暗闘」は、互いに敵意を表面に現さないで争うこと。「反目」は、にらみあうこと。
 ◆ 暗中模索 あんちゅうもさく
 手がかりや糸口がつかめないまま、あれこれと考え、やってみること。
 暗闇の中で物を手探りする様子から来ており、確信のない探究や作業をいう。「暗中摸索」とも書く。
 ◆ 暗中飛躍 あんちゅうひやく
 人に知られないように秘密のうちに策動・活躍すること。
 主に政治的な活動にいう語で、今は略語の「暗躍」を使うのが一般的。
 ◆ 暗澹冥濛 あんたんめいもう
 暗くてはっきりせず、先が見えないようす。前途に希望のないことのたとえ。
 「暗澹」は、薄暗くてはっきりしないようす。「冥濛」は、奥深く暗いようす。
 ◆ 安宅正路 あんたくせいろ
 仁と義。人としてふみ行うべき道のこと。
 「安宅」は、身を置くのに安全な住居ということから、仁の道のたとえ。「正路」は、人の正しい道であるということから、義のたとえ。
 ◆ 暗送秋波 あんそうしゅうは
 ひそかに色目を使うこと。
 「暗送」は、ひそかに送ること。「秋波」は、秋の澄んだ水の波から、美人の涼しげな目もとを指し、転じて、人にこびる目つき、流し目の意となった。「暗に秋波を送る」と訓読する。
 ◆ 黯然銷魂 あんぜんしょうこん
 悲しみや愁いに打ち沈むさま。悲嘆にくれ悄然として魂が抜けたような状態をいう。
 「黯然」は、悲しみ、絶望などで心がふさぐさま。「銷魂」は、驚きや悲しみのあまり、気力を失うこと。
 ◆ 按図索駿 あんずさくしゅん
 実際の役に立たない知識や行動のこと。
 生きた実物の馬を知らないで、絵や書物による知識に頼り、駿馬を探し求めるという意から。「按」は、よく調べること。
 ◆ 安心立命 あんしんりつめい
 天命に身を任せて心を動かさず、煩悶もないこと。いかなる場合にも心が落ち着いていること。
 「安心」は心配がないこと。「立命」は、天から与えられたものを全うすることで、天命に身を任せて心を動かさず、生死や利害に惑わされずに超然としているという意味。「あんじんりつめい」「あんじんりゅうみょう」「あんじんりゅうめい」とも読む。
 ◆ 悪婦破家 あくふはか
 悪妻は夫の一生をだいなしにし、家庭を壊すということ。
 ◆ 按部就班 あんぶしゅうはん
 文章の構成に応じて語句を選択して使用すること。順序を追って実行する。
 段取りを踏んで事を運ぶたとえ。
 ◆ 愛楊葉児 あいようように
 物事の真理をより深くきわめようとしないこと。
 幼児が落葉の季節に、黄色くなった楊の葉を見て黄金と見間違えることから。「楊葉」とは、川柳の葉。

*** い ***                

 ◆ 一笠一杖 いちりゅういちじょう
 笠ひとつ、杖ひとつ。束縛するものがない身軽な身になって旅をすることのたとえ。
 ◆ 意中之人 いちゅうのひと
 思いを寄せる相手。心に思い定めた人のこと。特に、恋しく思っている異性、恋人についていう。
 任務の適任者の候補などにつかうことがある。
 ◆ 一五一十 いちごいちじゅう
 事の始めから終わりまで。最初から最後まで全部もれなく、すべて。
 一から十までということで、すべての意。「一伍一什」とも書く。
 ◆ 一体分身 いったいぶんしん
 一つの物事をもとにして、そこから分かれ出たいくつかの物事。一つのものからいくつかに分かれること。また仏教で、諸仏菩薩(しょぶつぼさつ)が衆生を救うために、さまざまに化身して出現すること。
 後者は「いったいふんじん」とも読む。仏教の言葉で、世の人々を救うために、仏が様々な姿になった現れたということから。
 ◆ 異域之鬼 いいきのき
 他国で死ぬこと。またその遺体が本国に戻らない死者の魂をいう。
 「異域」は、外国のこと。「鬼」は、死者の霊魂。故郷から離れて、外国に留まり続けている死者の魂という意味から。
 ◆ 唯唯諾諾 いいだくだく
 事事の善悪・是非をかまわず、他の意見に盲従すること。人の言いなりになるようす。
 「唯唯」は、他人の意見に逆らわずに従うこと、「諾諾」は、自分の意見を持たずにうなずくことを意味する言葉。唯々諾々。
 ◆ 医鬱排悶 イウツハイモン
 気がふさがるのをいやし、気晴らしすること。
 「医鬱」は、うっぷんを晴らすこと。「排悶」は、気晴らしをすること。似た意味の言葉を重ねて強調したもの。
 ◆ 易往易行 イオウイギョウ
 たやすく往生でき楽に修行できる。
 南無阿弥陀仏と唱えるだけで極楽往生できると説く、他力念仏の浄土系の教えをいう。
 ◆ 位階褫奪 イカイチダツ
 官職を取り上げること。
 「褫奪」は、剥奪すること。
 ◆ 移花接木 イカセツボク
 ひそかに人や物を取り替え、表面をつくろうこと。巧みにすり替える。
 花の枝を接ぎ木するという意から。
 ◆ 衣冠盛事 イカンセイジ
 名門の家に生まれて功績をあげ、その家の盛んな名声を引き継ぐこと。また、その者。
 「衣冠」は衣服とかんむりの意から、立派な家柄・名門をいう。「盛事」は立派な事業、また、盛大な事柄。
 ◆ 遺憾千万 イカンセンバン
 が[遺憾千万]の意味です
 残念で仕方ないこと。非常に心残りであること。くちおしくてならない。
 「遺憾」は、恨みを残したり、残念に思うことの意で、「千万」は、それがひどい状態。
 ◆ 衣冠束帯 イカンソクタイ
 公家の正装。朝廷に出仕するとき、着用する服装。公卿(くぎょう)の正装。
 「束帯」は天皇以下文武百官が朝廷の公事に着用する正服。「衣冠」は、束帯を簡略化した服装のこと。衣冠と束帯の区別があまりされなくなった江戸時代後半からの語。
 ◆ 意気軒昂 イキケンコウ
 意気込みが盛んな様子。元気や勢力の盛んなさま。
 「軒」「昂」ともに、高く上がる意味で、意気込みや心持ちが高揚してくることをいう。
 ◆ 意気昂然 イキコウゼン
 意気込みが盛んなようす。
 「昂然」は、自信に満ちて、意気の盛んなさま。
 ◆ 意気自如 イキジジョ
 不屈の心。元気が元のままで少しもくじけないさま。
 「意気」は気力や気概、「自如」は動じない様子。「自若」とおなじ。
 ◆ 意気消沈 イキショウチン
 元気をなくし、沈みこむこと。
 「消沈」はもと「銷沈」と書いた。⇒「意気銷沈」
 ◆ 意気衝天 イキショウテン
 非常に元気なこと。意気込みが天をつくほど盛んなこと。大いに意気のあがる状態。
 「意気」は気力や気概、「衝天」は天を衝くほど高いという意味。「意気天を衝く」と訓読みする。
 ◆ 意気阻喪 イキソソウ
 元気を失う様子。意気込みがくじける様を言う。
 「意気」は気力や気概。「阻喪」は勢いを失い元気や勢いがなくなること。「意気阻喪」とも書く。
 ◆ 意気投合 イキトウゴウ
 お互いに気持ちが通じ合い、一体感を感ずる。互いの気持ち、考えなどがぴったりと一致して親しくなること。
 「投」「合」は、ともに音や人の気持ちなどがぴったり合うという意。
 ◆ 以杞包瓜 イキホウカ
 高位の者がへりくだって賢者を求めること。
 杞(高木の葉=高位の者)をもって瓜(うり=賢者)を包むこと。
 ◆ 意気揚々 イキヨウヨウ
 気持ちが高揚し、いかにも誇らしげに振る舞う様子。威勢がよく得意そうなさま。
 「揚揚」は誇らしげなさまの意。
 ◆ 委曲求全 イキョクキュウゼン
 委曲を尽くして全体の調和をはかること。また全体がうまくいくように細かいことは譲歩するたとえ。
 「委曲」は詳しく細かにすみずみまで行き届いていること、対象となるものに任せ従う意。
 ◆ 以魚駆蠅 イギョクヨウ
 物事の処理・解決に間違ったやり方・手段を用いるたとえ。
 魚で蠅を追うとかえってますます蠅が寄ってくることから。
 ◆ 衣錦還郷 イキンカンキョウ
 ぜいたくな衣服を着て故郷へ帰る。立身出世して生まれ故郷へ帰ること。
 「錦を衣(き)て郷に還(かえ)る」と訓読する。「錦」は金や銀などの糸で織り込んだ美しい絹織物のこと。
 ◆ 郁郁青青 イクイクセイセイ
 青々と生い茂り、よい香りを漂わせているさま。水際に生えたよろい草やふじばかまの様子をいった語。
 「郁郁」は、香りのよいさま。「青青」は、生い茂るさま。
 ◆ 異口同音 イクドウオン
 多くの人が、同じ言葉を口にすること。また、多くの人が一致して同じ意見をいうこと。
 「異口」は、異なった口の意で、多くの人々の言葉ののこと。「口」を「句」と書き誤りやすいので注意。
 ◆ 夷険一節 イケンイッセツ
 自分の運命が平穏であろうと、また険しく厳しいものであろうと、節操を変えずその職責を全うすること。
 「夷険」は、土地の平らな所と険しい所。
 ◆ 衣香襟影 イコウキンエイ
 よい香がしみこんだ着物を着込んだ姿。化粧して着飾った女性の形容。
 「衣香」は、衣服にたきしめる香。
 ◆ 異国情緒 イコクジョウチョ
 よその国の雰囲気や、気分。エキゾチシズム。
 「情緒」は、事に触れて起こるさまざまの微妙な感情や雰囲気。また、その周囲をとりまく雰囲気や気分。「いこくじょうしょ」とも読む。
 ◆ 為虎添翼 イコテンヨク
 強いものに、さらに勢いをつけること。虎に翼を添えるともう、かなう者はいない。
 ◆ 意在言外 イザイゲンガイ
 はっきり言わずに言外ににおわせる。
 文章でいうと行間に真意を含ませる表現法。
 ◆ 移山倒海 イザントウカイ
 大規模な工事のたとえ。
 自然を征服しようとするくらい意気込みの盛んなさまという意味から。
 ◆ 意識過剰 イシキカジョウ
 自分に対する周囲の目を、必要以上に気にすること。
 ◆ 意識朦朧 イシキモウロウ
 意識が不確実なこと。周りの状況がわからないくらい意識がかすんでぼんやりとしているさま。
 「朦朧」は、おぼろげなさま。
 ◆ 意志堅固 イシケンゴ
 物事をやり抜こうをする心が、しっかりとしていること。また困難な状況に置かれても我慢強いこと。
 「意志」は物事をやり抜こうとする心。「堅固」はかたいこと、心がしっかりしていること。
 ◆ 意思疎通 イシソツウ
 お互いの考えがよく通じること。
 「疎通」は、とどこおりなく通じること。
 ◆ 以耳代目 イジダイモク
 実際には見ていないのに聞いただけで見たことにする。他人の報告をそのまま信用すること。
 ◆ 意志薄弱 イシハクジャク
 意志が弱く、忍耐、決行などをなしえぬこと、がまん強さに欠けること。
 「薄弱」とは、弱くて、しっかりしていないこと。
 ◆ 意思表示 イシヒョウジ
 自分の考えや思いを、外部に表明すること。
 ◆ 石部金吉 イシベキンキチ
 非常に物堅く、融通のきかない人。
 まるで石や金でできているようだというところからきている。生真面目で男女の機微にうとい人をからかうときに使われる。より意味を強調した「石部金吉金兜」という言葉もある。
 ◆ 意趣遺恨 イシュイコン
 何かの手段で晴らさずにはいられないような、忘れ難い恨み。
 「意趣」は、心の状態。意向。ここでは、日本独特の用法で、恨み。「遺恨」は、忘れられない恨み。
 ◆ 遺臭万載 イシュウバンザイ
 悪名や、よくない評判を後世まで残すこと。
 「遺」は残すこと。「臭」は悪臭ということから、悪い噂や評判のたとえ。「万載」は万年という意味。
 ◆ 萎縮震慄 イシュクシンリツ
 生気を失い、恐怖で身をすくめていること。
 「震慄」は恐怖で震えること。「痿縮震慄」とも書く。
 ◆ 意趣卓逸 イシュタクイツ
 考え方がすぐれていること。
 「意趣」は、意向。「卓逸」は、抜きんでていること。
 ◆ 衣装道楽 イショウドウラク
 きれいな衣装を好んで着たり、たくさんもつことを好んだりすること。また、その人。着(き)道楽。
 ◆ 以升量石 イショウリョウコク
 小人の狭い心では大人物・賢人の大きな心を量り知ることは無理だ、ということ。
 ◆ 医食同源 イショクドウゲン
 医薬や食事ももとは同じ、天然のものに頼るのがいい。
 東洋医学の発想から生まれた予防医学的なたとえで、日常の食生活の中にも医療の根源があるということ。
 ◆ 一栄一辱 イチエイイチジョク
 人は社会の状況などによって、栄えることもあれば、恥辱にまみれることもあること。また、人の世のはかなさをいう。
 栄えているときは戒めとして、衰えているときは慰めの語として用いる。「辱」ははずかしめを受けること。「一」はあるときは、の意。
 ◆ 衣食礼節 イショクレイセツ
 生活が豊かになれば、道徳心が高まって礼儀を知るようになる。衣食足りて礼節を知る。
 「衣食」は衣服と食物のことから、生活に必要な品のこと。「礼節」は礼儀と節度のこと。「衣食足りて礼節を知る」という形で使われることが多い言葉。
 ◆ 以心伝心 イシンデンシン
 言葉や文字を使わなくても、お互いの意志が通じること。
 仏教語の一つ。仏教用語で、言葉や文字で表現することが難しい仏法の真髄を師から弟子の心に伝えることから。もともと禅宗で用いていた。「心を以て心に伝ふ」と訓読みする。
 ◆ 異体同心 イタイドウシン
 身体は異なっていても、心がお互いに一致していること。
 「異体」は異なる体のこと。「同心」は心が同じであること。夫婦や友人同士などの心が、互いに一致して固く結ばれていることのたとえ。
 ◆ 意先筆後 イセンヒツゴ
 書を作るに当たっては、まずその作品についての意図・構想を明確にさせてから書くべきだ。
 技法より作者の主体的なモチーフ、意図を重視した言葉。
 ◆ 衣帯不解 イタイフカイ
 あることに非常に専念すること。衣服を着替えることもせず、不眠不休で仕事に熱中すること。
 「衣帯」は着物と帯。「衣帯(いたい)解(と)かず」と訓読する。また、「不解衣帯(ふかいいたい)」ともいう。
 ◆ 異端邪宗 イタンジャシュウ
 正統でない異なる教え。
 「異端」とは、その世界や時代で正統とする信仰や思想などから、はずれていること。「邪宗」とは、不正な(人心を惑わす)宗旨・宗教。邪教。邪宗門。特に江戸時代、キリシタン宗のこと。
 ◆ 異端邪説イタンジャセツ
 正統でないよこしまな教え、思想、学説。聖人が行なうべきでない正しくない教え。
 「異端」は多くの人には認められず、少数の人によって信じられている主張や学説、宗教などのこと。「邪説」は道理に外れた主張や学説のこと。
 ◆ 一意攻苦 イチイコウク
 心を打ち込んで、苦しみながら考えること。
 「一意」は、一つの物事に集中すること。「攻苦」は苦難、苦境とたたかうという意味。転じて、苦心して勉強すること。
 ◆ 一意専心 イチイセンシン
 他に心を向けず、ひたすらひとつのことに心を集中すること。わき見をせずその事のみに心を用いること。
 「一意」とは、そのことだけに心を注ぐの意。「意を一にし心を専らにす」と訓読する。「一意摶心」とも書く。
 ◆ 一意奮闘 イチイフントウ
 心を一つのことに集中し、奮い立って戦うこと。また、力いっぱい努力すること。
 「一意」は、一つの事に心を集中すること。
 ◆ 一衣帯水イチイタイスイ
 一本の帯のような狭い川や海のこと。また、そのような水を隔てて近く接していること。または、互いの関係が非常に深いこと。
 【故事】陳の君主の悪政によって庶民が飢えと寒さで窮地に陥ったときに、隣国の隋の文帝が「たった一本の帯のような川(揚子江)に隔てられているからといって、民を見捨てることができるか」といって、陳の国を討伐したという故事から。
 ◆ 一栄一落 イチエイイチラク
 春になると花が咲き、秋には葉が落ちるところから。「一」は”ある時は”という意味。「栄」は繁栄すること。「落」は衰退すること。
 ◆ 一円一帯 イチエンイッタイ
 そのあたり一面。
 ◆ 一月三舟 イチガツサンシュウ
 仏道は一つであるのに、衆生の受け止め方で、種々の意味に解釈されるたとえ。
 止まっている舟から見る月は動かず、南へ行く舟から見る月は南に動き、北へ行く舟から見る月は北へ動くように見えるということ。「いちげつさんしゅう」とも読む。
 ◆ 一往一来 イチオウイチライ
 行ったり来たりすること。行き来すること。
 「往」は行くこと。「来」は来ること。 ※「一…一…」は「あるときは…あるときは…」の意。
 ◆ 一牛鳴地 イチギュウメイチ
 一頭の牛の鳴き声が聞こえるほどの近い距離。または、のどかな田舎、田園風景のこと。
 「牛鳴」とは牛の鳴く声のことで、牛の鳴き声が聞こえるほど近い距離という意から。「一牛鳴」とも略す言葉。「いちごみょうち」とも読む。
 ◆ 一芸一能 イチゲイイチノウ
 一つの技芸・才能。
 「芸」と「能」は技術や才能という意味。
 ◆ 一言一行 イチゲンイッコウ
 ひとつひとつの言葉や行い。何の気なしに言うことばや、何の気なしにする行為。
 「いちごんいっこう」とも読む。
 ◆ 一言居士 イチゲンコジ
 何にでも一言いわないと気のすまない人のこと。例え他人に言い尽くされ、何も付け加える内容が無くても、とにかくひとこと意見を言いたがる人。
 仏教語の一つ。「居士」は仏教の信者で、世俗を捨てずに家庭にいながら仏教の修行をする人のこと。または、死後につける男子の戒名の称号のこと。「一言抉(こじ)つける」を人の名前に似せた言葉。「いちごんこじ」とも読む。
 ◆ 一言隻句 イチゲンセキク
 ほんの短いことば。ちょっとしたことば。
 「隻句」は、わずかな言葉。「いちごんせきく」とも読む。
 ◆ 一言半句 イチゲンハンク
 ほんの少しの言葉。ちょっとした言葉。ひとこと。
 「半句」は、一言にも足りないほどのわずかな言葉。
 ◆ 一期一会 イチゴイチエ
 一生に一度の出会いのこと。また、そのことが生涯に一度限りであることを表し、人との出会いなどの機会を大切にすることのたとえ。
 「一期」は、人が生まれてから死ぬまでの間を意味する仏教語で、もともとは茶道の心得を説いた言葉だった(今日という日、そして今いる時というものは二度と再び訪れるものではない。そのことを肝に命じて茶会を行なうべきである)。「一会」は一度の会合や集会などの人の集まりのこと。もとは千利休の弟子の山上宗二が説いた茶人の心構え。 たとえ同じ人、同じ場所で茶会を開いたとしても、同じものになることはなく、毎回生涯で一度だけのものなので、主人も客も誠意を尽くすべきであるというもの。
 ◆ 一言芳恩 イチゴンホウオン
 ひとこと声をかけてもらったことを恩に感じ、主人として仰ぐこと。また、ひとこと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること。
 「一言」は、ひとこと。「芳恩」は、他人から受けたご恩。「芳」は、他人に関する物事に付けて、敬意を表す。 「いちげんほうおん」と読むのは誤りである。「一言」は、「いちげん」と読むことも多いが、この場合は慣用的に「いちごん」と読む。
 ◆ 一字一句 イチジイック
 一つの文字と一つの語句。わずかな字句。
 「一字」と「一句」という似た意味の言葉を重ねて強調したもので、主に書き言葉についていう。
 ◆ 一字三礼 イチジサンライ
 敬虔けいけんな態度で写経すること。また、そのような態度で写経せよという教え。
 仏教語の一つ。写経するとき、一字書写するたびに、三度仏を礼拝したことからいう。
 ◆ 一字千金 イチジセンキン
 価値の高い文章。一字に千金の価値があること。
 他人の作をほめるときの形容。恩師の教えをたたえるときにも使われる。「一字」は「一言」ともいう。
 ◆ 一日三秋 イチジツサンシュウ
 相手に対する情愛のほどが非常に強いことのたとえ。また、ある物事や人が、早く来てほしいと願う思いが深いこと。
 「三秋」は、三度の秋を経ることから、三年の意。「いちにちさんしゅう」とも読む。一般には、「一日三秋の思いで待つ」と用いる。
 ◆ 一日千秋 イチジツセンシュウ
 一日会わないだけで随分会わない気がする。待ち遠しく思う気持ち。
 「千秋」は、非常に長い年月のこと。もとは「一日三秋」で、これを強調した表現。「いちにちせんしゅう」とも読む。
 ◆ 一日之長 イチジツノチョウ
 技能や経験・知識などがいくらか勝っていること。
 一日だけ先に生まれて、ほんの少し年齢が上であることから転じた。自分の経験・能力・技能などを謙遜していう語。
 ◆ 一字半句 イチジハンク
 わずかなことば。
 ◆ 一字不説 イチジフセツ
 仏教で、仏の悟りの内容は奥深く、言葉で言い表すことはできないということ。
 釈迦が悟り得た境地を、一字も説いていないということから。
 ◆ 一字褒貶 イチジホウヘン
 詩や文の一字の使い分けによって人を誉めたり貶したりすること。
 「褒」は褒めること。「貶」はけなすこと。歴史書”春秋”の表現様式のことをいう。
 ◆ 一汁一菜 イチジュウイッサイ
 ひと碗の吸い物と一品のおかず。質素な食事をいう。
 「一汁」は、ひと椀の吸い物、「一菜」は一品のおかずを指す。修行僧や奉公人などは、このような食事が多かったといわれる。
 ◆ 一上一下 イチジョウイチゲ
 その場に応じて適切に処理するたとえ。
 あるいは上り、あるいは下ること。上げたり、下げたりすることから。「一…一…」は「あるいは…し、あるいは…する」の意。もと宇宙の精気が絶えず循環運行し、少しも停滞しないことをたとえた語。
 ◆ 一場春夢 イチジョウノシュンム
 人の栄華は、春の夜のように極めてはかないということ。人生のはかないことのたとえ。
 「一場」はほんの短い間の意。春の夜にみる夢のように儚いということから。
 ◆ 一新紀元 イチシンキゲン
 新しい時代の始まり。古いことが終わりを告げ、新たな時代が始まる最初の年。
 「新紀元」は新時代の最初の年のこと。
 ◆ 一族郎党 イチゾクロウトウ
 血縁のある同族と家来たち。家族や関係者の全員。
 「一族」は血縁者の総称。「郎党」は家臣のこと。「一族郎等」とも書く。
 ◆ 一諾千金 イチダクセンキン
 一度承諾したことは、千金にもかえがたいものであり、必ず守らなければならないというたとえ。
 「一諾」は一度承知して、引き受けること。「千金」は大金のたとえ。
 ◆ 一団和気 イチダンノワキ
 やすらぎ、なごやかな雰囲気。親しみやすい態度。また、無原則に他人に合わせて、表面的に和らいでいるように見せることを卑しんでいうこともある。
 「一団」は一つのまとまった、ひとかたまりの意。
 ◆ 一読三嘆 イチドクサンタン
 すばらしい詩文などを読んで、非常に感銘を受けること。また、そのような詩文や本のたとえ。
 一度読んで幾度も感嘆する意から。「三」は何度もという意味。「嘆」は感心して褒め称える、感嘆という意味。
 ◆ 一日一善 イチニチイチゼン
 一日に一つだけいいことをすること。
 ◆ 一木難支 イチボクナンシ
 ひとたび傾きかけると、一人の力ではどうすることもできないということ。
 「一木(いちぼく)支(ささ)え難(がた)し」と訓読する。
 ◆ 一枚看板 イチマイカンバン
 人に見せられる、ただ一つのもの。取り柄。
 ただそれだけで他に代わりのないもの。一座の花形役者。また、大勢の中の中心人物という意味から。芝居からきた語で、芝居小屋では重要な役者の名前を一枚の看板に書いたことに由来している。
 ◆ 市松模様 イチマツモヨウ
 黒と白との四角形を互い違いに並べた模様。
 ◆ 一味爽涼 イチミソウリョウ
 ひたすらすがすがしいこと。
 「一味」は、もっぱら。
 ◆ 一味同心 イチミドウシン
 同じ目的をもって集まり、心を一つにすること。また、その仲間。
 「一味」はほかの味を交えない一つの味の意から、平等・同一の意。また、志を同じくするという意から、仲間・同志をいう。「同心」は志を同じくすること。また、その人々。
 ◆ 一味徒党 イチミトトウ
 同じ目的をもって結ばれた仲間。多く、悪事に加わることをいう。
 ◆ 一網打尽 イチモウダジン
 犯人などを一度で全員捕らえること。一網であたりのすべての魚を捕まえる意から。「悪人一味は―に検挙された」
 ◆ 一毛不抜 イチモウフバツ
 きわめて物惜しみの強いこと。非常にけちで利己的な人のたとえ。自分のためにならなければ、毛一本すら抜こうとしない意から。
 ◆ 一目十行 イチモクジュウギョウ
 書物を読むことが非常に速いこと。一目見ただけで、すぐに一〇行の文字を読み取ることができる意。
 ◆ 一目瞭然 イチモクリョウゼン
 ひとめ見ただけで、はっきりと分かること。「二人の差は―だ」
 ◆ 一問一答 イチモンイットウ
 一つの問いに対して、一つの答えをする会話。また、質問と答えを繰り返すこと。
 ◆ 一文半銭 イチモンハンセン
 ごくわずかな金銭のこと。「文」「銭」は昔の小銭の単位。
 ◆ 一文不通 イチモンフツウ
 一つの文字も知らず、読み書きがまったくできないこと。
 ◆ 一夜十起 イチヤジッキ
 人間は私情や私心に左右されやすいたとえ。
 ◆ 一遊一予 イチユウイチヨ
 遊んだり楽しんだりすること。「予」は楽しみの意。
 ◆ 一葉知秋 イチヨウチシュウ
 わずかな現象から物事の大勢を察知すること。一枚のキリの葉が落ちるのを見て、秋が来たことに気づく意から。
 ◆ 一陽来復 イチヨウライフク
 @冬が終わり、春が来ること。また、新年。「―を寿(ことほ)ぐ」 A悪いことが続いたあと、幸運に向かうこと。 B陰暦一一月。また、冬至のこと。
 ◆ 一利一害 イチリイチガイ
 よいこともあるが、悪いこともあること。利益もあるが、損害もあること。
 ◆ 一粒万倍 イチリュウマンバイ
 少しのものから多くの利益を得るたとえ。一粒の種から万倍もの収穫を得ることができる意から。また、わずかなものでも粗末にしてはならないという戒め。
 ◆ 一了百了 イチリョウヒャクリョウ
 根本の一つを知れば、すべてを知ることができること。
 ◆ 一蓮托生 イチレンタクショウ
 @事のよしあしにかかわらず仲間として行動や運命をともにすること。 A仏死後、極楽浄土に往生し、同じハス(蓮)の花の上に生まれ変わること。
 ◆ 一労永逸 イチロウエイイツ
 長く安楽な生活は、その前にたいへんな苦労を重ねなければ得られないということ。
 ◆ 一路平安 イチロヘイアン
 旅立つ人を見送るとき、道中の無事を祈っていう言葉。
 ◆ 一攫千金 イッカクセンキン
 一度にたやすく大きな利益を得ること。「一攫」は一つかみの意。「―を夢みる」
 ◆ 一家眷族 イッカケンゾク
 家族と血族関係にある親族。「眷族」は血縁の者。一族とその従者や部下をいうこともある。
 ◆ 一家団欒 イッカダンラン
 家族が集まって、楽しくむつまじくすること。「団欒」は、集まって輪をつくること。類親子団欒・家族団欒
 ◆ 一喜一憂 イッキイチユウ
 情勢の変化に伴って、そのつど喜んだり心配したりすること。「子どもの成績に―する」
 ◆ 一気呵成 イッキカセイ
 文章をひと息に書き上げること。また、仕事を一気に仕上げてしまうこと。「―に手紙を認(したた)めた」
 ◆ 一騎当千 イッキトウセン
 一人で千人の敵を相手にできるほど強いこと。また、人並みはずれた能力のたとえ。「―のつわもの」
 ◆ 一球入魂 イッキュウニュウコン
 野球で、一球一球に全力を傾注すること。
 ◆ 一虚一盈 イッキョイチエイ
 あるときは空になり、あるときは満ちること。常に変化して予測がしにくいことのたとえ。
 ◆ 一挙一動 イッキョイチドウ
 一つ一つの動作や振る舞い。「―を見守る」 類一挙手一投足
 ◆ 一挙両失 イッキョリョウシツ
 一つの行動で、同時に二つのことがだめになること。
 ◆ 一挙両得 イッキョリョウトク
 一つのことをして、同時に二つの利益を得ること。また、少ない労力で多くの利益を得るたとえ。
 ◆ 一件落着 イッケンラクチャク
 一つの事柄や事件が解決すること。決着すること。「犯人の自首によって―した」
 ◆ 一口両舌 イッコウリョウゼツ
 前に言った内容とちがうことを平気で言うこと。一つの口に二枚の舌があるという意から。二枚舌。
 ◆ 一刻千金 イッコクセンキン
 楽しい時や大切な時が過ぎやすいのを惜しんでいうたとえ。わずかな時間でも千金の値打ちがあるという意から。
 ◆ 一顧傾城 イッコケイセイ
 絶世の美人のたとえ。美人がひとたび振り返っただけで、君主がその色香に惑わされて国を滅ぼしてしまうということ。
 ◆ 一切合切 イッサイガッサイ
 何もかも残さずすべて。「災害で―失った」
 ◆ 一切衆生 イッサイシュジョウ
 仏この世に生を受けたすべてのもの。生きとし生けるもの。
 ◆ 一死七生 イッシシチショウ
 仏天上界で一度死んで、七度この世に生まれ変わる意。転じて、何度も生まれ変わること。
 ◆ 一子相伝 イッシソウデン
 学問や技芸の奥義を、わが子一人だけに伝授し、他にはもらさないこと。
 ◆ 一視同仁 イッシドウジン
 すべての人を差別せず平等に愛すること。
 ◆ 一紙半銭 イッシハンセン
 一枚の紙と半文の銭。ごくわずかなもののたとえ。
 ◆ 一死報国 イッシホウコク
 命をかけて国のために力を尽くすこと。
 ◆ 一瀉千里 イッシャセンリ
 @物事が一気にはかどるたとえ。川の水が傾斜地を流れ出すと、たちまち千里も走る意から。「―にかたづく」 A文章や弁舌がよどみないことのたとえ。「―に書きあげる」
 ◆ 一宿一飯 イッシュクイッパン
 旅先などで、ほんの少し世話になること。一泊させてもらい、一食を振る舞われる意。「―の恩義」
 ◆ 一觴一詠 イッショウイチエイ
 酒を飲みながら詩を作り、歌って風流を楽しむこと。「觴」はさかずきのこと。
 ◆ 一生懸命 イッショウケンメイ
 命がけで物事にあたること。本気で物事に打ちこむさま。
 ◆ 一唱三嘆 イッショウサンタン
 すぐれた詩文を賞賛する言葉。詩文を一度詠(よ)み上げる間に、何度も感嘆する意から。
 ◆ 一笑千金 イッショウセンキン
 わずかなほほえみが千金にも値すること。それほどの美人のたとえ。
 ◆ 一触即発 イッショクソクハツ
 非常に緊迫した状態や状況のこと。ちょっと触れただけで、すぐ爆発しそうな状態の意から。
 ◆ 一進一退 イッシンイッタイ
 進んだり退いたりすること。また、状態がよくなったり悪くなったりすること。「病状は―で安心できない」
 ◆ 一心一徳 イッシンイットク
 大勢の人が、共通の利益のために心を一つにして団結すること。「徳」は、「利益」の意。
 ◆ 一心同体 イッシンドウタイ
 二人以上の気持ちが、一つにまとまること。
 ◆ 一心不乱 イッシンフラン
 一つのことに心を集中し、他のことに心を乱されないこと。
 ◆ 一酔千日 イッスイセンニチ
 非常にうまい酒のこと。また、酒がよいものであるたとえ。ひと酔いしただけで気持ちよくなり、千日も眠る意から。
 ◆ 一寸丹心 イッスンのタンシン
 うそ偽りのない真心のこと。自分の真心を謙遜(ケンソン)していう言葉。
 ◆ 一世一代 イッセイチダイ
 @一生のうち、ただ一度のこと。「―の大事業」 A歌舞伎(カブキ)役者や能役者が引退を前に、得意の芸を演じること。
 ◆ 一石二鳥 イッセキニチョウ
 一つの行為で二つの利益を得ること。一つの石を投げて、二羽の鳥を落とす意から。
 ◆ 一殺多生 イッセツタショウ
 仏大きな利益のために小さな害をなすこと。多くの人を生かすためには、一人を殺すのもやむをえないという仏教的な考え方。
 ◆ 一銭一厘 イッセンイチリン
 ごくわずかな金銭、きわめてわずかなことのたとえ。
 ◆ 一体分身 イッタイブンシン
 仏仏が人々を救うために、さまざまに化身して現れること。また、一つのものがいくつかに分かれること。
 ◆ 一治一乱 イッチイチラン
 世の中が治まったかと思うとまた乱れ、乱れたかと思うとまた治まること。
 ◆ 一知半解 イッチハンカイ
 ちょっと知っているだけで、十分には理解していないこと。なまかじり。
 ◆ 一張一弛 イッチョウイッシ
 厳しく接したり、優しく接したりして、人をほどよく扱うこと。弓の弦を強く張ったり、ゆるめたりする意から。
 ◆ 一朝一夕 イッチョウイッセキ
 わずかな期間、きわめて短い時間のたとえ。
 ◆ 一長一短 イッチョウイッタン
 人や物事について、長所もあり、短所もあるということ。
 ◆ 一超直入 イッチョウジキニュウ
 仏ひとたび迷いを超越できれば、ただちに悟りの境地に入ることができるということ。
 ◆ 一朝富貴 イッチョウフウキ
 思いがけず、急に裕福で高貴な身分になること。
 ◆ 一擲千金 イッテキセンキン
 一度に惜し気もなく大金を使うこと。また、大事を思い切って実行することのたとえ。
 ◆ 一点一画 イッテンイッカク
 漢字の一つの点と一つの筆画のこと。
 ◆ 一天四海 イッテンシカイ
 全世界のこと。「一天」は天下のすべて、「四海」は四方の海の意から。
 ◆ 一天万乗 イッテンバンジョウ
 天下を治める天子、または天皇のこと。「一天万乗の君」の略。
 ◆ 一刀三礼 イットウサンライ
 仏仏像を彫刻する態度が敬虔(ケイケン)であること。仏像を彫るとき、一彫りごとに三度礼拝する意から。
 ◆ 一刀両断 イットウリョウダン
 物事をすみやかに処理すること。また、物事をずばりと決断すること。一太刀で物を真っ二つに断ち切る意から。
 ◆ 一得一失 イットクイッシツ
 一方で利益があると他の一方で損失があること。利益と損失がともにあることのたとえ。
 ◆ 一徳一心 イットクイッシン
 一心一徳(イッシンイットク)
 ◆ 一登竜門 イットリュウモン
 その時代の有力者に引き立てられれば、その人の価値は世の中から一〇倍にも評価されるということ。
 ◆ 一飯千金 イッパンセンキン
 わずかな恩でも、その恩を忘れず、十分な恩返しをするたとえ。一度受けた食事の恵みは、千金に値する恩があるという意。
 ◆ 一筆抹殺 イッピツマッサツ
 すべてを消し去ってしまうこと。よく考えずに、この世の事実や存在を全面的に否定すること。
 ◆ 一顰一笑 イッピンイッショウ
 顔に表れるわずかな表情。ちょっと顔をしかめたり、ちょっと笑ったりすること。
 ◆ 一碧万頃 イッペキバンケイ
 海や湖の水が、見渡すかぎり青々と広がっているさま。「頃」は面積の単位で、「万頃」はきわめて広いたとえ。
 ◆ 一片氷心 イッペンヒョウシン
 俗塵(ゾクジン)に染まっていない澄みきった心。清く美しい心のこと。ひとひらの氷のように清く澄んだ心の意から。
 ◆ 意到筆随 イトウヒツズイ
 詩や文を作るとき、自分の思うままに筆が進むこと。
 ◆ 以毒制毒 イドクセイドク
 逆効果をねらって、悪を制するために悪を用いるたとえ。毒を消すのに他の毒を用いる意から。
 ◆ 意馬心猿 イバシンエン
 煩悩や欲情などで心が乱れ、おさえがたいこと。ウマが走り回り、サルが騒ぎたてるのは制しがたいことから。「意」は心のこと。
 ◆ 衣鉢相伝 イハツソウデン
 @仏師から弟子に伝える教法や奥義のこと。また、正しい仏法を継ぐこと。「相伝」は代々伝える意。 A先人の事業などを継ぐこと。
 ◆ 夷蛮戎狄 イバンジュウテキ
 中国周辺部の異民族の総称。漢民族が異民族を見下して呼んだ言葉で、「東夷・南蛮・西戎・北狄」の略。
 ◆ 萎靡沈滞 イビチンタイ
 機能が衰え、活気や勢いがなくなってしまうこと。草木がなえしぼみ、水流がよどむ意から。
 ◆ 移風易俗 イフウエキゾク
 風俗や習慣を改め、よいほうへ移し変えること。「易」は移し変える意。
 ◆ 遺風残香 イフウザンコウ
 昔のすぐれた人物や、良い風俗のなごり。
 ◆ 遺風残香 イフウザンコウ
 昔のすぐれた人物や、良い風俗のなごり。
 ◆ 威風堂堂 イフウドウドウ
 威厳に満ちあふれてりっぱなさま。「堂堂」は雄大でりっぱなさま。
 ◆ 緯武経文 イブケイブン
 文化と軍事の両方を重んじて国を治めること。「緯」は横糸、「経」は縦糸。武を横糸、文を縦糸として美しい布を織る意から。
 ◆ 韋編三絶 イヘンサンゼツ
 同じ書物を繰り返し読むこと。また、学問に熱心なたとえ。
 ◆ 意味深長 イミシンチョウ
 人の言動や文章表現が奥深いさま。また、表現の裏に別の意味が含まれていること。
 ◆ 異類中行 イルイチュウギョウ
 仏仏が、人々を迷いから救うために、俗世間に身を投じること。また、禅僧が修行者を教え導くために、さまざまな方法を用いること。
 ◆ 異路同帰 イロドウキ
 方法や手段がちがっていても、同じ結果になるたとえ。道筋はそれぞれ異なっていても、行き着く先は同じである意から。
 ◆ 陰陰滅滅 インインメツメツ
 暗く陰気で気がめいるさま。また、陰気でもの寂しいさま。気分や雰囲気についていう。
 ◆ 飲灰洗胃 インカイセンイ
 心の奥底から改心すること。灰を飲んで胃の中の汚れを洗い清める意から。
 ◆ 因果応報 インガオウホウ
 仏人の行為の善悪に応じて、その報いが必ず現れること。よい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。
 ◆ 飲河満腹 インカマンプク
 人にはそれぞれ分があり、分に応じて満足すべきことをいう。モグラが大河の水を飲んでも、小さな腹を満たしただけで満足するという意から。
 ◆ 因機説法 インキセッポウ
 仏その場その場に適した説法を行い、仏法の真理を悟らせること。
 ◆ 韻鏡十年 インキョウジュウネン
 理解することが非常に難しいことのたとえ。「韻鏡」は唐代末の漢字の音韻を研究した書物。その内容は難解をきわめ、理解するのに一〇年はかかるという意から。
 ◆ 慇懃無礼 インギンブレイ
 あまりにていねいすぎて、かえって無礼になること。また、うわべは礼儀正しくていねいでも、実は尊大で相手を見下げているさま。
 ◆ 飲至策勲 インシサックン
 勝ち戦のあと、祖先の廟(ビョウ)の前で報告し、祝杯をあげ、戦功を竹の札(策)に書き記すこと。
 ◆ 因循姑息 インジュンコソク
 古い慣習にとらわれたまま改めようとせず、その場しのぎに終始するさま。
 ◆ 因小失大 インショウシツダイ
 小さな利害にこだわり、かえって大きな損失をすること。
 ◆ 印象批評 インショウヒヒョウ
 芸術作品などの評価において、客観的な基準によらず、その作品が自分に与える印象によって批評すること。
 ◆ 飲水思源 インスイシゲン
 物事の基本を忘れてはならないたとえ。また、人から受けた恩を忘れてはいけないという戒め。水を飲むとき、その水源のことを思う意から。
 ◆ 隠忍自重 インニンジチョウ
 怒りなどをじっとこらえて、軽々しい行動をしないこと。
 ◆ 陰陽五行 インヨウゴギョウ
 中国、漢の時代に流行した世界観。万物をつくりだす陰・陽の二気と、木・火・土・金(ゴン)・水の五行のかかわりあいによって、自然の異変や人事の吉凶などを説明するもの。日本の陰陽道(オンヨウドウ)もこの流れをくんでいる。

*** う ***                

 ◆ 有為転変 ウイテンペン
 世の中のすべてのものが絶えず変化して、しばらくの間も同じ状態にとどまることがないこと。
 「有為」は仏教語で、因縁によって創り出された一切のもの。「転変」は移り変わること。
 ◆ 烏焉魯魚 ウエンロギョ
 文字の書き誤り。文字の造形が似ていて書き誤ること。
 「烏」と「焉」、「魯」と「魚」がそれぞれ字形が似ていて、誤りやすいことからいう。
 ◆ 右往左往 ウオウサオウ
 あわてふためいて、あっちへ行ったり、こっちへ来たりすること。あわてて混乱した状態をいう。
 右へ行ったり左へ行ったり、あわてふためいたり落ち着かなかったりするさま。
 ◆ 雨過天晴 ウカテンセイ
 悪い状況が好転するたとえ。
 雨が止んで青空が広がる意から。「雨過ぎて天(てん)晴れる」と訓読する。「雨過天青」とも書く。
 ◆ 羽化登仙 ウカトウセン
 中国古来の神仙思想などで、人間に羽が生えて仙人になり天に昇ること。また、酒に酔ってよい気分になることのたとえ。
 「羽化」は、羽がはえ、仙人のように自由に空を飛べるようになること。「登仙」は、仙人の世界に登って行くこと。
 ◆ 雨奇晴好 ウキセイコウ
 雨天でも晴天でも、それぞれ趣のあるすばらしい景色が見られるということ。
 ◆ 禹行舜趨 ウコウシュンスウ
 うわべをまねるだけで実質が伴っていないこと。見かけだけ禹のように歩き、舜のように走っても、聖人の徳は備えていないたとえ。「禹」「舜」は、中国古代の伝説上の聖天子。「趨」は、走ること。
 ◆ 右顧左眄 ウコサベン
 周囲の情勢などを気にして、なかなか決断ができないこと。右を見たり左を見たりする意から。
 ◆ 有財餓鬼 ウザイガキ
 欲が深く金銭だけに執着する者のたとえ。もとは仏教の言葉で、食べ物をむさぼる餓鬼の意から。「餓鬼」は生前の罪の報いで餓鬼道に落ちた亡者のこと。
 ◆ 有相無相 ウソウムソウ
 仏有形(有相)・無形(無相)を問わず、世の中に存在するすべてのもの。
 ◆ 有象無象 ウゾウムゾウ
 @「有相無相(ウソウムソウ)」に同じ。 A形があるものないものすべて。転じて、雑多なつまらない人や物。多くの人を卑しめていう語。「世間の―は問題にしない」
 ◆ 内股膏薬 うちまたゴウヤク
 都合によってあちらこちらにつきしたがい、態度が一定しないたとえ。
 ◆ 有頂天外 ウチョウテンガイ
 このうえもなく大喜びすること。
 ◆ 烏兎匆匆 ウトソウソウ
 月日があわただしく過ぎ去るさま。「匆匆」は急ぐさま。あわただしいさま。
 いろいろな経験を積んで、物事の裏表を知り尽くしていること。また、ずる賢くしたたかな人のたとえ。
 ◆ 有無相生 ウムソウセイ
 有と無が相対的関係で存在すること。この世のすべては、有があってこそ無があり、無があってこそ有があるという相対関係にあることをいう。「相生」は互いに生じ合う意。〈『
 ◆ 有耶無耶 ウヤムヤ
 物事がはっきりしないさま。また、態度がいいかげんなさま。あるかないかわからない意から。「耶」は疑問の助字。「有りや無しや」と読む原文を音読みしたもの。「事件は―のまま忘れられた」
 ◆ 紆余曲折 ウヨキョクセツ
 @道が曲がりくねっていること。 A事情が込み入っていて複雑なこと。「―の末、解決した」
 ◆ 雨露霜雪 ウロソウセツ
 気象がさまざまに変化すること。また、人生におけるさまざまな困難のたとえ。「―に耐え抜く」
 ◆ 雲煙過眼 ウンエンカガン
 物事に深く執着しないこと。雲やかすみが瞬時に目の前を通り過ぎて行くように、深く心にとどめないこと。「―の境地」
 ◆ 雲煙縹渺 ウンエンヒョウビョウ
 雲やかすみが遠くにたなびくさま。
 ◆ 運斤成風 ウンキンセイフウ
 神業(かみわざ)のようなすばらしい技術。また、それをもつ職人。「運斤」は斧(おの)を振るうこと。「成風」は風を起こす意。
 ◆ 雲行雨施 ウンコウウシ
 天子の恩恵がすみずみまで広く行き渡るたとえ。雲が流れ動いて雨を降らせ、万物を潤(うるお)す意から。
 ◆ 雲合霧集 ウンゴウムシュウ
 多くのものが一時に群がり集まること。雲や霧が急激に立ちこめる意から。
 ◆ 雲散霧消 ウンサンムショウ
 雲が散り、霧が消えるように、あとかたもなく消え去ること。「疑惑が―する」
 ◆ 雲集霧散 ウンシュウムサン
 多くのものが雲や霧のように、集まったり散ったりするさま。また、たくさんのものが、集まったかと思うと、またあっという間に消え去ること。
 ◆ 雲壌月鼈 ウンジョウゲツベツ
 二つのもののちがいやへだたりがあまりに大きいこと。天と地、月とすっぽんのようにちがいすぎる意から。「雲壌」は天地のこと。「月鼈」は月とすっぽんのこと。
 ◆ 雲蒸竜変 ウンジョウリョウヘン
 英雄が風雲に乗じ、機を得て活躍すること。「雲蒸」は雲が群がり起こること。「竜変」は、ヘビが竜に変化(ヘンゲ)して、天高くのぼっていく意。
 ◆ 雲心月性 ウンシンゲッセイ
 名声や利益を求めず、超然としていること。雲や月のように清らかな心をもっている人のたとえ。
 ◆ 雲泥万里 ウンデイバンリ
 非常に大きな差異があること。天にある雲と地にある泥とでは、万里もかけ離れている意から。
 ◆ 運否天賦 ウンプテンプ
 人の運命は天の定めによるものであるということ。また、運を天にまかせること。「運否」は運のあるなしの意。「天賦」は、天からの割り当ての意。
 ◆ 雲竜井蛙 ウンリュウセイア
 地位や賢愚の差がはなはだしいことのたとえ。雲かける竜と井戸の中のカエルの意から。

*** え ***                     
 ◆ 盈盈一水 エイエイイッスイ
 愛する人に言葉をかけることが出来ない苦しい思いのこと。
 「盈盈」は水が満ちている様子。「一水」は一筋の川のこと。牽牛と織女の七夕伝説を題材に、一筋の天の河で隔てられているために、見つめるだけで会話することが出来ない切なさをうたった詩。「盈盈たる一水」とも読む。
 ◆ 永永無窮 エイエイムキュウ
 永久に果てることなく続くさま。また、時の果てしなく長いことのたとえ。
 ◆ 栄華秀英 エイカシュウエイ
 草木の花の総称。「栄」は草の花、「華」は木の花、「秀」は花が咲かずに実をつけるもの、「英」は花が咲いても実を結ばないもの。
 ◆ 英華発外 エイカハツガイ
 内面に潜んでいたすぐれた才能や美しさなどが表面に現れ出ること。「英華」は美しい花・すぐれたものの意。「発外」は外に出ること。
 ◆ 永劫回帰 エイゴウカイキ
 宇宙は永遠に循環運動を繰り返すものであるから、人間にとって重要なのは、今の一瞬一瞬を充実させることにあるとする思想。ドイツの哲学者ニーチェの根本思想。
 ◆ 栄枯盛衰 エイコセイスイ
 人・家・国などが、栄えたり衰えたりすること。「―はこの世の常だ」
 ◆ 永字八法 エイジハッポウ
 「永」の一字に、漢字の筆づかいの基本となる八通りの筆法が含まれているという書の教え。
 ◆ 英俊豪傑 エイシュンゴウケツ
 人並みはずれた才知に能力・胆力を合わせもったすぐれた人物のこと。
 ◆ 郢書燕説 エイショエンセツ
 こじつけて、もっともらしく言うこと。「郢」は楚(ソ)の国の都。「燕」は国名。
 ◆ 永垂不朽 エイスイフキュウ
 名声や功績などが末長く後世に伝えられ、決して滅びないこと。
 ◆ 永代供養 エイタイクヨウ
 故人の冥福(メイフク)を祈るため毎年、忌日や彼岸などに寺で継続して行う供養。
 ◆ 英雄欺人 エイユウギジン
 英雄は才知にもたけているので、ふつうの人が思いもよらない手段や行動をとるものであるということ。
 ◆ 栄耀栄華 エイヨウエイガ
 富や権勢を背景に、ぜいたくを尽くすこと。また、おごりたかぶること。「―をきわめる」
 ◆ 慧可断臂 エカダンピ
 並々ならぬ決意を示すたとえ。
 ◆ 益者三友 エキシャサンユウ
 交際して有益な三種類の友人のこと。「三友」は正直な人・誠実な人・博識な人。〈『論語』〉
 ◆ 易姓革命 エキセイカクメイ
 王朝が交代すること。天子は天命で決まるもので、天子に徳がなくなれば天命は他の人に下り、王朝は交代するという古代中国の政治思想。
 ◆ 会者定離 エシャジョウリ
 仏この世は無常なもので、会えば必ず離れる運命にあるということ。「定」は必ずの意。
 ◆ 得手勝手 えてかって
 自分の都合のよいことばかり考えること。また、すること。わがまま。手前勝手。
 ◆ 蜿蜒長蛇 エンエンチョウダ
 ヘビのように、うねうねと長く続いているさま。「―の列」
 ◆ 燕頷虎頸 エンガンコケイ
 遠国の諸侯となる人相。ツバメのような頷(あご)とトラのような頸(くび)をもつ相のこと。
 ◆ 燕頷投筆 エンガントウヒツ
 一大決心をして志を立てること。また、文筆をやめて武の道に進むこと。「燕頷」は武勇に秀でた人物の骨相のこと、「投筆」は筆を投げ捨てる意。
 ◆ 延頸挙踵 エンケイキョショウ
 人の来訪を待ちわびるさま。また、すぐれた人物の出現を待ち望むこと。首を伸ばし、つま先立って待ち望む意から。
 ◆ 遠交近攻 エンコウキンコウ
 遠い国と友好関係を結び、背後からけん制しながら近い国を攻める外交政策。中国、戦国時代の范雎(ハンショ)が秦(シン)の昭王に進言した戦略。昭王はこの方策で天下統一を実現した。
 ◆ 円頂黒衣 エンチョウコクイ
 僧の姿かたち。また、僧のこと。髪をそり落としたまるい頭と、墨染めの衣の意から。
 ◆ 円転滑脱 エンテンカツダツ
 物事をすらすら処理していくこと。角立てずなめらかに運ぶ意から。「―な人」
 ◆ 鉛刀一割 エントウイッカツ
 @凡庸な人でも時には力を発揮できるときがあるということ。鉛でつくった切れ味の悪い刀でも、一度は物を切ることができる意から。多くは自分の微力を謙遜(ケンソン)していう語。 A鉛でできた刀は、一度しか使えないことから、一度しか使えず二度と役に立たないこと。
 ◆ 鴛鴦之契 エンオウノチギリ
 仲むつまじい夫婦の例え。 おしどり夫婦。
 いつまでも連れ添うという夫婦の約束のこと。 「鴛」は雄のおしどり、「鴦」は雌のおしどり。 いつも雄雌がともにいることから、夫婦仲の良さをいう。
 ◆ 鳶目兎耳 エンモクトジ
 そのような目と耳を持った鋭い人。新聞記者や雑誌記者などの報道関係者をいう。
 トビの目は遠くのことまで目ざとく見つけることができ、ウサギの耳はどんな小さな音もよく聞こえるということから。「鳶目兔耳」とも書く。
 ◆ 煙視媚行 エンシビコウ
 新婦を迎えて喜ぶ新郎のようす。
 「煙視」は、煙の中でものを見るように、目を細めてみること。「媚行」は、ゆっくり歩くこと。
 ◆ 猿猴捉月 エンコウソクゲツ
 欲を起こして前後をわきまえず、無謀な行動をとって、命を失ったり災難を招いたりすること。身の程知らずが、その結果身を滅ぼすことのたとえ。
 「猿猴」は、猿。「捉」は、とらえる。「猿猴(えんこう)月(つき)を捉(とら)う」と訓読する。
 ◆ 円頭方足 エントウホウソク
 人間のこと。「円頭」はまるい頭、「方足」は四角い足の意。
 ◆ 延年転寿 エンネンテンジュ
 @年齢を重ね、ますます長生きをすること。 Aもと仏教語で、修行や仏の加護により、寿命をのばすこと。
 ◆ 煙波縹渺 エンパヒョウビョウ
 海や湖などで、水面がもやでけむり、空と水面の境がはっきりとしないさま。
 ◆ 鳶飛魚躍 エンピギョヤク
 万物が自然の本性にしたがって生き、自由に楽しみを得ていることのたとえ。また、君主の恩徳が広く及ぶことのたとえ。トビが空に飛び、魚が淵(ふち)におどる意から。
 ◆ 偃武修文 エンブシュウブン
 戦争をやめ、学問や教育によって平和な世の中にすること。「修文」は文徳を修める意。
 ◆ 婉娩聴従 エンベンチョウジュウ
 心が穏やかで優しく、人の言うことに素直にしたがうさま。「婉娩」は穏やかで素直な意。
 ◆ 円木警枕 エンボクケイチン
 勉学に懸命に励むたとえ。「警枕」は眠りこまないよう工夫した枕(まくら)。
 ◆ 円満具足 エンマングソク
 すべてが十分に満ち足りていて、少しも不足がないこと。
 ◆ 衍曼流爛 エンマンリュウラン
 悪がはびこり、社会全体に広がっていくこと。「衍曼」は広がり、はびこるさま。
 ◆ 延命息災 エンメイソクサイ
 無事に長生きすること。長生きを願う言葉。
 ◆ 遠慮会釈 エンリョエシャク
 相手を思いやり、つつましく控えめにすること。一般には「遠慮会釈もない」と否定の表現を用いることが多い。
 ◆ 遠慮近憂 エンリョキンユウ
 遠い将来のことまで考えをめぐらせておかないと、必ず身近なところに心配ごとが起こるということ。

*** お ***               

 ◆ 嘔?嘲? オウアチョウタツ
 やかましく騒ぎたてたり、さえずったりすること。調子はずれで聞き苦しい乱雑な音のこと。
 ◆ 桜花爛漫 オウカランマン
 満開になったサクラの花がみごとに咲き乱れているさま。
 ◆ 応機接物 オウキセツモツ
 仏相手の性格や能力に応じて、さまざまの手段で適切に指導・教化すること。
 ◆ 横行闊歩 オウコウカッポ
 勝手気ままに歩き回ること。また、思うままに振る舞うさま。
 ◆ 往古来今 オウコライコン
 大昔から今にいたるまで。「来今」は今からのちのこと。
 ◆ 往生素懐 オウジョウソカイ
 仏仏教に帰依し、死後は極楽浄土に生まれ変わりたいという平素からの願いのこと。
 ◆ 【往事渺茫】おうじびょうぼう
 記憶がはっきりせず、昔のことがぼんやり霞んで明らかでないさま。昔のことを振り返っていうことば。
 「往事」は、過ぎ去った昔の事柄。「渺茫」は、果てしなく遠いさま。遠くかすかなさま。
 ◆ 王政復古 オウセイフッコ
 @武家政治や共和政治などから、再びもとの君主政治に戻ること。 A日本の明治維新。一八六八(慶応三)年一月三日、討幕派による王政復古の大号令によって江戸幕府が廃され、政権が朝廷に戻ったことをいう。
 ◆ 王道楽土 オウドウラクド
 仁徳に基づく公平で思いやりのある政治が行われている、平和で理想的な土地のこと。
 ◆ 椀飯振舞 おうばんぶるまい
 @気前よく人に金品や食事を振る舞うこと。盛大にごちそうすること。 A江戸時代、正月に一家の主人が親類を招いて行った宴会。
 ◆ 【応病与薬】おうびょうよやく
 病気の種類に応じて最も適した薬を与えること。人に応じて法を説くたとえ。
 「病に応じて薬を与う」と訓読する。
 ◆ 大風呂敷 オオブロしき
 @大きなふろしき。 A大げさに誇張して話すこと。また、その話や話す人。
 ◆ 岡目八目 オカメハチモク
 はたで見ているほうが当事者よりも情勢を正確に判断できること。
 ◆ 傍目八目 オカメハチモク
 当事者よりも第三者のほうが、物事を冷静に正しく判断できるたとえ。
 ◆ 屋梁落月 オクリョウラクゲツ
 心の底から友人を思うこと。「屋梁」は家のはり・屋根の意。
 ◆ 【小草生月】おぐさおいづき
 陰暦2月の異名。春を待って、小さな草花があちらこちらから芽を出してくる月。
 ◆ 【屋梁落月】おくりょうらくげつ
 沈みかけた月が暗雲を押し開いて、屋根の梁を照らし、再び光明を見い出すこと。友人を心から思う情をいう。
 【故事】中国唐の杜甫が友人の李白の南方に流されたのを思いやり、「夜空に沈みかかった月の光がこの部屋の梁いっぱいに照らし、その光がまだあなたの顔を照らし出しているように思えてならない」と詠んだという故事から。「落月屋梁」ともいう。
 ◆ 恩威並行 オンイヘイコウ
 恩賞と刑罰とが、あわせて行われること。人を使う場合には、適切な賞罰が必要だということ。
 ◆ 温厚篤実 オンコウトクジツ
 人柄がおだやかでやさしく、誠実で親切なこと。
 ◆ 温故知新 オンコチシン
 昔の事柄を調べて、新たな知識や道理を会得(エトク)すること。また、すでに習得したことをあらためて学びなおして、新しい知恵を得ること。古いものをたずね求めて、そこから新しい意義や価値を見いだす意から。
 ◆ 温柔敦厚 オンジュウトンコウ
 おだやかでやさしく、人情深いこと。孔子が、儒教の基本的な古典といわれる『詩経』の教化の力を評した語。『詩経』の詩は古代の純朴な民情が素直に歌われており、これが人を感動させ、共感を呼ぶ力をもつと説いたもの。
 ◆ 怨親平等 オンシンビョウドウ
 敵も味方もすべて同じように処遇すること。もと仏教語で、敵対した者も親しい者も、うらみや恩をこえて、同じように極楽往生させること。
 ◆ 音信不通 オンシンフツウ
 便りや連絡がまったくないこと。消息がつかめないこと。
 ◆ 温?定省 オンセイテイセイ
 親に孝養を尽くす心がけを説いたもの。冬は暖かく夏は涼しく過ごせるように気を配り、夜には寝床を整え、朝にはご機嫌をうかがう意。
 ◆ 怨憎会苦 オンゾウエク
 仏うらみ憎む者とも会わなければならない苦しみのこと。仏教でいう「八苦」の一つ。
 ◆ 音吐朗朗 オントロウロウ
 声量が豊かで、音声がはっきりしているさま。また、声がさわやかなさま。
 ◆ 乳母日傘 オンバヒガサ
 恵まれた環境で、大事に子どもが育てられるたとえ。うばをつけたり、日傘を差しかけられたりする意から。