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 *** か ***

 ◆ 飼い犬に手を噛まれる _ かいいぬにてをかまれる
 飼い犬に手を噛まれるとは、日頃からかわいがり面倒をみてきた者からひどく裏切られたり、害を受けたりすること。
 ◆ 会稽の恥 _かいけいのはじ
 戦いに大敗した屈辱。また、他人から受けたひどい屈辱のこと。
 ◆ 鎧袖一触 _がいしゅういっしょく
 きわめてたやすく相手を打ち負かすことのたとえ。また、弱い相手に一撃を加えることのたとえ。
 ◆ 快刀乱麻を断つ _かいとうらんまをたつ
 複雑な問題や紛糾している事態を、ものの見事に解決することのたとえ。
 ◆ 怪力乱神を語らず _かいりょくらんしんをかたらず
 君子は、道理にそむいたこと、理性で説明がつかないようなものについては語らないものだということ。また、怪しげなこと、不確かなことは口にしないという意。
 ◆ 偕老同穴 _かいろうどうけつ
 夫婦の仲がよいことのたとえ。仲のむつまじい夫婦の関係を結ぶこと。
 ◆ 蛙の子は蛙 _かえるのこはかえる
 子の性質や能力は親に似るものだというたとえ。また、凡人の子は凡人にしかならないということ。
 ◆ 蛙の面に水 _かえるのつらにみず
 どんな目にあわされてもいっこうに気にせず、平気でいることのたとえ。
 ◆ 顔に泥を塗る _かおにどろをぬる
 名誉を傷つけたり、恥をかかせたりすることのたとえ。
 ◆ 蝸牛角上の争い _かぎゅうかくじょうのあらそい
 些細なことや、狭い世界でのつまらない争いのたとえ。
 ◆ 学問に王道なし _がくもんにおうどうなし
 学問を修めるのに、安易な方法はないということ。
 ◆ 駆け馬に鞭 _かけうまにむち
 勢いがついている者、強い者に力を加えて、さらに勢いを激しくすることのたとえ。
 ◆ 駆けつけ三杯 _かけつけさんばい
 酒の席に遅れて来た者に、罰として立て続けに三杯の酒を飲ませること。
 ◆ 臥薪嘗胆 _がしんしょうたん
 仕返しのため、または目的を達成するために、長い年月の間苦労にじっと耐えることのたとえ。
 ◆ 苛政は虎よりも猛し _かせいはとらよりもたけし
 悪政は人を食い殺す虎よりも恐ろしいということのたとえ。
 ◆ 風が吹けば桶屋が儲かる _かぜがふけばおけやがもうかる
 あることが原因となって、その影響がめぐりめぐって意外なところに及ぶことのたとえ。また、当てにならないことを期待するたとえ。
 ◆ 風邪は万病の元 _かぜはまんびょうのもと
 風邪はあらゆる病気の元になるから、あなどってはいけないという戒め。
 ◆ 刀折れ矢尽きる _かたなおれやつきる
 戦う手段、物事に立ち向かう手段が尽きることのたとえ。
 ◆ 火中の栗を拾う _かちゅうのくりをひろう
 自分の利益にはならないのに、そそのかされて他人のために危険をおかすことのたとえ。また、あえて困難なことに身を乗り出すことのたとえ。
 ◆ 隔靴掻痒 _かっかそうよう
 物事が思うようにいかず、もどかしいこと。
 ◆ 渇して井を穿つ _かっしていをうがつ
 必要に迫られてから慌てて準備をしても、間に合わないことのたとえ。また、時機を失することのたとえ。
 ◆ 渇しても盗泉の水を飲まず _かっしてもとうせんのみずをのまず
 どんなに苦しいときであっても、決して不正なことは行わないことのたとえ。
 ◆ 合従連衡 _がっしょうれんこう
 そのときの利害に従って、他と結びついたり離れたりすること。また、時勢に応じて巧みに計略をめぐらす政策、特に外交政策のこと。
 ◆ 勝って兜の緒を締めよ _かってかぶとのおをしめよ
 成功したからといって気をゆるめず、さらに心を引き締めろという戒め。
 ◆ 渇して井を穿つ _かっしていをうがつ
 必要に迫られてから慌てて準備をしても、間に合わないことのたとえ。また、時機を失することのたとえ。
 ◆ 河童の川流れ _かっぱのかわながれ
 名人や達人であっても、油断して簡単な失敗をすることがあるというたとえ。
 ◆ 勝てば官軍、負ければ賊軍 _かてばかんぐん、まければぞくぐん
 何事も強い者や最終的に勝ったものが正義とされることのたとえ。
 ◆ 我田引水 _がでんいんすい
 他人のことを考えず、自分に都合が良いように考えたり、ものごとを行ったりすること。
 ◆ 瓜田に履を納れず _かでんにくつをいれず
 疑念を招くような行為は避けよといういましめ。
 ◆ 瓜田李下 _かでんりか
 人に疑いをかけられるような言動は慎むべきであるということのたとえ。また、人に疑念を抱かせるような行為のたとえ。
 ◆ 鼎の軽重を問う _かなえのけいちょうをとう
 権力者・権威者の実力や能力を疑うこと。また、代わりに権力や地位を奪おうとすることのたとえ。
 ◆ 蟹は甲羅に似せて穴を掘る _かにはこうらににせてあなをほる
 人はそれぞれ分相応の考えや行いをするということのたとえ。
 ◆ 金の草鞋で尋ねる _かねのわらじでたずねる
 根気よく、あちこち探し回ることのたとえ。
 ◆ 金は天下の回り物 _かねはてんかのまわりもの
 金は一箇所にとどまるものではなく、常に人から人へ回っているものだから、今はお金が無い人の所にもいつかは回ってくるという励まし。
 ◆ 禍福は糾える縄の如し _かふくはあざなえるなわのごとし
 幸福と不幸は表裏一体で、かわるがわる来るものだということのたとえ。
 ◆ 株を守りて兎を待つ _かぶをまもりてうさぎをまつ
 古い習慣や過去に偶然成功した経験にこだわり、いつまでも進歩がなかったり融通がきかないことのたとえ。
 ◆ 画餅に帰す _がべいにきす
 計画などが実現できなくて、無駄に終わることのたとえ。
 ◆ 壁に耳あり障子に目あり _かべにみみありしょうじにめあり
 隠し事はとかく漏れやすいものだから、注意せよという戒め。
 ◆ 果報は寝て待て _かほうはねてまて
 運というものは人の力ではどうにもできないものだから、あせらずに時機を待つのが良いということ。
 ◆ 噛む馬はしまいまで噛む _かむうまはしまいまでかむ
 悪い性質や癖は容易に変えられず、死ぬまでなおらないことのたとえ。
 ◆ 亀の甲より年の功 _かめのこうよりとしのこう
 年長者の豊富な経験は貴重であり、尊重すべきものだということ。
 ◆ 鴨が葱を背負って来る _かもがねぎをしょってくる
 うまいことが重なり、ますます好都合であることのたとえ。
 ◆ 空馬に怪我なし _からうまにけがなし
 何も持っていない無一文の者は、損のしようがないというたとえ。
 ◆ 烏の行水 _からすのぎょうずい
 入浴時間がきわめて短いことのたとえ。
 ◆ 画竜点睛 _がりょうてんせい
 物事をりっぱに完成させるための、最後の仕上げ。また、全体を引き立たせる最も肝心なところ。
 ◆ 画竜点睛を欠く _がりょうてんせいをかく
 物事をりっぱに完成させるための、最後の仕上げを忘れること。また、全体を引き立たせる最も肝心なところが抜けていること。
 ◆ 借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔 _かりるときのじぞうがお、かえすときのえんまがお
 金を借りる時は優しいにこにこ顔をするが、返すときには不機嫌な顔をすること。
 ◆ 枯れ木も山の賑わい _かれきもやまのにぎわい
 つまらないものでも、無いよりはましであるということ。また、役に立たない者でも、いないよりはいたほうがましだということのたとえ。
 ◆ 彼を知り己を知れば百戦殆うからず _かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず
 敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないということ。
 ◆ 夏炉冬扇 _かろとうせん
 時期はずれで役に立たない物事のたとえ。
 ◆ 可愛い子には旅をさせよ _かわいいこにはたびをさせよ
 我が子が可愛いなら、親の元に置いて甘やかすことをせず、世の中の辛さや苦しみを経験させたほうがよいということ。
 ◆ 可愛さ余って憎さ百倍 _かわいさあまってにくさひゃくばい
 かわいいという気持ちが強ければ強いほど、いったん憎しみの感情が沸けば、その憎しみは度もはなはだしいものだということ。
 ◆ 川立ちは川で果てる _かわだちはかわではてる
 人は慣れたことや得意なことほど油断し、かえって身を滅ぼしたり、災いを招くことがあるといういましめ。
 ◆ 考える葦 _かんがえるあし
 人間のたとえ。人間は自然の中でもっとも弱い一本の葦みたいなものだが、それは考えるという能力をもった存在だということ。
 ◆ 汗牛充棟 _かんぎゅうじゅうとう
 蔵書がきわめて多いことのたとえ。
 ◆ 眼光紙背に徹す _がんこうしはいにてっす
 書物に書いてあることを、表面だけでなく真意まで理解することのたとえ。読解力に長けていること。
 ◆ 換骨奪胎 _かんこつだったい
 先人の詩文や文章の作意・形式を取り入れながら、独自の工夫を加えて新しい作品として作り上げること。
 ◆ 閑古鳥が鳴く _かんこどりがなく
 人が集まらずものさびしい様子。特に商売などがはやらず、さびれている様子をいう。
 ◆ 勘定合って銭足らず _かんじょうあってぜにたらず
 理論と実践は一致しないことのたとえ。
 ◆ 韓信の股くぐり _かんしんのまたくぐり
 将来に大志を抱く者は、屈辱にもよく耐えるというたとえ。
 ◆ 肝胆相照らす _かんたんあいてらす
 互いに心の底まで打ち明けて、親しく交際することのたとえ。
 ◆ 邯鄲の夢 _かんたんのゆめ
 人の世の栄枯盛衰は、はかないものであることのたとえ。
 ◆ 艱難汝を玉にす _かんなんなんじをたまにす
 人は困難や苦労を乗り越えることによって、初めて立派な人間に成長するということ。
 ◆ 堪忍袋の緒が切れる _かんにんぶくろのおがきれる
 我慢できる許容量を超えて、怒りが爆発することのたとえ。
 ◆ 汗馬の労 _かんばのろう
 戦場での功労。また、あることのために広く駆けずり回る苦労のこと。
 ◆ 看板に偽りあり _かんばんにいつわりあり
 外見と実質が一致していないことのたとえ。
 ◆ 看板に偽りなし _かんばんにいつわりなし
 外見と実質が一致していることのたとえ。
 ◆ 完膚無きまで _かんぷなきまで
 徹底的に打ちのめすさま。
 ◆ 完璧 _かんぺき
 欠点や足りない部分が全く無いこと。
 ◆ 管鮑の交わり _かんぽうのまじわり
 互いに理解し信頼し合った、きわめて親密な関係。

 *** き ***

 ◆ 聞いて極楽見て地獄 _きいてごくらくみてじごく
 人から聞いた話と、実際に見るのとでは大きな違いがあるということ。
 ◆ 既往は咎めず _きおうはとがめず
 過ぎ去ってしまったことをあれこれ咎めても仕方ない。それよりも将来のことを大事にせよということ。
 ◆ 奇貨居くべし _きかおくべし
 よい機会は逃さずに、うまく利用しなければならないことのたとえ。
 ◆ 気が置けない _きがおけない
 遠慮したり気遣ったりする必要がなく、心から打ち解けられるさま。
 ◆ 危機一髪 _ききいっぱつ
 一つ間違えれば重大な危機にさらされるという瀬戸際のこと。
 ◆ 危急存亡の秋 _ききゅうそんぼうのとき
 生き残れるか滅びるかの大きな瀬戸際に立たされているときのこと。
 ◆ 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 _きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ
 知らないことは積極的に質問するべきだという教え。
 ◆ 聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥 _きくはいっときのはじ、きかぬはまつだいのはじ
 知らないことを聞くのは恥ずかしいが、聞かないまま知らずに過ごせば、一生恥ずかしい思いをするという戒め。
 ◆ 危ない橋を渡る _あぶないはしをわたる
 目的を達成するために、危険な手段をあえて使うことのたとえ。
 ◆ 騎虎の勢い _きこのいきおい
 勢いやはずみがついてしまったら、途中でやめられないことのたとえ。
 ◆ 起死回生 _きしかいせい
 滅びかっていたものを生き返らせること。絶望的な状態から盛り返すこと。
 ◆ 雉も鳴かずば撃たれまい _きじもなかずばうたれまい
 余計なことを言ったばかりに、自ら災いを招くことのたとえ。
 ◆ 机上の空論 _きじょうのくうろん
 頭の中だけで考えられた、実際には役立たない議論や計画のたとえ。
 ◆ 疑心暗鬼を生ず _ぎしんあんきをしょうず
 疑いの心をもって見ると、なんでもないことでも疑わしく見えてくるということのたとえ。
 ◆ 帰心矢の如し _きしんやのごとし
 故郷や我が家に早く帰りたいと強く思う気持ちのたとえ。
 ◆ 傷口に塩を塗る _きずぐちにしおをぬる
 悪いことの上に、さらに災難や悪いことが重なることのたとえ。
 ◆ 鬼籍に入る _きせきにいる
 死亡すること。
 ◆ 狐の嫁入り _きつねのよめいり
 日が照っているのに、雨がぱらぱら降ること。日照り雨。天気雨。
 ◆ 狐を馬に乗せたよう _ きつねをうまにのせたよう
 動揺して落ち着かないさま。また、言うことが当てにならず信用できないことのたとえ。
 ◆ 木で鼻を括る _きではなをくくる
 きわめてそっけない態度、冷淡な態度をとることのたとえ。
 ◆ 木に竹を接ぐ _きにたけをつぐ
 ちぐはぐで調和や釣り合いがとれないことのたとえ。
 ◆ 木に縁りて魚を求む _きによりてうおをもとむ
 物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うこと。
 ◆ 昨日は人の身、今日は我が身 _きのうはひとのみ、きょうはわがみ
 今日は我が身とは、人の運命はいつどのように変わるか予測できないものだし、災難はいつ誰の身に降りかかってくるか予測できないものだということ。
 ◆ 驥は一日にして千里なるも、駑馬も十駕すれば之に及ぶ _きはいちにちにしてせんりなるも、どばもじゅうがすればこれにおよぶ
 驥は一日にして千里なるも駑馬も十駕すれば之に及ぶとは、凡人でも努力し続ければ、すぐれた人物に追いつくことができるということ。
 ◆ 気は心 _きはこころ
 量や額がわずかであったとしても、本人の真心の一端をあらわすものであるということ。また、気の持ちようで心が落ち着くということ。
 ◆ 驥尾に付す _きびにふす
 すぐれた人物の後につき従っていれば、自分の能力以上のことが成し遂げられることのたとえ。
 ◆ 木仏金仏石仏 _きぶつかなぶついしぼとけ
 融通の利かない堅い人。また、人情の薄い人のたとえ。
 ◆ 杞憂 _きゆう
 無用の心配、取り越し苦労のこと。
 ◆ 九牛の一毛 _きゅうぎゅうのいちもう
 多数のうち、きわめて少ない部分のたとえ。また、比較にならないほどつまらないこと。
 ◆ 九死に一生を得る _きゅうしにいっしょうをえる
 ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて助かることのたとえ。
 ◆ 九仞の功を一簣に虧く _きゅうじんのこうをいっきにかく
 事が今にも成就するというときに、手を抜いたために物事が完成しない、または失敗すること。
 ◆ 窮すれば通ず _きゅうすればつうず
 最悪の事態に陥ってどうにもならなくなると、かえって活路が開けるものだということ。
 ◆ 窮鼠猫を噛む _きゅうそねこをかむ
 絶体絶命の窮地に追い詰められれば、弱い者でも強い者に逆襲することがあるというたとえ。
 ◆ 窮鳥懐に入れば猟師も殺さず _きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず
 窮地に陥った者が助けを求めてきたら、どんな理由があろうと助けてあげるものだということ。
 ◆ 胸襟を開く _きょうきんをひらく
 心を打ち明けること。
 ◆ 兄弟は他人の始まり _きょうだいはたにんのはじまり
 血を分けた兄弟であっても、それぞれ成長し独立すると、疎遠になって他人同士のようになっていくということ。
 ◆ 京に田舎あり _きょうにいなかあり
 にぎやかな都会の中でも、まだひらけていない田舎めいた場所や、古い習慣が残っているということ。
 ◆ 京の着倒れ、大阪の食い倒れ _きょうのきだおれ、おおさかのくいだおれ
 京都の人は衣服に金をかける着道楽、大阪の人は飲食に金をかける食道楽の気風があるということ。
 ◆ 京の夢大阪の夢 _きょうのゆめおおさかのゆめ
 夢の話や夢のような話をする前に言うことばで、夢は不思議なものであるということ。夢では様々な願望が叶うものだということ。人それぞれ願望は違うということ。
 ◆ 曲学阿世 _きょくがくあせい
 学問の真理を曲げて、世間や権力者に気に入られるような説を唱え、こびへつらうこと。
 ◆ 玉石混淆 _ぎょくせきこんこう
 良いものとそうでないもの、あるいは優れたものと劣ったものが、区別なく入り混じっていることのたとえ。
 ◆ 漁夫の利 _ぎょふのり
 当事者同士が争っているうちに、第三者が何の苦労もなく利益をさらうことのたとえ。
 ◆ 清水の舞台から飛び降りる _きよみずのぶたいからとびおりる
 思い切って大きな決断をすることのたとえ。
 ◆ 桐一葉 _きりひとは
 桐が一葉落ちるのを見て、秋の訪れを知ること。転じて、物事の一端から全体の動きを知ることのたとえ。また、物事の衰退していく前兆を感じることのたとえ。
 ◆ 騏も老いては駑馬に劣る _きりんもおいてはどばにおとる
 どんなにすぐれた才能を持つ人でも、年をとって衰えると平凡な人にも及ばなくなるというたとえ。
 ◆ 岐路亡羊 _きろぼうよう
 学問の道が細分化しすぎて真理を得がたいこと。転じて、いくつもの方針があるため、どれを選ぶべきか迷ってしまうことのたとえ。
 ◆ 軌を一にする _きをいつにする
 考え方ややり方が同じであることのたとえ。また、国が統一されていることのたとえ。
 ◆ 義を見てせざるは勇無きなり _ぎをみてせざるはゆうなきなり
 人として行うべき正義と知りながらそれをしないことは、勇気が無いのと同じことである。
 ◆ 木を見て森を見ず _きをみてもりをみず
 物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うこと。
 ◆ 槿花一日の栄 _きんかいちじつのえい
 この世の栄華が、はかなくむなしいことのたとえ。
 ◆ 金石の交わり _きんせきのまじわり
 友情のきわめて堅く結ばれていることのたとえ。また、いつまでも変わらない交際のたとえ。
 ◆ 金時の火事見舞い _きんときのかじみまい
 飲酒などで顔が真っ赤になるさま。

 *** く ***

 ◆ 苦あれば楽あり _くあればらくあり
 苦しいことの後には、楽しいことが待っているということ。
 ◆ 空谷の跫音 _くうこくのきょうおん
 退屈でさびしい暮らしを送っているところに、思いがけなく人が訪れたり、嬉しい便りがきたりすること。
 ◆ 空即是色 _くうそくぜしき
 この世にあるすべてのものは因と縁によって存在しているだけで、その本質は空であるということ。また、その空がそのままこの世に存在するすべてのものの姿であるということ。
 ◆ 釘を刺す _くぎをさす
 後で問題が起こらないように念を押すことのたとえ。
 ◆ 愚公、山を移す _ぐこう、やまをうつす
 どんなに困難なことでも辛抱強く努力を続ければ、いつか必ず成し遂げることができるというたとえ。
 ◆ 臭い物に蓋をする _くさいものにふたをする
 都合の悪いことや醜聞が他に漏れないように、一時しのぎの方法で隠すことのたとえ。
 ◆ 草木も眠る丑三つ時 _くさきもねむるうしみつどき
 気味が悪い程、ひっそりと静まりかえっている真夜中のたとえ。
 ◆ 腐っても鯛 _くさってもたい
 すぐれたものは多少悪い状態になっても、本来の価値を失わないというたとえ。
 ◆ 草を打って蛇を驚かす _くさをうってへびをおどろかす
 何気なくしたことが、思いがけない結果や災難を招くことのたとえ。また、悪いことをした人の中の一人をこらしめて、関係する他の者を戒めることのたとえ。
 ◆ 孔子の倒れ _くじのたおれ
 どんな名人・達人にも、時には失敗することがあるというたとえ。
 ◆ 薬も過ぎれば毒となる _くすりもすぎればどくとなる
 たとえ良いものであっても、度が過ぎればかえって害になるというたとえ。
 ◆ 癖ある馬に能あり _くせあるうまにのうあり
 癖のある人ほど、凡人とは違う能力を持っているものだというたとえ。
 ◆ 癖ある馬に乗りあり _くせあるうまにのりあり
 一癖ある者でも、扱い方次第では個性を生かして使うことができるというたとえ。
 ◆ 管を巻く _くだをまく
 酒に酔って、とりとめもないことをくどくど言い続けること。
 ◆ 口自慢の仕事下手 _くちじまんのしごとべた
 口だけは達者だが、仕事がさっぱりできないこと。
 ◆ 口では大阪の城も建つ _くちではおおさかのしろもたつ
 口先だけでは、どんなに立派なことでも言えるたとえ。
 ◆ 蛇の口裂け _くちなわのくちさけ
 欲が深すぎるあまり、身を滅ぼすことのたとえ。
 ◆ 口に蜜あり腹に剣あり _くちにみつありはらにけんあり
 口ではうまいことを言うが、内心は険悪であること。
 ◆ 口は禍の門 _くちはわざわいのかど
 不用意な発言は身を滅ぼす要因になるから、言葉は十分に慎むべきだという戒め。
 ◆ 口は災いの元 _くちはわざわいのもと
 不用意な発言は自分自身に災いを招く結果になるから、言葉は十分に慎むべきだという戒め。
 ◆ 口も八丁手も八丁 _くちもはっちょうてもはっちょう
 話も流暢で何かをすることも達者な人のこと。
 ◆ 苦肉の策 _くにくのさく
 自分を犠牲にしてでも、敵をあざむくために行うはかりごと。また、苦し紛れに考え出した手段、計略。
 ◆ 国破れて山河あり _くにやぶれてさんがあり
 戦乱で国が滅びても、山や川の自然はもとのままのなつかしい姿で存在しているということ。
 ◆ 首が回らない _くびがまわらない
 借金などが多くて、やりくりができないことのたとえ。
 ◆ 蜘蛛の子を散らす _くものこをちらす
 大勢の者が四方八方に散って逃げるようす。
 ◆ 暗闇の鉄砲 _くらやみのてっぽう
 当てずっぽうにすることのたとえ。物事を向こう見ずにやること。まぐれ当たりのたとえにもいう。
 ◆ 苦しい時の神頼み _くるしいときのかみだのみ
 日頃は神も仏も拝んだことがない信心のない者が、苦しい時や困った時や災難にあったりしたときにだけ、神仏に頼って助けを求めて祈ること。
 ◆ 君子危うきに近寄らず _くんしあやうきにちかよらず
 教養があり徳がある者は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないということ。
 ◆ 君子の交わりは淡きこと水の如し _くんしのまじわりはあわきことみずのごとし
 君子の交際は、水のように淡白であるが、その友情はいつまでも変わらないということ。
 ◆ 君子は豹変す _くんしはひょうへんす
 徳の高い立派な人物は、過ちに気づけば即座にそれを改め正しい道に戻るものだということ。また、状況によって態度や考えを急に変えるものだというたとえ。
 ◆ 君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず _くんしはわしてどうぜず、しょうじんはどうじてわせず
 すぐれた人物は協調はするが、主体性を失わず、むやみに同調したりしない。つまらない人物はたやすく同調するが、心から親しくなることはないということ。

 *** け ***

 ◆ 鶏群の一鶴 _けいぐんのいっかく
 多くの凡人の中に、一人だけ抜きん出てすぐれた人がまじっていることのたとえ。
 ◆ 鶏口牛後 _けいこうぎゅうご
 大きな集団の中で尻にいて使われるよりも、小さな集団であっても長となるほうがよいということ。
 ◆ 鶏口となるも牛後となるなかれ _けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ
 大きな集団の中で尻にいて使われるよりも、小さな集団であっても長となるほうがよい。
 ◆ 傾国 _けいこく
 絶世の美女のたとえ。
 ◆ 芸術は長く人生は短し _げいじゅつはながくじんせいはみじかし
 人の一生は短いが、すぐれた芸術作品は長く世に残るということ。また、芸術作品を完成させるには長い年月を費やすものだが、人生はあまりにも短すぎるということ。
 ◆ 傾城 _けいせい
 絶世の美女。また、遊女のこと。
 ◆ 蛍雪 _けいせつ
 苦労して学問に励むこと。
 ◆ 兄たり難く弟たり難し _けいたりがたくていたりがたし
 両者ともすぐれていて、優劣がつけられないこと。
 ◆ 芸は身を助く _げいはみをたすく
 一芸を身につけておくと、いざというとき生計を助けることもあるということ。
 ◆ 桂馬の高上がり _けいまのたかあがり
 身分不相応な地位に上ったために、実力が伴わず失敗することのたとえ。
 ◆ 怪我の功名 _けがのこうみょう
 失敗や過失、あるいは何気なくしたことなどが、偶然によい結果をもたらすことのたとえ。
 ◆ 逆鱗に触れる _げきりんにふれる
 目上の人を激怒させることのたとえ。
 ◆ 下衆の後知恵 _げすのあとぢえ
 愚かな者は必要なときに良い考えが浮かばずに、事が終わってから良い考えが思いつくものだということ。
 ◆ 下衆の勘繰り _げすのかんぐり
 心の卑しい者は、とかくひがみっぽくて邪推をしたがるものだというたとえ。
 ◆ 下駄を預ける _ げたをあずける
 物事の処理などを相手に一任することのたとえ。
 ◆ 外面如菩薩内心如夜叉 _げめんにょぼさつないしんにょやしゃ
 外見はやさしく穏やかに見えるが、心の中は邪悪で恐ろしいというたとえ。多く女性にいう。
 ◆ 蹴る馬も乗り手次第 _けるうまものりてしだい
 乱暴で扱いにくいような者でも、うまい扱い方はあるということのたとえ。
 ◆ 毛を吹いて疵を求む _けをふいてきずをもとむ
 他人の小さな欠点をわざわざ探し出したりすること、また、人の欠点や悪事をあばこうとしてかえって自分の欠点をさらけ出すことのたとえ。
 ◆ 犬猿の仲 _けんえんのなか
 非常に仲が悪いことのたとえ。
 ◆ 喧嘩両成敗 _
 けんかりょうせいばい
 喧嘩をした者は、双方とも悪いとして処罰するということ。
 ◆ 牽強付会 _けんきょうふかい
 道理に合わないことを、自分の都合のいいように強引に理屈をこじつけること。
 ◆ 乾坤一擲 _けんこんいってき
 運を天に任せ、一世一代の大勝負に出ることのたとえ。
 ◆ 健全なる精神は健全なる身体に宿る _けんぜんなるせいしんはけんぜんなるしんたいにやどる
 体が健康であれば、それに伴って精神も健全であるということ。また、何事も身体がもとであるということ。
 ◆ 捲土重来 _けんどちょうらい
 一度敗れた者が態勢を立て直し、再び勢力を盛り返すこと。
 ◆ 犬馬の心 _けんばのこころ
 主君に対して忠節を尽くし、恩に報いようとする心のこと。
 ◆ 犬馬の養い _けんばのやしない
 家畜に餌を与えるのと同じように、親を養うのにただ衣食の面倒をみるだけで、うやまう気持ちがないことのたとえ。
 ◆ 犬馬の労 _けんばのろう
 君主や目上の人、または他人のために全力を尽くすことを、へりくだって言うことば。

 *** こ ***

 ◆ 鯉の滝登り _こいのたきのぼり
 目覚ましく立身出世すること。
 ◆ 恋は思案の外 _こいはしあんのほか
 男女の愛情・恋情は、常識で説明できるものではないということ。
 ◆ 紅一点 _こういってん
 多くの男性の中に一人だけ女性が入っていることのたとえ。
 ◆ 光陰矢の如し _こういんやのごとし
 月日の経つのがとても早いこと。
 ◆ 行雲流水 _こううんりゅうすい
 物事に執着せず、自然の成り行きに身を任せること。また、とどまることなく自然に移り変わってよどみがないことのたとえ。
 ◆ 後悔先に立たず _こうかいさきにたたず
 すでに終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないということ。
 ◆ 好機逸すべからず _こうきいっすべからず
 よい機会は逃してはならないということ。
 ◆ 剛毅木訥仁に近し _ごうきぼくとつじんにちかし
 意思が強く強固で、素朴で口数が少ない人物が、道徳の理想である仁に最も近い者であるということ。
 ◆ 巧言令色鮮し仁 _こうげんれいしょくすくなしじん
 言葉巧みで、人から好かれようと愛想を振りまく者には、誠実な人間が少なく、人として最も大事な徳である仁の心が欠けているものだということ。
 ◆ 孝行のしたい時分に親はなし _こうこうのしたいじぶんにおやはなし
 親の有り難さがわかる年頃には、親はこの世にはいない。親が生きているうちに孝行せよという戒め。
 ◆ 恒産無くして恒心無し _こうさんなくしてこうしんなし
 一定の職業や財産を持たなければ、しっかりとした道義心や良識を持つことはできないということ。
 ◆ 孔子の倒れ _くじのたおれ
 どんな名人・達人にも、時には失敗することがあるというたとえ。
 ◆ 好事魔多し _こうじまおおし
 良いことはとかく邪魔が入りやすいということ。
 ◆ 好事門を出でず悪事千里を行く _こうじもんをいでずあくじせんりをゆく
 よいことはなかなか世間に知られず、悪いことの評判はすぐに遠方まで広がってしまうということ。
 ◆ 後塵を拝する _こうじんをはいする
 人に先んじられることのたとえ。また、すぐれた人物に追従することのたとえ。
 ◆ 後生畏るべし _こうせいおそるべし
 自分よりも若い者は、さまざまな可能性を秘めているし、努力によって将来どれだけの人物になるのかわからないから、若いからといって見くびってはいけないという戒め。
 ◆ 浩然の気 _こうぜんのき
 豊かでのびのびとした、大らかな心のたとえ。
 ◆ 巧遅は拙速に如かず _こうちはせっそくにしかず
 上手だが遅いよりも、下手でも速いほうがよいということ。
 ◆ 荒唐無稽 _こうとうむけい
 言うことがでたらめで、根拠のないこと。
 ◆ 狡兎死して走狗烹らる _こうとししてそうくにらる
 必要なときは重宝がられるが、用がなくなればあっさり捨てられることのたとえ。
 ◆ 郷に入っては郷に従え _ごうにいってはごうにしたがえ
 風俗や習慣はその土地によって違うから、新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従うべきだということ。また、ある組織に属したときは、その組織の規律に従うべきだということ。
 ◆ 弘法にも筆の誤り _こうぼうにもふでのあやまり
 どんな名人・達人にも、時には失敗することがあるというたとえ。
 ◆ 弘法筆を選ばず _こうぼうふでをえらばず
 本当の名人は、道具の善し悪しなど問題にしないというたとえ。
 ◆ 紺屋の明後日 _こうやのあさって
 当てにならない約束や期日のたとえ。
 ◆ 紺屋の白袴 _こうやのしろばかま
 他人のためにばかり働いて、自分のことに手が回らないこと。
 ◆ 呉越同舟 _ごえつどうしゅう
 敵対する者同士や、仲の悪い者同士が同じ場所に居合わせることのたとえ。また、そのような者同士でも、同じ困難や利害のために協力することのたとえ。
 ◆ 故郷へ錦を飾る _こきょうへにしきをかざる
 故郷を離れていた者が、立身出世して華やかに帰郷することのたとえ。
 ◆ 虎穴に入らずんば虎子を得ず _こけつにいらずんばこじをえず
 危険を避けていては、大きな成功も有り得ないということのたとえ。
 ◆ 虚仮の一心 _こけのいっしん
 愚かな者が一つのことだけに心をかたむけ、やり遂げようとすること。また、愚かな者でも一心にやれば、目的を達成できたり優れたことができたりするということ。
 ◆ 五十歩百歩 _ごじっぽひゃっぽ
 わずかな違いだけで、本質的には変わらないことのたとえ。
 ◆ 五十にして天命を知る _ごじゅうにしててんめいをしる
 五十歳になって、天から与えられた自分の使命を悟るようになるということ。
 ◆ 五臓六腑に沁みわたる _ごぞうろっぷにしみわたる
 腹の底まで沁みとおること。
 ◆ 胡蝶の夢 _こちょうのゆめ
 現実と夢の世界の区別がつかないことのたとえ。また、人生のはかないことのたとえ。
 ◆ 骨肉相食む _こつにくあいはむ
 血を分けた者同士が激しく争うことのたとえ。
 ◆ 子供の喧嘩に親が出る _こどものけんかにおやがでる
 、つまらぬことに口出しをする大人げない行為のこと。
 ◆ 子は鎹 _こはかすがい
 子供は夫婦の仲を繋ぎとめてくれるものだというたとえ。
 ◆ 子は三界の首枷 _こはさんがいのくびかぜ
 親というものは子供のことにとらわれて、一生自由を束縛されることのたとえ。
 ◆ 小春日和 _こはるびより
 晩秋から初冬にかけての、春のように穏やかで暖かい気候のこと。
 ◆ 五風十雨 _ごふうじゅうう
 世の中が安泰であることのたとえ。また、気候が順調で農作物に好都合であること。
 ◆ ごまめの歯軋り _ごまめのはぎしり
 実力のない者が、いたずらに苛立ったり悔しがったりすることのたとえ。
 ◆ 五里霧中 _ごりむちゅう
 どうすべきかの方針や見込みがまったく立たないことのたとえ。また、手探りで何かをすることのたとえ。
 ◆ 転がる石には苔が生えぬ _ころがるいしにはこけがはえぬ
 よく動き、働く人が生き生きしていることのたとえ。また、仕事や住居を転々としている人は、成功せず、金もたまらないことのたとえ。
 ◆ 転ばぬ先の杖 _ころばぬさきのつえ
 失敗しないように、万が一に備えてあらかじめ十分な準備をしておくことのたとえ。
 ◆ 転んでもただでは起きぬ _ころんでもただではおきぬ
 たとえ失敗しても、そこで利益になるものを得ることのたとえ。また、どんな事態になっても必ず何か自分の利益になるものを見つけ出すという、欲深い人間のたとえ。
 ◆ コロンブスの卵 _ころんぶすのたまご
 誰かがやった後であれば簡単そうに見えることでも、最初にそれを思いつき実行することは難しく、貴重であるということ。
 ◆ 子を持って知る親の恩 _こをもってしるおやのおん
 自分が親の立場になって初めて子育ての大変さがわかり、親の愛情深さやありがたさがわかるということ。