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  *** あ ***

 ◆ ああ言えばこう言う
 相手の言うことに素直に従わず、いちいち理屈をこねて逆らうこと。
 ◆ 合縁奇縁 _あいえんきえん
 人と気持ちが通じ合うのも、通じ合わないのも、不思議な縁によるものだということ。
 ◆ 匕首に鍔を打ったよう _あいくちにつばをうったよう
 釣り合わないもの、不調和なもののたとえ。
 ◆ 挨拶は時の氏神 _あいさつはときのうじがみ
 喧嘩や争いごとの際に仲裁してくれる人がいたら、それに従うのがよいということ。
 ここでいう「挨拶」とは、争いの間に立って仲裁すること。「氏神」とは、祖先をまつった神のこと。
 争いが起きた時に仲裁してくれる人は、氏神様のようにありがたい存在なので、その仲裁には従い、早くおさめよということ。
 ◆ 愛想も小想も尽き果てる _あいそもこそもつきはてる
 愛想も小想も尽き果てるとは、相手の言動などにあきれ果て、好意や愛情がすっかりなくなってしまうこと。
 ◆ 開いた口が塞がらない _あいたくちがふさがらない
 開いた口が塞がらないとは、相手の行動・態度に、あきれ返って物が言えない様子。
 ◆ 開いた口へ牡丹餅 _あいたくちへぼたもち
 努力や苦労もなしに、思いがけない幸運が舞い込むことのたとえ。
 ◆ 相手変われど主変わらず _あいてかわれどぬしかわらず
 相手が次々と変わっても、こちらは常に同じことを繰り返しているというたとえ。
 ◆ 相手のない喧嘩はできぬ _あいてのないけんかはできぬ
 喧嘩というものは、受けて立つ者がいてこそ成り立つものなのだから、相手にしなければ喧嘩は起きないということ。
 ◆ 会うは別れの始め _あうはわかれのはじめ
 出会った人とは必ず別れなければならぬということ。
 ◆ 阿吽の呼吸 _あうんのこきゅう
 二人以上の人が何かをするときの、微妙な気持ちや調子。また、それがぴたりと合うこと。
 「阿」は口を開いて発音することから「吐く息」という意味で、「吽」は口を閉じて発音することから「吸う息」という意味。それを合わせることを「阿吽の呼吸」という。
 また、「阿」はサンスクリットの十二母音の最初の音で、「吽」は最後の音であることから、密教では「万物の根源」の象徴とされており、神社や社殿前にある狛犬の一対は、一方が口を開けた「阿形」、もう一方が口を閉じた「吽形」で、「阿吽」を表している。
 ◆ 敢えて後れたるに非ず、馬進まざればなり _あえておくれたるにあらず、うますすまざればなり
 自分の手柄を誇らずに、謙遜することのたとえ。
 ◆ 仰いで天に愧じず _あおいでてんにはじず
 自分自身をかえりみて、心にも行いにもやましいことが少しもないこと。
 ◆ 青菜に塩 _あおなにしお
 元気をなくして、すっかりしょげている様子。
 ◆ 青は藍より出でて藍より青し _あおはあいよりいでてあいよりあおし
 弟子が師匠の学識や技量を越えることのたとえ。
 ◆ 赤子の手を捻る _あかごのてをひねる
 無力の者をたやすく負かしたり、物事をやすやすと行えることのたとえ。
 ◆ 秋高く馬肥ゆ _あきたかくうまこゆ
 秋の快適な気候のこと。
 ◆ 商いは牛の涎 _あきないはうしのよだれ
 商売をするには、せっかちであってはならず、気長に辛抱強く続けるべきであるということ。
 ◆ 空き樽は音が高い _あきだるはおとがたかい
 中身のない人ほどよくしゃべるということのたとえ。 中身のある樽を叩けば重々しい音がするものだが、からっぽの樽を叩いたときは大きな音が出ることから、おしゃべりな者は軽薄であるということ。
 ◆ 秋茄子は嫁に食わすな _あきなすはよめにくわすな
 おいしい秋のなすは、もったいないから嫁には食べさせるなという姑の嫁いびりの言葉。
 また、反対に、なすは体を冷やす、あるいは種が少ないので子供ができないといけないから、嫁には食べさせるなという嫁を大切に思う言葉。
 ◆ 秋の扇 _あきのおうぎ
 愛が薄らいだために男に見捨てられた女のたとえ。
 ◆ 秋の鹿は笛に寄る _あきのしかはふえによる
 恋に溺れて身を滅ぼすことのたとえ。また、弱みにつけこまれて危険な目にあうことのたとえ。
 ◆ 秋の日は釣瓶落とし _あきのひはつるべおとし
 秋の日の急速に日が暮れるさまの形容。
 ◆ 諦めは心の養生 _あきらめはこころのようじょう
 失敗や不運だったことをくよくよと考えるよりは、きっぱりと諦めたほうが精神の健康にはよいということ。
 ◆ 悪因悪果 _あくいんあっか
 悪い行いには、悪い結果や報いが必ずあるものだということ。
 ◆ 悪妻は百年の不作 _あくさいはひゃくねんのふさく
 悪い妻を持つと自分が一生不幸になるだけでなく、子孫にまで影響を及ぼすということ。
 ◆ 悪事千里を走る _あくじせんりをはしる
 悪い行いは、たちまちの間に世間に知れ渡るということ。
 ◆ 悪女の深情け _あくじょのふかなさけ
 顔かたちのよくない女性は情け深く、嫉妬心が強いものだということ。
 ◆ 悪銭身に付かず _あくせんみにつかず
 不当な手段で得た金銭は、とかくつまらないことに使ってしまい残らないものだという教え。
 ◆ 悪に強ければ善にも強し _あくにつよければぜんにもつよし
 たいへんな悪人ほど、いったん改心すれば非常な善人になるということ。
 ◆ 悪法もまた法なり _あくほうもまたほうなり
 たとえ悪い法律であっても、それが効力を持っている以上、法は法であるから守らなければならないということ。
 ◆ 上げ膳据え膳 _あげぜんすえぜん
 自分は何もせず、すべて人にやってもらうことのたとえ。
 ◆ 阿漕が浦に引く網 _あこぎがうらにひくあみ
 人知れず行う隠し事も、たびたび行えば広く人に知れてしまうことのたとえ。
 ◆ 浅い川も深く渡れ _あさいかわもふかくわたれ
 ささいなことでも用心せよという戒め。
 ◆ 朝起きは三文の徳 _あさおきはさんもんのとく
 朝早く起きると良いことがあるということ。
 ◆ 朝顔の花一時 _あさがおのはなひととき
 物事の盛りがきわめて短期間であって、はかないことのたとえ
 ◆ 浅瀬に仇波 _あさせにあだなみ
 思慮深くない者ほど、おしゃべりで騒ぎ立てることが多いということ。
 ◆ 麻の中の蓬 _あさのなかのよもぎ
 善人と交われば、自然に感化されて善人になることのたとえ。良い環境によって善が生ずることのたとえ。
 ◆ 薊の花も一盛り _あざみのはなもひとさかり
 器量のよくない女性であっても、年頃になるとそれなりの魅力や色気が出るものだというたとえ。
 ◆ 朝には富児の門を扣き、暮には肥馬の塵に随う _あしたにはふじのもんをたたき、ゆうべにはひばのちりにしたがう
 金持ちや身分の高い人に取り入ろうとするさま。
 ◆ 朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり _あしたにみちをきかば、ゆうべにしすともかなり
 朝に人がどう生きるべきかを悟ることができれば、夕方に死んだとしても後悔はないということ。
 ◆ 明日は明日の風が吹く _あしたはあしたのかぜがふく
 先のことを案じても始まらないので、成り行きに任せて生きるのがよいということ。
 ◆ 足下から鳥が立つ _あしもとからとりがたつ
 身近なところで意外なことが突然起きること。また、急に思い立って慌しく行動を起こすこと。
 ◆ 足下を見る _あしもとをみる
 相手の弱点を見つけ、つけ込むことのたとえ
 ◆ 味を占める _あじをしめる
 一度味わったうまみや面白みを忘れられず、もう一度同じことを期待すること。
 ◆ 明日ありと思う心の仇桜 _あすありとおもうこころのあだざくら
 明日はどうなるかわからないという、世の中や人生の無常を説いたことば。
 ◆ 明日の事を言えば鬼が笑う _あすのことをいえばおにがわらう
 未来のことなど予測できるわけがないのだから、あれこれ言っても仕方がないということのたとえ。
 ◆ 明日の百より今日の五十 _あすのひゃくよりきょうのごじゅう
 大きな話に乗るよりも、わずかでも今日確実に手に入るほうを受け取るのが賢明であるということ。
 ◆ 東男に京女 _あずまおとこにきょうおんな
 男は粋でたくましい江戸っ子がよく、女はしとやかで女らしい京都の女がよいということ。
 ◆ 当たって砕けろ _あたってくだけろ
 成功するかどうかはわからないが、とにかく思いきってやってみよということ。
 ◆ 徒花に実は生らぬ _あだばなにみはならぬ
 どんなに見かけがよくても、内容が伴わず着実におこなわれない計画は、よい成果が得られないということ。
 ◆ 頭隠して尻隠さず _あたまかくしてしりかくさず
 悪事や欠点などの一部を隠して、全部を隠したつもりでいること。
 ◆ 頭の上の蠅を追え _あたまのうえのはえをおえ
 とかく人の世話を焼きたがる者に対して、それよりもまず自分自身のことをしっかり始末せよということ。
 ◆ 新しい酒は新しい革袋に盛れ _あたらしいさけはあたらしいかわぶくろにもれ
 新しい思想や内容を表現するには、それに応じた新しい形式が必要だということ。
 ◆ 当たらずと雖も遠からず _あたらずといえどもとおからず
 ぴたりと的中はしていないが、見当外れでもないこと。
 ◆ 当たるも八卦、当たらぬも八卦 _あたるもはっけ、あたらぬもはっけ
 占いは当たることもあれば当たらないこともあるということ。
 ◆ 彼方を立てれば此方が立たず _あちらをたてればこちらがたたず
 両方が納得するような、また喜ぶようなことをするのは難しいということのたとえ。
 ◆ 悪貨は良貨を駆逐する _あっかはりょうかをくちくする
 一つの社会で名目上の価値が等しく、実質上の価値が異なる貨幣が同時に流通すると、良貨はしまい込まれて市場から姿を消し、悪貨だけが流通するという「グレシャムの法則」のこと。転じて、悪がはびこると善が滅びるというたとえにも使われる。
 ◆ 圧巻
 書物、劇、催し物など、全体の中でもっともすぐれているところ。
 ◆ 暑さ寒さも彼岸まで _あつささむさもひがんまで
 夏の暑さも冬の寒さも、春秋の彼岸を境として次第に薄れていき、それ以後は過ごしやすくなるという言い伝え。
 ◆ 羮に懲りて膾を吹く _あつものにこりてなますをふく
 前の失敗に懲りて、度を越して用心深くなることのたとえ。
 ◆ 後足で砂をかける _あとあしですなをかける
 人から受けた恩義に報いるどころか、去り際に迷惑や損害を与えたり、裏切ることのたとえ。
 ◆ 後の雁が先になる _あとのかりがさきになる
 後から来た者が先を行く者を追い越すこと。
 ◆ 後の祭り _あとのまつり
 時期に間に合わないこと。手遅れのこと。祭りの翌日である祭礼のことで、お供え物を下げて飲食する習慣があったことから、用済みになった山車や祭事用具は顧みられないことから、物事が時機を外して手遅れなこと、効を失うことをいう。
 ◆ 後は野となれ山となれ _あとはのとなれやまとなれ
 目先のことさえ解決できれば、後はどうなってもかまわないというたとえ。
 ◆ 阿堵物 _あとぶつ
 金銭。お金。
 ◆ 穴があったら入りたい _あながあったらはいりたい
 穴があったら入って身を隠したいほど、恥ずかしくてたまらないようす。
 ◆ あの声で蜥蜴食らうか時鳥 _あのこえでとかげくらうかほととぎす
 人やものは見かけによらないもので、外見と中身が異なり驚かされることのたとえ。
 ◆ 痘痕も靨 _あばたもえくぼ
 愛する者に対しては、欠点さえも長所に見えることのたとえ。
 ◆ 阿鼻叫喚 _あびきょうかん
 非常に辛苦の状況に陥った人が、泣き叫び、救いを求めるようす。また、悲惨でむごたらしいようす。
 ◆ 危ない橋を渡る _あぶないはしをわたる
 目的を達成するために、危険な手段をあえて使うことのたとえ。
 ◆ 虻蜂取らず _あぶはちとらず
 欲張って二つのものを同時に手に入れようとしたために、結局はどちらも得られず失敗すること。
 ◆ 油を売る _あぶらをうる
 仕事の最中に人目を盗んで怠けること。また、無駄話をして時間を過ごすこと。
 江戸時代、髪油の行商人が女性客を相手に世間話をしながら商いをしていたことから。また、客の器に油を移すのに時間がかかったことからともいわれている。
 ◆ 雨垂れ石を穿つ _あまだれいしをうがつ
 どんなに小さな力でも、根気よく続けていればいつか成果が得られるということのたとえ。
 ◆ 雨夜の月 _あまよのつき
 想像するだけで見えないもの、実現しないことのたとえ。あり得ないと思っていたことが、まれにあった時にも用いる。
 ◆ 蛙鳴蝉噪 _あめいせんそう
 やかましく騒ぎ立てたること。くだらない議論や下手な文章のたとえ。
 ◆ 飴と鞭 _あめとむち
 しつけなどにおいて、甘やかす面と厳しくする面を併用するたとえ。また、一方でおだてと脅しを併用し、人を支配すること。
 ◆ 雨降って地固まる _あめふってじかたまる
 揉め事の後は、かえって良い結果や安定した状態を保てるようになることのたとえ。
 ◆ 過ちては改むるに憚ること勿れ _あやまちてはあらたむるにはばかることなかれ
 過ちを犯したことに気づいたら、体裁や対面などにとらわれず、ただちに改めるべきだという戒め。
 ◆ 荒馬の轡は前から _あらうまのくつわはまえから
 困難な問題にぶつかったときは、真正面から堂々とぶつかるのがよいということのたとえ。
 ◆ 嵐の前の静けさ _あらしのまえのしずけさ
 大きな事件や異変が起こる前の一時的に訪れる不気味な静けさのこと。
 ◆ 蟻の思いも天に届く _ありのおもいもてんにとどく
 弱小な者でも、一心に努力して願えば、希望を叶えることができるというたとえ。
 ◆ 鞍上人なく、鞍下馬なし _あんじょうひとなく、あんかうまなし
 乗り手が馬を巧みに乗り回し、一体となって疾走するさま。また、乗馬に限らず巧みな操作ぶりをたたえる場合に使うことば。
 ◆ 案ずるより産むが易し _あんずるよりうむがやすし
 お産する前は本人も周囲の人も色々と心配することが多いが、終わってみると案外たやすく済んでしまうものであるということから。
 出産に限らず、物事は事前にあれこれ思い悩むよりも、実際はそれほど難しくないということ。あまり取り越し苦労をするなという慰めの意味で使われることが多い。
 ◆ 暗中模索 _あんちゅうもさく
 手がかりのないままに、色々と試してみること。

  *** い ***

 ◆ 言いたい事は明日言え _いいたいことはあすいえ
 言いたいことがあっても、充分に考えた上で言うほうがよいということ。
 ◆ 言うは易く行うは難し _いうはやすくおこなうはかたし
 何をするにしても、口で言うのは簡単だがそれを実行するのは大変難しいということの教え。
 ◆ 家貧しくして孝子顕る _いえまずしくしてこうしあらわる
 家が貧しいと子供が親を助けようと働くようになり、子の善行が世間に知られるようになる。逆境になると誠実な人間が表面にあらわれるということ。
 ◆ 怒りは敵と思え _いかりはてきとおもえ
 怒ることは自分の身を滅ぼすことになるから、慎むべきだという戒め。
 ◆ 生き馬の目を抜く _いきうまのめをぬく
 すばしっこく人を出し抜き、抜け目がなくて油断できないさまのたとえ。
 ◆ 行き掛けの駄賃 _いきがけのだちん
 ある事のついでに他の事をすること。また、そうやって儲けること。
 「駄賃」とは、駄馬で人や物を運ぶときの運賃のこと。馬子が問屋などへ荷物を取りに行くついでに、空馬を利用して他の荷物を届け、手間賃を得たことから。
 ◆ 異口同音 _いくどうおん
 多くの人が口をそろえて同じことを言うこと。また、多くの人の意見が一致すること。
 ◆ いざ鎌倉 _いざかまくら
 さあ大変だ、一大事が起こった、という気持ちを込めて使う言葉。鎌倉時代、幕府に一大事が起きると、諸国の武士たちは鎌倉へ招集された。
 武士は「いざ鎌倉」と馳せ参じなくてはならなかった。
 ◆ 石が流れて木の葉が沈む _いしがながれてこのはがしずむ
 物事が通常の道理とは逆になっていることのたとえ。
 ◆ 石に立つ矢 _いしにたつや
 どんなことでも、必死になって行えば必ずできるということのたとえ
 ◆ 石に灸 _いしにきゅう
 何の効き目も、反応もないことのたとえ。
 ◆ 石に漱ぎ流れに枕す _いしにくちすすぎながれにまくらす
 負け惜しみが強いこと。無理にこじつけて、自分の説を通そうとすること。
 ◆ 石の上にも三年 _いしのうえにもさんねん
 つらくても辛抱して続ければ、いつかは成し遂げられるということ。
 冷たい石でも三年間座り続ければ暖まることから転じて、何事にも忍耐強さが大切だということ。「三年」は三年ちょうどの意味ではなく、多くの月日を表している。
 ◆ 石橋を叩いて渡る _いしばしをたたいてわたる
 用心の上にさらに用心を重ねて物事を行うこと。
 ◆ 医者の不養生 _いしゃのふようじょう
 口では立派なことを説いているが、実行が伴わないことのたとえ。
 ◆ 衣食足りて礼節を知る _いしょくたりてれいせつをしる
 人は生活に余裕ができて、初めて礼儀や節度をわきまえられるようになるということ。
 ◆ 以心伝心 _いしんでんしん
 言葉や文字を使わなくても、互いの気持ちが通じ合うことのたとえ。
 ◆ 何れ菖蒲か杜若 _いずれあやめかかきつばた
 どちらもすぐれていて、選択に迷うことのたとえ。
 ◆ 居候三杯目にはそっと出し _いそうろうさんばいめにはそっとだし
 人の家に世話になっている者は、食事のときも遠慮しがちになるということ
 ◆ 急がば回れ _いそがばまわれ
 急いで物事をなしとげようとするときは、危険を含む近道を行くよりも、安全確実な遠回りを行くほうがかえって得策だということ。
 ◆ 磯の鮑の片思い _いそのあわびのかたおもい
 片思いをしゃれて言うことば。
 ◆ 板子一枚下は地獄 _いたごいちまいしたはじごく
 船乗りという仕事の非常に危険なことのたとえ。
 ◆ 痛し痒し _いたしかゆし
 両方に同程度の良い面と悪い面があって、どちらか片方を取るのに迷ったり苦しんだりすることのたとえ。
 掻けば痛いし、掻かなければ痒いという意味から、やってみたいが困る事情もあるため、やるべきかどうか判断に苦しむということ。
 ◆ 鼬の最後っ屁 _いたちのさいごっぺ
 窮地に追い込まれた時などに使う非常手段のたとえ。
 ◆ 鼬の道切り _いたちのみちきり
 交際や音信がぱったりと途切れることのたとえ。
 ◆ 痛む上に塩を塗る _いたむうえにしおをぬる
 悪いことの上に、さらに悪いことが起きることのたとえ。
 ◆ 一衣帯水 _いちいたいすい
 一筋の細い帯のように長く、狭い川や海峡のこと。二つのものの隔たりが狭く、きわめて近隣していることのたとえ。
 ◆ 一押し二金三男 _いちおしにかねさんおとこ
 女性の愛を得るために必要なものの順序をいったもので、一番大事なのが押しの強さ、二番目に金があること、三番目が男前であるということ。
 ◆ 一か八か _いちかばちか
 結果がどう出るかわからないが、運を天にまかせてやってみること。
 賭博から生まれた言葉で、「一」は「丁」の上の部分、「八」は「半」の上の部分をとったもの。
 ◆ 一期一会 _いちごいちえ
 一生に一度だけ出会うこと。一生に一度の貴重な出会い。
 ◆ 一言既に出ずれば駟馬も追い難し _いちごんすでにいずればしばもおいがたし
 いったん口から出たことばは取り返しがつかないから、ことばは慎むべきだという戒め。
 ◆ 一事が万事 _いちじがばんじ
 一つのことを見れば、他のすべてのことが推測できるということ。また、一つの小さなことに見られる傾向が、他のすべてのことに現れるということ
 ◆ 一字千金 _いちじせんきん
 文章、詩、筆跡などが立派ですぐれていること。
 ◆ 一日三秋 _いちじつさんしゅう
 思慕の情が非常に強いこと。また、ある人や物が早く来て欲しいという情が深いことのたとえ。
 ◆ 一日の長 _いちじつのちょう
 少し年上であること。また経験や技量が相手より少し優れていること。
 ◆ 一諾千金 _いちだくせんきん
 信義が厚く、裏切らないことのたとえ。また、いったん約束をしたことは、千金にも値するほどの重みがあり、守らねばならないということのたとえ
 ◆ 一度あることは二度ある _いちどあることはにどある
 あることが一度起きると、後でまた同じようなことが起きるものであるということ。
 ◆ 一難去ってまた一難 _いちなんさってまたいちなん
 一つの災難を逃れてほっとしている暇もなく、新たに別の災難が降りかかること。また、次々と災難に見舞われて困惑すること。
 ◆ 一日の計は朝にあり _いちにちのけいはあさにあり
 計画は早めにしっかりと立てるのがよいという戒め。
 ◆ 一念岩をも通す _いちねんいわをもとおす
 どんなことでも一途に思いを込めてやれば成就するということ。
 ◆ 一念天に通ず _いちねんてんにつうず
 物事をなしとげようとする強い信念があれば、その心は天に通じ、必ず成就するということ。
 ◆ 一年の計は元旦にあり _いちねんのけいはがんたんにあり
 計画は早めにしっかりと立てるべきだという戒め。
 ◆ 一暴十寒 _いちばくじっかん
 少しだけ努力して、あとは怠けることが多いたとえ。また、あるところでは努力し、一方でそれを打ち破るたとえ。
 ◆ 一馬の奔る、一毛の動かざるは無し _いちばのはしる、いちもうのうごかざるはなし
 主な者が行動を起こすと、それに付属しているものも一斉に行動を起こすことのたとえ。
 ◆ 一姫二太郎 _いちひめにたろう
 子供を持つなら、最初に女、次は男というのが理想的だということ。
 ◆ 一富士二鷹三茄子 _いちふじにたかさんなすび
 夢に見るもの、特に初夢に見ると縁起が良いとされるものを、めでたい順に並べた句。
 ◆ 一網打尽 _いちもうだじん
 悪人・犯人などを一度に残らず捕らえてしまうことのたとえ。
 ◆ 一目置く _いちもくおく
 相手の能力を認めて、敬意を払うこと。すぐれていることを認めて、一歩譲って遠慮すること。
 ◆ 一文惜しみの百知らず _いちもんおしみのひゃくしらず
 目先のことに心を奪われて、後で大損することに気づかないことのたとえ。
 ◆ 一葉落ちて天下の秋を知る _いちようおちててんかのあきをしる
 わずかな前兆を見て、後に起きることを予知することのたとえ。
 ◆ 一陽来復 _いちようらいふく
 春が訪れること。また、不遇のときが続いた後、幸運に向かっていくこと。
 ◆ 一粒万倍 _いちりゅうまんばい
 わずかな元手から多くの利益が上がることのたとえ。また、わずかなものでも無駄にしてはいけないという戒め。
 ◆ 一蓮托生 _いちれんたくしょう
 結果の善し悪しに関わらず、人と運命や行動を共にすること。また、死後に生まれ変わって極楽浄土で同じ蓮華の上に生まれ変わること。
 ◆ 一を聞いて十を知る _いちをきいてじゅうをしる
 物事の一端を聞いただけで全体を理解するという意味で、非常に賢く理解力があることのたとえ。
 ◆ 一攫千金 _いっかくせんきん
 一度にたやすく巨額の利益を得ることのたとえ。
 ◆ 一気呵成 _いっきかせい
 文章や詩をひと息に完成させること。また、物事を中断せずに、一気に片付けてしまうこと。
 ◆ 一騎当千 _いっきとうせん
 非常に勇ましく強い者のたとえ。人並み外れた才能や技術の持ち主。
 ◆ 一挙手一投足 _いっきょしゅいっとうそく
 細かい一つ一つの動作。また、わずかの努力。
 ◆ 一刻千金 _いっこくせんきん
 わずかな時間が大切であることのたとえ。貴重な時間や楽しい時間が過ぎ去りやすいことを惜しむことば。
 ◆ 一子相伝 _いっしそうでん
 学問や技芸などの奥義を、自分の子一人だけに伝え、他の者には秘密にすること。
 ◆ 一視同仁 _いっしどうじん
 誰にでも分けへだてなく、平等に愛すること。また、出身や身分や敵味方に関わらず、どんな人であっても平等に接すること。
 ◆ 一瀉千里 _いっしゃせんり
 物事が一気にはかどること。また、文章・弁舌が巧みで、よどみないこと。
 ◆ 一将功成りて万骨枯る _いっしょうこうなりてばんこつかる
 功績が目立つ人の影には、それを支えた無数の人の努力・犠牲があるということ。
 ◆ 一所懸命 _いっしょけんめい
 ひとつの事に命をがけで取り組むこと。本気で何かに打ち込むこと。
 ◆ 一寸先は闇 _いっすんさきはやみ
 これから先のことはどうなるのか、まったく予測できないことのたとえ。
 ◆ 一寸の光陰軽んずべからず _いっすんのこういんかろんずべからず
 わずかな時間も無駄にしてはならないという戒め。
 ◆ 一寸の虫にも五分の魂 _いっすんのむしにもごぶのたましい
 小さく弱い者にも、それ相当の意地や根性があるのだから、どんな相手でも侮ってはならないというたとえ。
 ◆ 一石二鳥 _いっせきにちょう
 一つのことをして、二つ以上の利益を得ることのたとえ。
 ◆ 一銭を笑う者は一銭に泣く _いっせんをわらうものはいっせんになく
 わずかな金額であっても、お金を粗末にしてはならないという戒め。
 ◆ 一知半解 _いっちはんかい
 少ししか知っておらず、十分には理解していないこと。なまかじり。
 ◆ 一朝一夕 _いっちょういっせき
 きわめて短い時間、期間のたとえ。
 ◆ 一擲千金 _いってきせんきん
 豪快な振る舞いをすること、思いきって大胆なことをすることのたとえ。また、一度に惜しげもなく大金を使うことのたとえ。
 ◆ 一頭地を抜く _いっとうちをぬく
 他より頭ひとつぬき出ていること。また、学問や芸術などが他の多くの人より一段とすぐれていること。
 ◆ 一刀両断 _いっとうりょうだん
 物事をためらわずにきっぱり決断、または処理することのたとえ。
 ◆ 一敗地に塗れる _いっぱいちにまみれる
 二度と立ち上がれないほど、徹底的に打ち負かされること。
 ◆ いつまでもあると思うな親と金 _いつまでもあるとおもうなおやとかね
 独立心を養い、倹約を心がけよという戒め。
 ◆ いつも月夜に米の飯 _いつもつきよにこめのめし
 苦労のない気楽な生活のこと。また、そうありたいが、現実はなかなかそういかないこと。
 ◆ いつも柳の下に泥鰌は居らぬ _いつもやなぎのしたにどじょうはおらぬ
 一度うまくいったからといって、その後も必ずうまくいくというわけではないということ。
 ◆ 犬が西向きゃ尾は東 _いぬがにしむきゃおはひがし
 当たり前すぎるほど当たり前であることのたとえ。
 ◆ 犬と猿 _いぬとさる
 非常に仲が悪いことのたとえ。
 ◆ 犬に論語 _いぬにろんご
 道理の通じない者には、何を言ってもむだであるということのたとえ。
 ◆ 犬の遠吠え _いぬのとおぼえ
 臆病者が陰でいばったり陰口を言ったりすることのたとえ。
 ◆ 犬も歩けば棒に当たる _いぬもあるけばぼうにあたる
 でしゃばると思わぬ災難にあうという戒め。また、じっとしていないで、何でもいいからやってみれば思わぬ幸運にあうことのたとえ。
 ◆ 命あっての物種 _いのちあってのものだね
 何事も命があってこそ初めてできるものだというたとえ。
 ◆ 命長ければ恥多し _いのちながければはじおおし
 長生きすればする程、それだけ恥をかく機会も多いということ。
 ◆ 命の洗濯 _いのちのせんたく
 日ごろの苦労や束縛などから解放されて、のびのびと気晴らしをすること。
 ◆ 井の中の蛙大海を知らず _いのなかのかわずたいかいをしらず
 知識、見聞が狭いことのたとえ。また、それにとらわれて広い世界があることに気づかず、得意になっている人のこと。
 ◆ 意馬心猿 _いばしんえん
 心が煩悩や欲望のために働いて、抑えがたいことのたとえ。
 ◆ 芋の煮えたも御存じない _いものにえたもごぞんじない
 世間知らずでおっとりした人を、あざけっていうことば。
 ◆ 入るを量りて出ずるを為す _いるをはかりていずるをなす
 収入がどれくらいあるか正確に計算してから、それに釣り合った支出の計画を立てるべきだということ。
 ◆ 色男金と力はなかりけり _いろおとこかねとちからはなかりけり
 女性に好かれるような美男子は、財力も権力も腕力もないものだということ。
 ◆ 色気より食い気 _いろけよりくいけ
 色欲よりも食欲が先決であることのたとえ。また、表面よりも中身を重んじることのたとえ。
 ◆ 色の白いは七難隠す _いろのしろいはしちなんかくす
 色白の女性は顔かたちに多少の欠点があっても、それを補って美しく見えるということ。
 ◆ 色は思案の外 _いろはしあんのほか
 男女間の愛情や恋情は、常識でははかれないということ。
 ◆ 鰯の頭も信心から _いわしのあたまもしんじんから
 つまらないものでも、信仰の対象となれば有り難いと思われるようになるというたとえ。
 ◆ 言わぬが花 _いわぬがはな
 物事は露骨に言ってしまっては興醒めするものであり、黙っているほうがかえって趣があったり、値打ちがあるものだというたとえ。
 ◆ 因果応報 _いんがおうほう
 過去や前世での考えや行いに応じて、必ずそれ相応の報いがあるということ。
 ◆ 殷鑑遠からず _いんかんとおからず
 いましめとなる手本は、古いものや遠くのものを捜さなくても、ごく身近にあるということのたとえ。また、身近にある他者の失敗例を、自分のいましめにせよということ。
 ◆ 慇懃無礼 _いんぎんぶれい
 表面上だけは丁寧だが、内心は尊大で相手を見下しているさま。また、言葉や態度が丁寧すぎて、かえって失礼なこと。
 ◆ 引導を渡す _いんどうをわたす
 最終的な宣告をして諦めさせること。
 ◆ 陰徳あれば必ず陽報あり _いんとくあればかならずようほうあり
 人知れずよい行いをする者には、必ずよい報いがあるということ。

  *** う ***

 ◆ 有為転変は世の習い _ういてんぺんはよのならい
 この世は常に激しく移り変わり、とどまることなく変化するものだということ。
 ◆ 上には上がある _うえにはうえがある
 世の中には、これが最高だと思っても、さらにその上の優れたものがあるということ。物事には限度がないということ。
 ◆ 上を下へ _うえをしたへ
 入り乱れて、ひどく混雑している状態のこと。また、あわてふためく様子のこと。
 上にあるべき物が下へ、下にあるべきものが上へという意味から、ごった返しているさまをいう。
 ◆ 魚心あれば水心 _うおごころあればみずごころ
 相手が好意を示せば、こちらも好意を持って対応しようということ。
 水に棲む魚がその水に好意を持てば、水もその魚に好意を持つことから。本来は「魚、心あれば、水、心あり(魚に心あれば、水に心あり)」であったが、後に誤って「魚心」「水心」とそれぞれ一語化したもの。
 ◆ 魚と水 _うおとみず
 切っても切れない、きわめて親しい間柄のたとえ。
 ◆ 魚の水を得たるが如し _うおのみずをえたるがごとし
 離れることのできない親密な交際や、間柄のたとえ。また、苦境から脱して、またはその人にふさわしい場所を得て能力を発揮し、大いに活躍することのたとえ。
 ◆ 有卦に入る _うけにいる
 幸運に恵まれて活気付くことのたとえ。
 ◆ 烏合の衆 _うごうのしゅう
 まとまりのない寄せ集めの集団のこと。
 ◆ 雨後の筍 _うごのたけのこ
 同じような物事が次々と現れ出ることのたとえ。
 ◆ 兎の登り坂 _うさぎののぼりざか
 得意分野で実力を発揮することのたとえ。また、条件に恵まれて物事が調子よく進むことのたとえ。
 ◆ 牛に経文 _うしにきょうもん
 いくら言い聞かせてみても、何の効果もないことのたとえ。
 ◆ 牛に対して琴を弾ず _うしにたいしてことをだんず
 愚かな者には、いくら立派な話をしても何の役にも立たないことのたとえ。
 ◆ 牛に引かれて善光寺参り _うしにひかれてぜんこうじまいり
 思いがけず他人に連れられて、ある場所へ出掛けること。また、他人の誘いや思いがけない偶然で、よい方面に導かれることのたとえ。
 ◆ 牛は牛連れ、馬は馬連れ(うしはうしづれ、うまはうまづれ)
 同類や似た者同士は自然と集まりやすいことのたとえ。また、似た者同士で物事を行えば、うまくいくということ。
 ◆ 牛も千里、馬も千里 _うしもせんり、うまもせんり
 早くても遅くても、また上手でも下手でも、行き着く結果は同じだから慌てるなというたとえ。
 ◆ 氏より育ち _うじよりそだち
 人間を形成するときに大事なのは、家柄よりも教育や環境であるということ。
 ◆ 後ろ髪を引かれる _うしろがみをひかれる
 未練が残って、きっぱりと思い切れないこと。
 ◆ 牛を馬に乗り換える _うしをうまにのりかえる
 劣ったものを捨て、すぐれたものに乗り換えること。また、自分にとって不利なほうから有利なほうに切り替えることのたとえ。
 ◆ 有象無象 _うぞうむぞう
 多くの価値のない人やくだらない物のこと。
 ◆ 嘘から出た実 _うそからでたまこと
 嘘として言っていたことが、結果として本当になってしまうこと。また、冗談で言ったことが、偶然にも真実になること。
 ◆ 嘘つきは泥棒の始まり _うそつきはどろぼうのはじまり
 平気で嘘をつくようになると、盗みも平気でするようになる。嘘をつくのは悪の道へ入る第一歩であるということ。
 ◆ 嘘も方便 _うそもほうべん
 嘘をつくことは悪いことではあるが、時と場合によっては嘘が必要なときもあるということ。
 ◆ 嘘八百 _うそはっぴゃく
 やたらに嘘を言うこと。まったくの嘘。
 ◆ うだつが上がらない _うだつがあがらない
 いつまで経っても出世しない、生活が向上しないことのたとえ。また、身分がぱっとしない、幸せになれないことのたとえ。
 ◆ 内で掃除せぬ馬は外で毛を振る _うちでそうじせぬうまはそとでけをふる
 家庭内でしつけをされていない子供は、外に出ると家での教育のほどがすぐにわかるということのたとえ。
 ◆ 打てば響く _うてばひびく
 反応が早いことのたとえ。結果がすぐにあらわれることのたとえ。
 ◆ 烏頭白くして馬角を生ず _うとうしろくしてうまつのをしょうず
 あり得ないことのたとえ。また、ありえないと思っていたことが実際に起きることのたとえ。
 ◆ 烏兎匆匆 _うとそうそう
 月日の経つのが慌ただしく早いさま。
 ◆ 独活の大木 _うどのたいぼく
 体ばかり大きくて役に立たない人のたとえ。
 ◆ 鵜の真似をする烏 _うのまねをするからす
 己の能力を省みず、人真似をして失敗することのたとえ。
 ◆ 鵜の目鷹の目 _うのめたかのめ
 熱心に物を探すさま。またそのときの鋭い目つき。
 ◆ 馬が合う _うまがあう
 性格が合う。気がよく合うことのたとえ。意気投合することのたとえ。
 ◆ 馬に乗るとも口車に乗るな _うまにのるともくちぐるまにのるな
 うまい話や巧みな言葉にうっかり乗ると、ひどい目にあうから気をつけるべきだという戒め。
 ◆ 馬に乗るまでは牛に乗れ _うまにのるまではうしにのれ
 高い地位に就く前に、ひとまず低い地位に就いて実力をつけよということのたとえ。また、最善策が取れないならば、次善の策を取れということのたとえ。
 ◆ 馬には乗ってみよ人には添うてみよ _うまにはのってみよひとにはそうてみよ
 何事も経験してみなくては本当のところはわからないのだから、やりもしないで批判したり評価したりするべきではないということ。
 ◆ 馬の耳に風 _うまのみみにかぜ
 人の意見や批判を聞き流すことのたとえ。
 ◆ 馬の耳に念仏 _うまのみみにねんぶつ
 人の意見や忠告に耳を貸そうとせず、少しも効果がないことのたとえ。
 ◆ 馬は馬方 _うまはうまかた
 その道の専門家は専門家だけのことがあるというたとえ。
 ◆ 馬も買わずに鞍を買う _うまもかわずにくらをかう
 物事の順序や段取りが反対なことのたとえ。
 ◆ 馬痩せて毛長し _うまやせてけながし
 人間は貧苦にあえぐと知恵が働かなくなるということ。
 ◆ 馬を牛と言う _うまをうしという
 権力などを利用して、自分の主張を無理に押し通すことのたとえ。また、人の心の中を推測することのたとえ。
 ◆ 馬を牛に乗り換える _うまをうしにのりかえる
 すぐれているほうを捨て、劣っているほうを取ることのたとえ。
 ◆ 馬を得て鞭を失う _うまをえてむちをうしなう
 一方を得た代わりに、一方を失うこと。また、目的のものは得たが、それを活用する手段がなくなることのたとえ。
 ◆ 馬を崋山の陽に帰し、牛を桃林の野に放つ _うまをかざんのみなみにきし、うしをとうりんのやにはなつ
 戦争が終わり平和になるたとえ。
 ◆ 馬を買わんと欲してまず牛を問う _うまをかわんとほっしてまずうしをとう
 高価な物、相場のわからない物を買うときには、まず身近な物の値段を尋ね、その店の掛け値を知れという教え。
 ◆ 鹿を指して馬と為す _しかをさしてうまとなす
 理屈に合わないことを、権力によって無理に押し通すことのたとえ。
 ◆ 海千山千 _うみせんやません
 経験が豊かで抜け目がなく、しぶとくずるくなっていくことのたとえ。
 海に千年、山に千年住んだ蛇は竜になるという言い伝えからできたことわざ。竜ともなれば、蛇などは相手にならない。
 経験を積んで世間の裏表を知り、したたかになること、またはそのような人をいう。
 ◆ 生みの親より育ての親 _うみのおやよりそだてのおや
 自分を生んでくれた親よりも、育ててくれた親のほうが、愛情も恩義も深く感じるということ。
 ◆ 梅に鶯 _うめにうぐいす
 取り合わせのよい二つのもの、よく似合って調和する二つのもののたとえ。仲のよい間柄のたとえ。
 ◆ 埋もれ木に花が咲く _うもれぎにはながさく
 世間から忘れ去られ不遇の身にあった人が、幸運にめぐり合い世に迎えられること。
 ◆ 売り言葉に買い言葉 _うりことばにかいことば
 相手の乱暴な言葉に対して、同じように応酬することのたとえ。
 ◆ 瓜の蔓に茄子はならぬ _うりのつるになすびはならぬ
 平凡な親から非凡な子は生まれないことのたとえ。また、原因のないところに結果は生じないということのたとえ。
 ◆ 瓜二つ _うりふたつ
 顔かたちが見分けがつかないほどよく似ていることのたとえ。
 ◆ 噂をすれば影がさす _うわさをすればかげがさす
 人の噂をしていると、ちょうどそこへ噂の本人が現れることがあるということ。
 ◆ 運根鈍 _うんこんどん
 成功するには、運のよさと根気とねばり強さの三つが必要だということ。
 ◆ 雲散霧消 _うんさんむしょう
 物事があとかたもなく消えてなくなることのたとえ。
 ◆ 雲泥の差 _うんでいのさ
 著しい違いがある、または非常にかけ離れていることのたとえ。雲は天、泥は地で、天と地ほど大きな差があるという意味から。
 ◆ 運否天賦 _うんぷてんぷ
 人の運命はすべて天が決めるものだということ。また、運を天にまかせること。

  *** え ***

 ◆ 英雄色を好む _えいゆういろをこのむ
 英雄は何事にも精力旺盛であるから、女色を好む傾向も強いということ。
 ◆ 易簀 _えきさく
 学徳の高い人や高貴な人が死ぬこと。また、一般に人が死ぬこと。死に際。
 ◆ 益者三友、損者三友 _えきしゃさんゆう、そんしゃさんゆう
 交際して自分の為になる友人には三種類あり、交際して自分が損をする友人も三種類ある。前者は正直な友、誠実な友、博識な友。後者は不正直な友、不誠実な友、口先のうまい友である。
 ◆ 易者身の上知らず _えきしゃみのうえしらず
 他人のことはあれこれ言えるが、自分のこととなるとわからなくなることのたとえ。
 ◆ 会者定離 _えしゃじょうり
 出会う者とはいつか必ず別れる運命にあるという、この世や人生の無常さを言った仏教のことば。
 ◆ 越鳥南枝に巣くい、胡馬北風に嘶く _えっちょうなんしにすくい、こばほくふうにいななく
 故郷の忘れがたいことのたとえ。
 ◆ 得手に帆を揚げる _えてにほをあげる
 絶好の機会が到来し、それを利用してはりきって行動を起こすこと。
 ◆ 江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ _えどっこはよいごしのぜにはもたぬ
 江戸っ子の気前のよさ、金離れのよさを自慢したことば。
 ◆ 江戸の敵を長崎で討つ _えどのかたきをながさきでうつ
 意外な場所や筋違いなことで、以前受けた恨みの仕返しをすることのたとえ。また、関係のない者を討って気を晴らすことのたとえ。
 ◆ 絵に描いた餅 _えにかいたもち
 実際には何の役にも立たないことのたとえ。また、実現する見込みがないことのたとえ。
 ◆ 海老で鯛を釣る _えびでたいをつる
 小さな投資や労力で大きな利益を得ることのたとえ。
 ◆ 襟を正す _えりをただす
 気を引き締めること。きちんと対処することのたとえ。
 ◆ 鴛鴦の契り _えんおうのちぎり
 夫婦の仲がよいことのたとえ。仲のむつまじい夫婦の関係を結ぶこと。
 ◆ 遠交近攻 _えんこうきんこう
 利害関係の遠くの国と親交を結び、その国に背後から威圧させ、近くの国を攻略する外交政策。
 ◆ 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや _えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや
 小人物には、大人物の考えや大きな志などがわからないことのたとえ。
 ◆ 縁なき衆生は度し難し _えんなきしゅじょうはどしがたし
 人の忠告を聞き入れようとしない者は、救いようがないということ。
 ◆ 縁の下の力持ち _えんのしたのちからもち
 人の目につかないところで、他人のために支える苦労や努力をすること。また、そのような人。
 ◆ 縁の下の舞 _えんのしたのまい
 人目につかないところで、他人を支える苦労や努力をすること。また、そのような人。
 ◆ 縁は異なもの味なもの _えんはいなものあじなもの
 男女の結びつきはとても不思議なもので、うまくできているということ。
 ◆ 遠慮なければ近憂あり _えんりょなければきんゆうあり
 目先のことばかりにとらわれて遠い将来のことを考えずにいると、近い将来必ず心配事が起きるということ。

  *** お ***

 ◆ 老い木に花咲く _おいきにはなさく
 一度衰えたものが、再び勢い盛んになることのたとえ。
 ◆ 老いたる馬は道を忘れず _おいたるうまはみちをわすれず
 経験豊かな人は、判断が適切であることのたとえ。
 ◆ 老いては子に従え _おいてはこにしたがえ
 年をとったら出しゃばったり我を張ったりず、何事も子に任せて、これに従っていくほうがいいということ。
 ◆ 負うた子に教えられて浅瀬を渡る _おうたこにおしえられてあさせをわたる
 熟達した者であっても、時には自分より経験の浅い者や年下の者に、物事を教わることもあるということ。
 ◆ 大男総身に知恵が回り兼ね _おおおとこそうみにちえがまわりかね
 体ばかりが大きくて知恵のない人をあざけっていうことば。
 ◆ 大風呂敷を広げる _おおぶろしきをひろげる
 実現するはずもないほらを吹いたり、大げさなことを言ったり、計画したりすること。
 ◆ 陸に上がった河童 _おかにあがったかっぱ
 自分に適した環境から離れたときに、力を発揮できず無能になること。
 ◆ 岡目八目 _おかめはちもく
 当事者よりも第三者のほうが、冷静で客観的に物事を見れるということ。
 ◆ 起きて半畳寝て一畳 _おきてはんじょうねていちじょう
 人は必要以上の富貴を望むべきではなく、満足することが大切であるという教え。
 ◆ 屋上屋を架す _おくじょうおくをかす
 むだなことをするたとえ。
 ◆ 奥歯に衣着せる _おくばにきぬきせる
 思ったことを率直に言わず、遠まわしに思わせぶりな言い方をすること。
 ◆ 奥歯に物が挟まる _おくばにものがはさまる
 思ったことをそのまま言わないで、何か隠しているような言い方をすることのたとえ。
 ◆ 送る月日に関守なし _おくるつきひにせきもりなし
 年月の過ぎるのは、早いものだということのたとえ。
 ◆ 驕る平家は久しからず _おごるへいけはひさしからず
 思い上がった振る舞いをする者は長く栄えることはなく、いずれ滅びるというたとえ。
 ◆ 教うるは学ぶの半ば _おしうるはまなぶのなかば
 人に何かを教えるときは、半分は自分にとっての勉強にもなるということ。
 ◆ 恐れ入谷の鬼子母神 _おそれいりやのきしもじん
 「恐れ入りました」という意味で使うしゃれ言葉。
 ◆ 小田原評定 _おだわらひょうじょう
 長引くだけで、いっこうに埒があかない相談のたとえ。
 ◆ お茶を濁す _おちゃをにごす
 いいかげんなことや適当なことを言ったりしたりして、一時しのぎにその場を取り繕うこと。
 ◆ 男心と秋の空 _おとこごころとあきのそら
 男の愛情は変わりやすいものだということのたとえ。
 ◆ 男は敷居を跨げば七人の敵あり _おとこはしきいをまたげばしちにんのてきあり
 男が社会で活動するときは、いつも多くの競争相手や敵がいて、いろいろと苦労があるというたとえ。
 ◆ 男は度胸、女は愛嬌 _おとこはどきょう、おんなはあいきょう
 男にとって大事なのは、決断力があり物怖じしないことで、女にとって大事なのは、にこやかでかわいらしい振る舞いだということ。
 ◆ 男やもめに蛆が湧き、女やもめに花が咲く _おとこやもめにうじがわき、おんなやもめにはながさく
 妻を失った男や一人暮らしの男は不精で不潔な環境にあるのに対し、夫を失った女や一人暮らしの女は身綺麗で華やかであること。
 ◆ 同じ穴の狢 _おなじあなのむじな
 一見すると違ってみえても、同類・仲間であることのたとえ。
 ◆ 同じ釜の飯を食う _おなじかまのめしをくう
 生活を共にしたり、同じ職場で働いたりして、苦楽を分かち合った親しい間柄のたとえ。
 ◆ 鬼が住むか蛇が住むか _おにがすむかじゃがすむか
 世の中には、どんな恐ろしい人が住んでいるのかわからないこと。また、人の心の底はどんな考えがひそんでいるのかわからないことのたとえ
 ◆ 鬼が出るか蛇が出るか _おにがでるかじゃがでるか
 これからどんな恐ろしいことが起きるか予測ができないことのたとえ。
 ◆ 鬼に金棒 _おににかなぼう
 強いものが何かを得て、さらに強くなることのたとえ。
 ◆ 鬼の居ぬ間に洗濯 _おにのいぬまにせんたく
 こわい人やうるさい人がいない間に、くつろいで息抜きをすることのたとえ。
 ◆ 鬼の霍乱 _おにのかくらん
 普段はとても丈夫な人が、珍しく病気になることのたとえ。
 ◆ 鬼の首を取ったよう _おにのくびをとったよう
 大きな手柄を立てたように、大得意になったり、大喜びしているようすのこと。
 ◆ 鬼の空念仏 _おにのそらねんぶつ
 冷酷で残忍な者が、情け深そうなことを言ったり、表面だけ慈悲深いように取り繕ったりすることのたとえ。また、柄にもなく心がけがよいかのように振舞うことのたとえ。
 ◆ 鬼の目にも涙 _おにのめにもなみだ
 冷酷で無慈悲な人間でも、ときには同情や憐れみを感じて涙を流すというたとえ。
 ◆ 鬼も十八番茶も出花 _おにもじゅうはちばんちゃもでばな
 器量の悪い女性でも、年頃の娘盛りになれば、みな美しく見えるものであるというたとえ。
 ◆ 己に如かざる者を友とするなかれ _おのれにしかざるものをともとするなかれ
 自分をより向上させるためには、自分より劣った者を友にすべきではないという教え。
 ◆ 己の欲する所を人に施せ _おのれのほっするところをひとにほどこせ
 自分が他人からしてもらいたいと思うことは、人にもしてやりなさいという教え。
 ◆ 己の欲せざる所は人に施す勿れ _おのれのほっせざるところはひとにほどこすなかれ
 自分がして欲しくないと思うことは、他人にとっても同じなのだから、他人にすべきではないということ。
 ◆ 帯に短し襷に長し _おびにみじかしたすきにながし
 中途半端で役に立たないことのたとえ。
 ◆ 藁にも縋る _わらにもすがる
 人は万策が尽きて、どうにもならなくなったとき、まったく頼りにならないものにもすがろうとすることのたとえ。
 ◆ 溺れる者は藁をも掴む _おぼれるものはわらをもつかむ
 人は困窮して万策尽きたとき、まったく頼りにならないものにまで必死にすがろうとするというたとえ。
 ◆ お前百までわしゃ九十九まで _おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで
 夫婦がともに仲良く長生きすることをいう。
 ◆ 思い立ったが吉日 _おもいたったがきちじつ
 何かをしようと決意したら、そう思った日を吉日としてすぐに取りかかるのが良いということ。
 ◆ 思う念力岩をも通す _おもうねんりきいわをもとおす
 どんなことでも一心に思いを込めてやれば、必ずできるということのたとえ。
 ◆ 重き馬荷に上荷打つ _おもきうまににうわにうつ
 大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえ。
 ◆ 親思う心にまさる親心 _おやおもうこころにまさるおやごころ
 子が親を思う気持ち以上に、親の子に対する慈愛の気持ちはさらに強いものだということ。
 ◆ 親が死んでも食休み _おやがしんでもじきやすみ
 どんなに忙しくても、食後の休息はとらなくてはいけないという戒め。
 ◆ 親方日の丸 _おやかたひのまる
 国営企業や地方自治体などは、国が後ろ盾になっていて倒産の恐れが無いことから、経営状況が悪化しても最後には国が面倒をみてくれるという意味で、いい加減さや放漫さを揶揄することば。
 ◆ 親子は一世、夫婦は二世、主従は三世 _おやこはいっせ、ふうふはにせ、しゅじゅうはさんぜ
 親子の関係は一世、夫婦の関係は二世にわたり、主従関係は三世にわたるほど深いものであるということ。
 ◆ 親知らず子知らず _おやしらずこしらず
 危険な山道、海沿いの断崖絶壁の道などの難所のこと。
 ◆ 親の心子知らず _おやのこころこしらず
 親の子に対する深い愛情がわからず、子が勝手気ままにふるまうこと。また、自分が親になってみなければ、親の気持ちはわからないということ。
 ◆ 親の光は七光 _おやのひかりはななひかり
 親の威光によって子が恩恵を受けること。また、親の名声や地位を子が大いに利用すること。
 ◆ 親馬鹿子馬鹿 _おやばかこばか
 親は自分の子を溺愛するあまり、子の愚かさに気づかず、子は親の愛情に甘えて愚かなことをするということ。
 ◆ 泳ぎ上手は川で死ぬ _およぎじょうずはかわでしぬ
 自分の力を過信して、慣れたことや得意なことで失敗したり、身を滅ぼしたりすることのたとえ。
 ◆ 及ばぬ鯉の滝登り _およばぬこいのたきのぼり
 どんなに努力しても見込みがないこと、いくら希望しても不可能なことのたとえ。
 ◆ 終わり良ければ全て良し _おわりよければすべてよし
 物事は最終の結末がもっとも大事であり、途中の過程は問題にならないということ。
 ◆ 尾を振る犬は叩かれず _おをふるいぬはたたかれず
 従順な人は、誰からもひどい仕打ちを受けることはないことのたとえ。
 ◆ 温故知新 _おんこちしん
 昔のことをよく学び、そこから新しい知識や道理を得ること。また、過去の事柄を研究して、現在の事態に対処すること。
 ◆ 女心と秋の空 _おんなごころとあきのそら
 変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だということ。
 ◆ 女三人寄れば姦しい _おんなさんにんよればかしましい
 女性はおしゃべりだから、三人も集まれば騒がしくて仕方ないということ。
 ◆ 乳母日傘 _おんばひがさ
 子供、特に乳児が過保護な育てられ方をすることのたとえ。
 ◆ 恩を仇で返す _おんをあだでかえす
 恩を受けた人に対して、感謝するどころか害を加えるような仕打ちをすること。