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◆ 鯛(たい) |
タイ科の海魚。マダイ・キダイ・クロダイなど種類は多いが、ふつうはマダイを指していう。一般的に高級魚として認知されている。また縁起のよい魚として、祝い事に用いられる。 体が平らなことから「平魚(たいらうお)」と呼ばれ、それが変化したものとされる。 漢字の「鯛」は、日本全国の周囲どの海でも周年とれる魚だから「鯛」となったとされる。 |
◆ 大学ノート |
多目的な利用を想定した筆記用の帳面。 1884年(明治17年)、東京大学の前にあった文房具「松屋」が留学帰りの教授に勧められて学生用に売りだしたのが始まりとされる。庶民にはあまりに高価で帝大生ほど学問が出来なくては使えないということで次第に大学ノートと呼ばれるようになったと言われている。 |
◆ 大工(だいく) |
家屋の建築・修理を行う職人のこと。 古くは律令制で、木工寮(もくりょう)・修理職(しゅうりしき)などに所属し、宮中の土木・建築・造船などに従事する技術官のことで、「おおたくみ」「おおきたくみ」ともいった。 平安時代から室町時代には、国司の役所や大社寺に属する建築技術者集団の長を指していい、戦国時代以降、木造家屋の建築職人を呼ぶようになった。 |
◆ 太公望(たいこうぼう) |
釣りをする人。釣り好きな人のこと。 中国の周の政治家の呂尚(りょしょう)のこと。世を避けて渭水(いすい)で釣りをしていたところ、周の文王に見出され、太公(父)の時代から待ち望んでいた人材であるとして迎えられ、「太公望」の敬称でよばれたという故事にちなむ。 |
◆ 大黒柱(だいこくばしら) |
日本建築で、家の中にある最も太い柱のこと。家屋を支えると同時に、家格の象徴であったことから、一家や集団の中心となって支える人のことをたとえていう。大極柱とも。 昔、民家の土間(台所)に面した所に立てられ、台所の神として大黒天を祭ったことから、「大黒柱」と呼ばれるようになったという。 また一説には、平城京や平安京で政務を行う大内裏の中心を「大極殿(だいごくでん)」と呼び、そこの柱が太く立派であったことから、そのような柱を「大黒天柱」といい、のちに略されて音も変化して「大極柱(だいこくばしら)」というようになったともされる。 |
◆ 太鼓判を押す |
決して間違いでないことを保証すること。 「太鼓判」とは、太鼓のように大きな判のことで、江戸時代に、品質保証の意味で大きな判が用いられたことによるもの。現在は品物のほか、人物についても用いられる。 |
◆ 醍醐味(だいごみ) |
物事の真の味わい。最高のおもしろさ。 「醍醐」は仏教で、五味の1つ。牛や羊の乳を精製していくと、乳味(にゅうみ)、酪味(らくみ)、生酥味(しょうそみ)、熟酥味(じゅくそみ)へと変化し、最後が醍醐味になり、濃厚で最高の味とされる。 醍醐は純粋で最高の味であるところから、そこから転じ、醍醐味は「最高の面白さ」や「神髄」を意味するようになった。 |
◆ 大根役者(だいこんやくしゃ) |
演技の下手な役者のこと。 大根は白いことから、「素人」の「しろ」にかけていったもの。 また、大根は消化のよい野菜で、食あたりしないことから、「当たらない役者」の意味でいうようになったともいわれている。 |
◆ 大衆(たいしゅう) |
多くの人々。多数のふつうの人。また、社会の大多数をしめる勤労階級の人々。民衆。 大衆とは、本来は仏教語で「だいしゅ」「だいず」と読み、仏教に帰依した多くの僧をいった。 天台宗では役職につかない修行僧を「大衆(だいしゅ)」と呼ぶようになってから、天台座主(ざす)ら高僧に支配された僧の意味合いが生じ、現在の大衆の語源となったとされる。 |
◆ 大上段に構える(だいじょうだんにかまえる) |
相手に対して上からものを言うような、威圧的な態度を取ること。 「大上段」は剣道で、竹刀を頭上高く振りかぶり、相手を威圧する構えのことで、上段の構えを強調していう言葉。その構えの様子上から、比喩的に人の態度についても用いられるようになった。 |
◆ 台無し |
物事がすっかりだめになること。また、そのさま。 「台」とは、仏像の蓮の台座である蓮座のこと。これがないと、せっかくの仏像も威厳がなくなることから、台無しは面目を失うことや、形をなさないことを意味するようになった。 |
◆ 台風(たいふう) |
西太平洋や南シナ海に発生する熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17.2 m/s(34ノット、風力8)以上のものをいう。 アラビア語のtahunまたは英語typhoonの音訳で、中国で「颶風」と当てられた。現在の台風という名は、1956年の同音の漢字による書きかえの制定にともなって、台風となった。 日本では、古くは野の草を吹いて分けるところから、野分(のわき、のわけ)といわれていたが、明治時代ごろから「颶風(台風)」が一般化した。 |
◆ 太平楽(たいへいらく) |
のんきで、好き勝手なことを言ったりしたりするさま。また、そういう人のこと。 もとは舞楽の一つ。即位の大礼など、めでたい場合に、天下泰平を祝って奏する。甲冑(かつちゆう)姿で、抜いた太刀を持った四人で舞う。 舞楽の中でも、最も悠長(ゆうちょう)なことから、のんきなさまにたとえられるようになった。 |
◆ 松明(たいまつ) |
松や竹の割り木、または枯れ草などを束ね、火をつけて用いる屋外用の照明具。 火を焚くための松の意の「たきまつ(焚き松)」が音変化して「たいまつ」になったとされる。 |
◆ タイマンを張る |
1対1のケンカをすること。 「タイマン」とは、1対1の英語「マンツーマン(man-to-man)」を「マン対マン」とし、さらに頭の「マン」を省略した語とされる。「張る」は張り合うの意味。 |
◆ 高が知れる(たかがしれる) |
程度がわかっている。たいしたことはないこと。 「高」は出来た量を表す「出来高」のこと。量や程度・レベルの意味の「高」を知ることができる(知れる)ので、「程度がわかっている」ことを表し、「大したことはない」という意味になった。 「高をくくる」「たかが」「たかだか」も、この「たか(高)」からきている。 |
◆ 箍が外れる(たががはずれる) |
緊張や束縛がとれ、しまりがなくなること。 「箍(たが)」は樽(たる)などの外側にはめる、竹や金属で作った輪のことで、それが外れると樽の板がばらばらになることからいうもの。 「箍が緩む」といえば、気がゆるむ、また、年を取って頭や感覚が鈍くなることをたとえていう。 |
◆ 高嶺の花(たかねのはな) |
遠くから眺めているだけで、手に取ることができないもの。憧れの存在。 「高嶺」とは、高い峰、高い山のこと。高山に咲く花のように、遠くから見るばかりでとうてい手に取ることができないことからのたとえ。主に、高価なものや美しい人などに対して使う。 |
◆ 高飛車(たかびしゃ) |
相手に対して、頭から押さえつけるような高圧的な態度をとること。 本来、将棋で、飛車を自分の陣の前に出す攻撃的な戦法のこと。いかにも相手を威圧するやり方であることから、人のそういた態度にたとえられるようになった。 |
◆ 沢庵漬け(たくあんづけ) |
生干しの大根を塩と米ぬかで漬け込んだ漬物。たくあん、たくわんなどとも呼ばれる。 江戸時代初期の臨済宗の僧・沢庵宗彭(そうほう)が考案したという言い伝えがある。沢庵が創建した東海寺では、「初めは名も無い漬物だったが、ある時徳川家光がここを訪れた際に供したところ、たいそう気に入り、『名前がないのであれば、沢庵漬けと呼ぶべし』と言った」と伝えられている。 あるいは、沢庵の墓の形が大根漬けの形(漬物石の形にも)に似ていたからなどともいわれる。なお東海寺では禅師の名を呼び捨てにするのは非礼であるとして、沢庵ではなく「百本」と呼ぶ。 また別の説では、元々は「混じり気のないもの」という意味の「じゃくあん漬け」、あるいは、「貯え漬け(たくわえづけ)」が転じたとも言われている。 |
◆ 蛸配当(たこはいとう) |
業績が悪く、利益が上がっていないのに、無理して株主に配当を出すこと。 タコが自分の足を食べるように、自分の財産を減らすことからいうもの。ええただし、実際にタコにそのような習性はなく、足がないタコがいたら、それは他の生物に襲われて食べられるといった別の要員によるもの。 |
◆ ださい |
洗練されていなくて、野暮ったい。かっこ悪い。 語源は定かではないが、田舎を「だしゃ」と読み、それを形容詞化した「だしゃい」が変化したとする説が一番有力と言われている。 |
◆ だし |
日本料理で、鰹節や昆布などを煮て旨味を出した汁のこと。 「だし」とは「出し汁」の略。「だし」は動詞「だす(出す)」の連用形が名詞化した語。 |
◆ 他生の縁(たしょうのえん) |
前世で結ばれた縁。 仏教観に基づく言葉で、「他生」はこの世(今生)からみて過去の生(前世)および未来の生(来世)のこと。 「袖振り合うも他生の縁」といえば、知らない人と袖が触れ合うくらいのちょっとしたかかわりでも、偶然ではなく前世からの因縁によるものだということ。この場合は「多生の縁」とも書くが、「多生」とは何度もこの世に生まれ変わるという意味。 |
◆ 打診する(だしんする) |
相手側の意向をそれとなく探ること。 本来は医療行為で、医者が指や打診器を使って患者の体をたたき、その音で診察すること。その探るように音を聞く様子から、比喩的にそれとなく探る意に用いられるようになった。 |
◆ 襷(たすき) |
和服において、袖や袂が邪魔にならないように、両肩から両脇に斜め十文字に掛けて結ぶ紐のこと。また、選挙の候補者や駅伝競走の選手が、肩から斜めに掛ける帯状の布のこと。 語源は「た(手)」+「すき」で、「すき」は小児を背負うための帯のこと。働くときに用いるようになったのは近世以降のこと。 「襷」は国字。 |
◆ 手綱を締める( たずなをしめる) |
人が勝手な言動をしたり、気を緩めたりしないように、注意したり監視したりすること。反対に他人への束縛を緩めることは「手綱を緩める」という。 「手綱」は馬を操るために轡(くつわ)に付けた綱のこと。 馬は手綱を締めればブレーキがかかってゆっくり走り、緩めれば速く走る。そこから、人を制御する際の比喩で用いられるようになった。 |
◆ 黄昏(たそがれ) |
夕方の薄暗い時。夕暮れ。 夕方、薄暗くなって、人の見分けがつきにくく、「誰だあれは」という意味で「誰そ誰れ(たそかれ)」と言ったことから、「たそかれ(たそがれ)」は夕暮れ時をさす言葉となった。「黄昏」と書くのは同義の漢字を当てたもの。 |
◆ 蛇足(だそく) |
よけいなもの。むだなもの。 中国の「戦国策」にある故事から出た言葉。 酒を振る舞われた召し使いたちが、早く描いた者が酒を飲めるという約束で、蛇の絵を描く競争をした。最初に描き上げた者が酒を飲みながら、蛇に足を描き足そうとしたところ、別の者が「蛇に足はない」といって、酒を取り上げて飲んでしまったという。 |
◆ 駄々をこねる |
子供が甘えてわがままをいうさま。 「駄々」は「地団駄」が変化した語で、むずかって足をばたばたさせる様子からいうもの。また一説には、「いやだいやだ」の略ともいわれている。 「こねる」は、無理なことを言って困らせるという意味。 |
◆ ただいま |
帰宅したときに言う言葉。 漢字では「只今」「唯今」と書き、本来は名詞・副詞として、ちょうど今、たった今、今すぐに、などの意味であるが、「ただいま帰りました」の「ただいま」の部分だけが独立し、あいさつの言葉となったもの。 |
◆ 太刀魚(たちうお) |
タチウオ科の海水魚。全長約1.5メートル。体は全体に左右に平たい。体表はうろこがなくてグアニンで覆われ、銀白色。海中では頭を上にして、直立している。 体は扁平で細長く、銀白色をしているところが太刀に似ていることから「太刀魚」と名付けられたとされる。 また、餌を狙って立ち泳ぎしながら頭上を通り過ぎる獲物に飛び掛かって捕食するため、「立魚」(タチウオ)と名付けられたとする説もある。 |
◆ 立ち往生(たちおうじょう) |
立ったまま何もすることができないこと。また、また、行き詰まって動きがとれない様子。 もとは、立ったまま死ぬという意味だった。 武蔵坊弁慶が奥州に逃れた義経に従い、衣川(ころもがわ)の戦いで全身に矢を受けながらも追っ手の前に立ちはだかって討ち死にした、「弁慶の立ち往生」はよく知られ、ここから、進退きわまる意味に用いられるようになった。 |
◆ たちどころに |
その場ですぐに実現するさま。たちまち。すぐさま。 「たちどころ」とは、「立ち所」で、立っている場所のこと。「たちどころに」は、移動したりする時間もなく、立っているその場で何かが起こるということから、すぐにの意になった |
◆ 田作り |
干したカタクチイワシを乾煎りしれ、砂糖や醤油などで煮からめたもの。「ごまめ」とも。 イワシ類は古くから田の肥料にされてきたことに由来する。その年の豊作を願う意味正月の料理には欠かせない。 |
◆ 達者(たっしゃ) |
物事に熟練しているさま。また、体が丈夫なさまにもいう。 「達」は悟る、物事に通じている意。本来は漢語で、広く物事に通じた人のことをいった。 |
◆ 立つ瀬がない |
自分の立場や面目がないこと。 「瀬」とは、川の水が浅くて、歩いて渡れる所のことで、「立つ瀬」は立っているべき所、立場を意味する。 |
◆ 竜田揚げ(たつたあげ) |
魚や肉の切り身を醤油、みりん、酒を加えた中に漬けて、味がしみたところで、片栗粉をまぶして油で揚げたもの。 「竜田」とは、紅葉の名所で知られる竜田川(奈良県)のこと。身の部分が赤く、外側の片栗粉の部分が白く揚がる事から、紅葉が流れる竜田川になぞらえてこの名がついた。 |
◆ 竜巻(たつまき) |
積乱雲の下で地上から雲へと細長く延びる高速な渦巻き状の上昇気流。トルネードとも呼ばれる。 「竜(たつ)」は雲を起こし、雨を呼び、天に昇るという想像上の動物のこと。その天に昇る姿に見立てていうもの。 |
◆ 伊達(だて) |
意気や男気をことさら示そうとすること。しゃれていて粋なこと。また、外見を飾って見栄をはること。 語源は「立つ」で、これは「目立つ」や「男が立つ」と言う「引き立つ」と言う意味からきている。伊達は当て字。 また俗説に、戦国時代の仙台城主の伊達政宗は隻眼(せきがん)で、その負い目を隠すためにことさら派手に振る舞い、上洛の際には自ら着飾るとともに家臣にも同じようにさせ、京中でその振る舞いや姿が目立ったことから、彼らのようなおしゃれを「伊達」というようになったといわれている。 |
◆ 楯を突く(たてをつく) |
目上の人に対して、素直に従わず反抗すること。 「楯」は敵の刀や槍、矢などを防ぐための防具のこと。戦場で、楯を地面に突き立てて相手の攻撃を防ぎ、抵抗することからのたとえで、「楯突く」ともいう。 |
◆ 棚上げ(たなあげ) |
物事の処理や解決を一時保留して、手をつけないこと。 本来は、商品のだぶつきを避けたり、値上がりを待ったりするなど、需要と供給の調整をはかるために一時的に倉庫などに保管し、市場にださないこと。そこから、物事を一時的に保留する意味が生じた。 同様の表現に「棚に上げる」があるが、「自分のことは棚に上げる」といえば、自分のこと、特に都合の悪いことをおいて、他人のことをとやかく言ったり批判したりする意味で使われる。 |
◆ 棚卸し(たなおろし) |
決算や資産評価のために、在庫の商品や製品などの数量や品質を調べ、その価値を評価すること。 江戸時代には正月の上旬の吉日と7月に行われた。 在庫の物を一つ一つ調べることから、人の行状をすっかり調べること、さらに、人の欠点を並べ立てる意味もいうようになった。 |
◆ 谷町(たにまち) |
相撲界の隠語で、ひいきにしてくれる客、または後援してくれる人のこと。タニマチ。現在では相撲界以外のスポーツや芸能界でも用いられる。 明治の初期に大阪市南区谷町で開業していた医者が大の相撲好きで、けがをした力士が診察に訪れた際に治療費を受け取らなかったことにちなむ。 |
◆ たぬきそば |
揚げ玉(天カス)だけをのせた蕎麦のこと。ただし、地方によっては呼称や調理法が異なる場合もある。 語源については諸説あり、種をのせない「種抜き」から転嫁したとする説、種がないことを狸に化かされたとする説、油揚げをのせたきつねそばと対になるよう命名したとする説、関西においては、そばよりうどんが一般的に好まれているとされる事を元にして「うどんからそばに化けた」事から「たぬき」と呼ばれるようになったという説などがある。 |
◆ 荼毘(だび) |
火葬。死者を火葬することを「荼毘に付す」という。 もとは仏教用語で、火葬を意味するインドの言葉(パーリ語: jh?peti)を音訳したもの。 『続日本紀』によると、日本で最初に火葬された人は僧の道昭で、700年(文武天皇4年)のことであるとされる。また天皇で最初に火葬されたのは持統天皇とされる。8世紀ごろには普及し、天皇に倣って上級の役人、公家、武士も火葬が広まった。 |
◆ 玉に瑕(たまにきず) |
完全と思われるものの中にある、ごくわずかな欠点。「玉に傷」と書くのは誤り。 「玉」は宝石、「瑕」は玉の表面についたきずのことで、過失や欠陥という意味もある。 美しい宝石(玉)にほんの少しだけきずがあるという意から、転じて、それさえなければ完全であるのに、ほんのわずかな欠点があることをいう。中国の『論衡(ろんこう)』『淮南子(えなんじ)』などにある言葉。 |
◆ 玉虫色(たまむしいろ) |
どのようにでも受け取れる、あいまいな表現や方法のこと。 「玉虫」とは、タマムシ科の甲虫のこと。その羽は光が当たる角度によって、緑色や紫色に変化する。特定の色彩名を当てられないことから、どちらつかずの状態のことを「玉虫色」と呼ぶようになった。 |
◆ 駄目(だめ) |
やっても無駄なこと。してはいけないこと。 本来は、囲碁で双方の境にあってどちらの地(じ)にもならない所のことをいう。そこに石を置いても勝敗とは関係ないことから、無駄な目を意味する。 また、確実とはわかっていても再度確かめる、念を押すことを「駄目押し」というのも、囲碁の駄目に石を置いて詰め、自分の地であることを確認することからいうもの。 |
◆ たらい回し(たらいまわし) |
一つのことを次から次へと送り回すこと。 もとは、仰向けに寝て、足でたらいを回す曲芸のことだった。曲芸師は寝たままで、たらいだけを次々に受け渡すことから、転じて一つのことを馴れ合いや責任回避などから順繰りに送り回すことをいうようになった。 |
◆ だらしない) |
きちんとしていない。整っていない。また、弱すぎてふがいないさま。 同じ意味の形容詞「しだらない」の「しだら」の順を入れ替えた言葉。「だ」を最初に置いたのは、好ましくないことを表す語には頭に濁音がくることが多いことによるとされている。 ちなみに、「しだら」の語源は、「自堕落(じだらく)」から、あるいは擬音語の「しどろ」からなど、諸説ある。 |
◆ たらふく |
お腹がいっぱいになること。鱈腹。 十分という意味の動詞「足らふ」に接尾語の「く」がついたもの。また、「足らひ膨(ふく)るる」から転じたともいわれている。 漢字で「鱈腹」と書くのは、タラの腹が膨れていることからの当て字。 |
◆ 他力本願(たりきほんがん) |
もっぱら他人の力をあてにすること。 本来は仏教語。「他力」は仏・菩薩の加護の力、「本願」は仏が過去において立てた衆生救済の誓願のこと。浄土真宗では、阿弥陀仏の衆生を救おうという強い願いの働きを「他力本願」といい、また、衆生がそれにならって成仏を願うこともいう。 |
◆ 弾圧(だんあつ) |
支配階級が権力で反対勢力を抑えつけること。 もとは、ふみつける、おしつぶす意の漢語で、平安時代に使用例が見られる。 現在の意味で用いられるようになったのは昭和に入ってからとされる。 |
◆ 啖呵を切る(たんかをきる) |
胸のすくような歯切れのよい口調で話すこと。また、威勢のいい言葉を放ち、相手をやりこめること。 「啖呵」はせきを伴って激しくでる痰(たん)、また、痰の出る病気のこと。もとは「痰火」と書き、体内の火気によって生じると考えられていた。これを治療することを「啖呵を切る」といい、治ると胸がすっきりすることからたとえていう。 |
◆ 端午の節句(たんごのせっく) |
五月五日の、男児の成長を祝う日。 「端」は初めの意味で、本来「端午」は月の初めの午(うま)の日を指すが、「午」が「五」に通じることから、五月五日をいうようになった。 もとは中国の行事で、戦国時代の楚の王族で、失脚して投身自殺した屈原(くつげん)を五月上旬の日に弔ったのが起源とされる。 |
◆ 丹前(たんぜん) |
和服で、広幅で厚い綿入れの防寒具のこと。「どてら」ともいう。 江戸時代初期に、堀丹後守(ほりたんごのかみ)の屋敷前にあった湯女(ゆな)風呂を「丹前風呂」といった。湯女は風呂屋で客の背中を流したり、相手をしたりする女性のことで、勝山という湯女を目当てに風呂に通う男たちの装いを「丹前姿」「丹前風」といったことに由来する言葉。 |
◆ 団地(だんち) |
住宅を計画的に一か所に集めた区域。また、その住宅。工場などの集合地位についてもいう。 1919年(大正8年)の「都市計画法」にて初めて使用された言葉。集合住宅群を表す言葉として一般化したのは、1955年(昭和30年)の日本住宅公団発足がきっかけである。 |
◆ 断腸(だんちょう) |
はらわたを断ち切ること。はらわたがちぎれるほど、つらく悲しいこと。断腸の思い。 中国、東晋の武将、桓温(かんおん)が長江の三峡を旅しているとき、従者が猿の子を捕まえた。その母猿は百里あまり岸伝いについてきて、ようやく船に飛び移ることができたが、そのまま息絶えた。その腹を裂いてみると、腸がずたずたに断ち切れていたという『世説新語』にある故事にちなむ。 |
◆ 単刀直入(たんとうちょくにゅう) |
まわりくどいことはいわずに、いきなり本題に入ること。 もとは、一振りの刀を持ち、1人で敵陣に斬り込むこと。 出典は、中国・宋の時代に禅者の問答を集大成した『景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)』の「単刀直入すれば、即(すなわ)ち凡聖ことごとく真を表す」による。 「短刀直入」と書くのは誤り。 |
◆ 旦那(だんな) |
商家などの主人。一家の主人。夫。また、芸者や役者などのパトロン。商人などが男性客を呼ぶときにも用いる。 本来は仏教語で、「檀那」と書き、寺院や僧侶に布施をする信者のことをいった。 サンスクリット語D?na patiの音訳「檀那波底」の略で、D?naは布施、施しを意味する。 |
◆ 短兵急(たんぺいきゅう) |
いきなり敵に攻撃をしかける。だしぬけに行動を起こす。 「兵」は武器の意味で、「短兵」とは、刀剣や手槍などの長さの短い武器のこと。 もとは、その短い武器で急に相手を攻めるさまを「短兵急」といい、江戸時代になると、勢いよく急に攻めるさま、さらに、突然ある行動を起こしたり、しかけたりするさま、だしぬけの意味へと転じた。 |
◆ 段ボール |
板紙を多層構造で強靭にし、包装資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品。ダンボール。 「段」は紙を重ね合わせていることからの形容。「ボール」はboard(板)の末尾の音が脱落したもので、「ボール紙」のボールも語源は同じ。 1909年、日本で初めて段ボールを作った井上貞治郎氏が、紙の板(板紙)を段々にしたことから名付けたといわれている。 |
◆ 断末魔(だんまつま) |
死に際。また、そのときの苦しみ。 「末魔」は、サンスクリット語marmanの音写。身体内にある特殊な急所で、何かがこれに触れると死ぬといわれており、別名「死節・死穴」とも呼ぶ。「断末魔」とは、末魔を断つという意味。 |
◆ 沢山(たくさん) |
数量の多いこと。十分なこと。 多い意の形容動詞語幹「さは」に、数の多いことを表す「やま(山)」を重ねた「さはやま」に「沢山」を当てて、それを音読したものに由来する。 |
◆ 七夕(たなばた) |
五節句の一つ。7月7日の行事。中国の伝説に基づく行事で、7月7日の晩(七夕)に、織女星は天の川にカササギが翼を広げて作った橋を渡り、それを渡って牽牛星と行き会うという。庭に立てた竹に、五色の短冊に歌や字を書いて飾り、供え物をして、裁縫や書道の上達などを祈る。 奈良時代に中国から技巧を乞う祭りの「乞巧奠(きこうでん)」の習俗が伝わり、これに元からあった日本の「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と合わさって生まれた言葉である。 「たなばた」は、棚機津女が略されたもので、機(はた)を織る女の意。「棚機(たなばた)」は棚のある機(織機)のこと。棚機津女は、水辺の機屋で聖なる来訪者を迎えて一夜を過ごし、翌日禊(みそぎ)をした後に送り出すと信じられていた。 これとは別に、民間では盆の行事の一部として考えられており、農村では、病気や稲の発育を妨げるものを村から送り出す行事でもあった。七夕の笹を川に流すのも、好ましくないものがそれに乗って去っていくと考える風習によるもの。星の伝説とは無関係の、豊作を祈願する農耕行事でもあった。 |
◆ 大八車(だいはちぐるま) |
江戸時代から昭和時代初期にかけて日本で使われた、荷物運搬用の木製の人力二輪車。代八車とも。 名称の由来は諸説あり、一台で8人分の仕事(運搬)ができることからついたとする説、車台の大きさが8尺(約2.4m)のものを大八と呼んだことからとする説、牛車大工の息子の八左衛門が作ったからとする説などがある。 |
◆ 竹馬の友(ちくばのとも) |
幼いころからの親しい友人。竹馬に乗って、一緒に遊んだ友達の意。 中国の二十四史の一つ「晋書」の故事にちなむ。 東晋(とうしん)の桓温(かんおん)は、殷浩(いんこう)を都から追い払うとき、桓温と殷浩は幼友達で、「俺は子供のころ殷浩と竹馬に乗って遊んだものだった。」 このことから、幼友達のことを、『竹馬の友』というようになった。 |
◆ 知事(ちじ) |
都道府県の行政を統括する官庁の長のこと。 本来は仏教語で、物事をつかさどる意味のサンスクリット語「karama-dana」を漢訳したもの。禅宗では寺院の庶務を担当する役職をいう。 中国では州や県などの地方の長官の名称に転用され、日本では明治時代から地方自治体の長の名称として用いられている。 |
◆ 千鳥足(ちどりあし) |
足を左右踏み違えてあるくこと。また、その歩き方。特に、酔っぱらいの足つきをいう。 千鳥という鳥の歩き方に似ていることからいうもの。千鳥の足は他の鳥と違い、後を支える指がないので、よろめいた歩き方になってしまうことから例えていうようになった。 |
◆ 茶番(ちゃばん) |
底が見え透いていて、ばかばかしい振る舞い。「茶番劇」とも。 江戸時代に、余興に歌舞伎のパロディとして、おもしろおかしく演じた素人の寸劇を「狂言茶番」、略して「茶番」といっていたことに由来する。 そもそもは、「茶番」は楽屋で茶をくむ係りのこと。茶番に当たった大部屋の役者が余興にやったことから広まったとされる。 |
◆ ちゃらんぽらん |
いい加減で無責任なこと。 「ちゃらほら」が変化した言葉。「ちゃら」は口からでまかせをいうこと、また、そういう人を意味する。「ほら」はウソの意。 |
◆ ちゃんぽん |
異なる二種類以上のものを混ぜること。 もとは、鉦(かね)と鼓、または三味線と鼓などを合奏することで、転じて、いろいろなものをまぜこぜにする意味となった。 |
◆ 提灯持ち(ちょうちんもち) |
他人やある物事のために、頼まれもしないのに長所などを宣伝してまわること。また、それをする人。 もとは、婚礼や葬式の際や、身分の高い人の夜歩きの祭に、提灯を持って先導する習慣があった。そこから転じて、周りをうろうろする小者のたとえとして用いられるようになった。 |
◆ ちょっかいを出す |
よけいな口出しや手出しをすること。 「ちょっかい」とは、猫などが片方の前足でちょっと物をかき寄せること。その動作がたわむれだったり確認のためだけだったりして、よけいなことをしているように見えることからたとえて言うようになった。 |
◆ ちょろい) |
簡単、たやすい意を表す俗語。 古くは、内容が乏しくて取るに足らない、つまらない意で用いられ、そのようなものを処理したり打ち負かしたりするのは容易なことから、たやすい意に転じた。 |
◆ ちょんぼ |
うっかりして間違えること。失敗すること。 もとは麻雀用語で、上がりの牌を間違えたり、役がないのに上がりを宣言したりするなどの反則行為のこと。漢字では「錯和」と書き、本来は文字通り「間違った和了」を意味していたが、現在では麻雀の反則行為全般を指す事が多い。 現在では転じて、一般に何かをしくじることをチョンボと呼ぶようになった。 |
◆ ちんけ |
程度が低くて劣っている。器量が小さい。貧相なさま。 サイコロ賭博で、一の目を「ちん」といい、一は最低の目であることからいうもの。「け」はある様子や傾向などがあることを表す接尾語。 |
◆ チンピラ |
やくざなどの下っ端。不良の少年少女。 もとは、小物のくせに大物のように気取ってふるまう人を蔑む言葉。古くは盗人仲間の隠語で、子供のスリのことをいった。 「ちん」は程度が低く劣っている意の「ちんけ」から、「ぴら」は並みの意の「ひら(平)」あるいは薄っぺらいという「ぺら」がなまったものといわれている。 |
◆ 筑前煮(ちくぜんに) |
鶏肉、ゴボウ、人参、レンコン、こんにゃくなどを油で炒め、甘辛く似た料理。 「筑前」とは旧国名で、現在の福岡県北西部に当たる。この地方で作られたことから付いた名で、鶏肉を炒めることから、「炒りどり」ともいう。 筑前地方では「がめ煮」ともいうが、これは豊臣秀吉が朝鮮出兵のさい、ガメ(スッポン)を入れたことにちなむもの。一説には、「がめくりこんで煮る(寄せ集めで煮る)」ことからともいう。 |
◆ 粽(ちまき) |
もち米やくず粉などを笹やマコモなどの葉で巻き、イグサで縛って蒸した餅菓子。 古くは茅萱(ちがや)の葉で巻いたことに由来する。粽は邪気を払うとされ、端午の節句に食べられる。 もとは中国の風習で、戦国時代宋の王族に生まれ、活躍しながらも王に疎まれ、汨羅(べきら)に投身自殺した屈原(くつげん)を五月上午(じょうご)の日に弔ったのが端午の節句の起源である。その日、屈原の姉が弟を弔うために汨羅に粽を投げたとう言う言い伝えが残っている。 |
◆ ちゃんこ鍋 |
相撲部屋で食べられる鍋物。肉や魚介、野菜など多くの食材を用い、水炊きにしたり、だしで煮たりする。 「ちゃん」は「おやじ」の意味で、それに親しみを込めて接尾語の「こ」をつけ、料理当番の力士を「ちゃんこ」と呼んだことに由来する。 また一説では、江戸時代に巡業先の長崎で土鍋の代わりに鉄製の中華鍋「チャンクオ」で作ったことからチャンコと呼ぶようになったともいわれる |
◆ 帳消し(ちょうけし) |
お互いに差し引いて、損得を無しにすること。 もとは、帳簿の金の貸し借りなどの記載について、完済してその事実がなくなったとき、棒線を引いて消すことをいった。そこから、債務や義務がなくなること、さらには金銭関係以外の損得のついても用いられるようになった。 同類の言葉に「棒引き」があるが、これは帳簿の記載事項に棒線を引いて消すことから、金銭の貸し借りや支払いの義務などを無しにする意味で、「帳消し」とは異なり、金銭関係についてのみ使われる。 |
◆ 重陽の節句(ちょうようのせっく) |
五節句の一つで、9月9日のこと。菊を用いて不老長寿を願うことから「菊の節句」ともいう。 中国から伝わった行事で、陰陽思想では奇数は陽の数であり、陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれる。 奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として節句が行なわれていたが、九は一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられていた。その後に、陽の重なりを吉祥とする考えに転じ、祝い事となっていった。 |
◆ 千代紙(ちよがみ) |
日本の伝統的な遊びである折り紙を作るために使われたり、紙人形の衣装、工芸品や化粧箱に装飾の目的で貼られる、紋や柄の豊かな和紙で作られた正方形の紙。折り紙。 「千代」についての由来は諸説あり、京都で鶴亀や松竹梅などのめでたい図柄が刷られ、千代の繁栄を祝う意味で名付けられたとも、また、江戸城を別名千代田城といい、その大奥で使われたことからともいう。 |
◆ ちゃきちゃき |
血統に混じりけがなく、生粋であること。「ちゃきちゃきの江戸っ子」のようにいう。また、勇み肌ではきはきしているさま。 嫡子から嫡子へと家を継ぐこと、正統の血筋であることを意味する「ちゃくちゃく(嫡嫡)」が音変化したもの。 「嫡」は正妻、また、正妻の生んだ家督を継ぐ子どもの意。 |
◆ チクる |
告げ口をする。言いつける。 口(クチ)を倒置した「ちく」に動詞化の接尾辞「る」をつけて「チクる」となったもの。 また、擬態語の『チクリと言う』のチクリが由来とする説もある。 |
◆ 竹輪(ちくわ) |
魚肉のすり身を竹など棒に巻きつけて、焼いたり、蒸したりしてつくった加工食品。 竹輪は、はじめは蒲鉾(かまぼこ)と呼んでいたが、桃山時代に現在と同じ板付きのものがつくられるようになると、それを「蒲鉾」と呼び、もともとのは、その切り口が竹の輪に似ていることから「竹輪の蒲鉾」と呼ばれ、さらに蒲鉾を省略されて「竹輪」となった。 |
◆ チビ |
身長が低いこと。年の幼いもののこと。 「ちび」は、上一段活用動詞「禿(ち)びる」の連用形が名詞化したもの。「ちびる」は先がすり切れて小さくなる、すりへる意。 それが転じて、背の低い人をさしたり、年の幼い者や子どもに対して、軽い卑しめや、かわいらしいという気持ちを込めて用いられるようになった。 |
◆ 巷(ちまた) |
人が大ぜい集まっている、にぎやかな通り。大ぜいの人々が生活している所。世の中。世間。 巷の語源は「ち(道)」+「また(股)」で、道がいくつかに分かれているところ、すなわち辻・岐路が原義で、分岐した道の意でも用いられた。 道の分岐するところは多くの人の往来するところでもあり、その巷は人々が集まりにぎわうことを表すようになった。 |
◆ 血祭りに上げる(ちまつりにあげる) |
戦いの初めに威勢よく最初の相手を片付けること。転じて、相手をひどい目にあわせることのたとえ。 「血祭り」とは、古代中国で出陣の際、いけにえを殺してその血で軍神を祭る「血祭(けっさい)」に由来する。日本では中世に現れ、おもに戦いの初めに敵の1人を殺して士気を高めるときに使われた。 「血祭りに上げる」の形は昭和になってからで、近年は転じて単にひどい目にあわせる意でも用いられる。 |
◆ 提灯(ちょうちん) |
割竹等でできた枠に紙を貼り、中にロウソクを入れて火をともす照明器具。 手に「提(さ)げて」歩く「灯」なので、提灯という名がついたとされる。 近年では、竹ひごや紙の代わりにプラスチックのシートを使い、蝋燭の代わりに電球を使って、主に祭りなどのイベントや看板として使用されることが多い。 |
◆ 超弩級(ちょうどきゅう) |
従来の常識を打ち破るほどの革新的な、または、桁違いに強大なこと。超ド級とも。 超弩級のドは、1906年に当時最大のイギリス戦艦ドレッドノート(怖いもの知らずの意)の頭文字ドで、それに大型の弓の意の「弩」を当てて弩級艦と呼び、それを上回る戦艦を「超弩級」と表現した。そこから、「超弩級」は他を圧倒する強大なものを表すようになった。 |
◆ 張本人(ちょうほんにん) |
事件の起こすもととなった者。悪事などを企てた首謀者。 「帳」は、本来は弓に弦をはることをいうが、物をはる、催す、設けるという意味にもなった。 「張本」は、根本を施すということから、あとに続く事柄の布石を事前に用意しておくことの意になり、そこから、物事の原因、さらに悪事を起こすもとの意にもなった。 そのもとの人が「張本人」となり、室町時代から見られる語。 |
◆ ちょろまかす |
人の目をごまかして盗む。また、言いのがれを言ってその場をごまかす。 |
◆ ちり鍋(ちりなべ) |
鯛や鱈などの白身魚と、野菜・豆腐などを湯で煮て、ポン酢醤油をつけて食べる鍋料理。ちり。 新鮮な切り身を熱い汁の中にいれると、その身がちりちりと縮むことからの命名。 幕末から明治にかけて、刺身を食べない西洋人が熱湯につけて食べたのが始まりとされる。 材料により、鯛ちり・鱈ちり・ふぐちりなどという。豚肉のちり鍋は、毎晩食べても飽きないということから「常夜鍋」ともいう。 |
◆ ちりめんじゃこ |
イワシなどの稚魚を煮干しにしたもの。しらす干し。「ちりめんざこ」とも。 「ちりめん」とは「縮緬」で、表面に細かな模様を浮き出させた絹織物のこと。「じゃこ」は「雑魚」で、いろいろな種類の小魚のこと。 小さな稚魚をたくさん煮上げて干すために広げた姿が、縮緬の細かな模様に似ていることからいうもの。 |
◆ 追伸(ついしん) |
手紙などの最後に、付け加える形で足された文章のこと。また、その書き出しの語。 追伸とは、「追ってのべる」の意。 昔は手紙で叙述の不十分な点を細くするときは「尚(なお)」を、別のことを書き添えるときは「追て」を書き始めに用いていた。 「伸」は、体をのばす意だが、のびのびして気持ちをはらすということから、思いを述べるの意でも用いられる。 |
◆ 司る(つかさどる) |
役目としてそのことをとり行うこと。支配する。管理下に置く。 「つかさ(司)」は首長・役所・役人などの意のほかに「官職・役目」の意があり、役目を自分のものとして「とる(執る)」ことから「つかさどる」になったとされる。 なお、「つかさ」の語はもともとは小高い所を意味し、高いところから命令する者の意から、首長・役所・役目などの意が生じた。 |
◆ 束の間(つかのま) |
ごく短い時間。わずかな間。 「束」は長さの単位で、手でつかんだほどの長さ、指四本分の幅をいう。ほんの一束ほどの間という意で、そこから時間の短さをたとえていう。 |
◆ 月並み(つきなみ) |
平凡で、ありふれていること。月次とも。 本来は、毎月行うことをいい、俳句などの月例会のことを「月並み会」といった。 「月並み」が現在の意味になったのは、正岡子規が俳句確信運動を展開する際、自分たちの新しい俳句に対して、伝統的な旧派の俳句を「月並み調」と呼んで批判したことによる。 |
◆ 月見草(つきみそう) |
アカバナ科の越年草。夏の夕方に白い4弁花を開き、翌朝にしぼんで赤くなる。北アメリカの原産。 夏の夕方、白い花を開くことからこの名がある。花は翌朝にはしぼんで薄紅色に変わる。 同じように、夏の夕方、川原や草原で黄色い花を咲かせ、翌朝しぼむ花を月見草と呼んでいるが、これは大待宵草(おおまつよいぐさ)や待宵草のことで、本来は別の植物。 |
◆ 土筆(つくし) |
早春にでるスギナの地下茎からでる胞子茎のこと。食用にもされる。筆頭菜(ひっとうさい)。つくしんぼ。 古くは「つくづくし」といい、「つくし」はそれを略したもの。「つく」は「突く」で、地面から突き出ることからとされる。 また、その形が航行する船に水脈を知らせるために立てる杭「みおつくし(澪標)」に似ているところからこの名があるとする説もある。 地面に筆を立てたように見えることから「土筆」と当てて書く。 |
◆ つくね |
鶏肉や魚肉をたたいて、卵や片栗粉などを入れてよくこね、丸めたもの。 手でこねて丸くするという意味の動詞「捏(つく)ねる」の連用形を名詞化した語。 魚のすり身で作った物を「つみれ」、鶏や豚などのひき肉で作った物を「つくね」と分けられることもあるが、元々は調理法に違いがあり、つくねは手で捏ねて形を整えた状態のもの、つみれは手やスプーンなどでつまみとった状態ものをいう。 |
◆ 付け目(つけめ) |
ねらいどころ。目当て。また、自分が有利になるように付け入る、相手の弱点や欠点のこと。 もとはカルタやサイコロ賭博で、出ることを予想し、ねらいをつけた札やサイコロの目のこと。 |
◆ 付け焼き刃(つけやきば) |
一時の間に合わせににすること。また、そうして身につけたもの。にわか仕込みの知識や技術などをけなしていう。 切れ味の悪い刀に、刃だけはがねを付け足したものを「付け焼き刃」といい、すぐに刃がこぼれて役に立たなくなることからたとえていうようになった |
◆ 辻褄が合う(つじつまがあう) |
矛盾がなく、道理や筋道が一貫していること。 「辻褄」は和裁の用語で、「辻」は縫い目が十字の形に合うところ、「褄」は裾の左右両端のこと。辻も褄もきちんと合っていなければいけないところであることから、一貫すべき道理や道筋の意味になった。 |
◆ つつがない |
病気や災難などがなく日を送ること。平穏無事であるさま。 漢字では「恙無い」と書く。 痛いところがないの意で「つつがなし(痛処無)」、また、さわりがないの意で「つつみなし(障無)」、刺されると伝染病を起こす恙虫がいなければ安穏であることから、恙虫が無い意で「つつがなし(恙無)」となったとするなど、語源には世説ある。 |
◆ 椿(つばき) |
ツバキ科の常緑樹。照葉樹林の代表的な樹木。 葉が厚いことから「厚葉木(あつはき)」、葉に光沢があることから「艶葉木(つやはき)」の意など、語源については諸説ある。 「椿」と書くのは、春に花が咲く木の意で作られた国字。 |
◆ 鍔迫り合い(つばぜりあい) |
相似た力量同士が、互いに張り合って譲らず、勝負を争うこと。 「鍔」は刀剣につける金具で、柄を握る手を守る役目をするもの。もとは、互いに相手の打った刀を自分の刀の鍔で受け止め、押し合うことをいい、そこから転じて激しい勝負のことをいうようになった。 |
◆ 潰しがきく |
今の仕事を辞めても、他の職業でもやっていける能力があること。 「潰し」とは、金属製の器物を溶かして地金にすること。金属製品は潰しても再び役立つことからたとえていう。 |
◆ 壺を抑える(つぼをおさえる) |
物事の大切な所、勘所をしっかりととらえること。 この「壺」は、鍼や灸、指圧なのの効き目のある所のことで、転じて、物事の勘所をいうようになった。 |
◆ 爪弾き(つまはじき) |
人を嫌ってのけ者にすること。 本来は仏教語で、親指の腹に人差し指を当ててはじいて音を出す「弾指(だんし)」から出た言葉。 その動作は、許可や歓喜のほかに、軽蔑・嫌悪・非難などの意を表すことから、転じて、のけ者にする意味になった。 |
◆ つみれ |
鶏肉や豚肉、魚肉などのすり身に卵や片栗粉などを入れてすり合わせ、団子状にすくい取り、ゆでたもの。 ゆでるときに、手に持ったすり身のかたまりを親指と人差指の間から押し出し、少しずつ摘み取るようにして鍋に入れることから、「摘み入れる」の意で、その連用形「摘み入れ」が略されて「摘みれ(つみれ)」となった。 魚のすり身で作った物を「つみれ」、鶏や豚などのひき肉で作った物を「つくね」と分けられることもあるが、元々は調理法に違いがあり、つくねは手で捏ねて形を整えた状態のもの、つみれは手やスプーンなどでつまみとった状態ものをいう。 |
◆ 通夜(つや) |
死者を葬る前に、家族・縁者などが遺体のそばに終夜付き添い、守ること。 本来は、通夜とは、邪霊の進入を防ぎ、故人の霊を守り慰めるための儀式で、昔は文字通り、夜通し故人のそばで過ごし、「添い寝」する習わしもあった。そのため、通夜のことを「添い寝」「夜伽(よとぎ)」と呼ばれることもある。 また、死亡してから葬儀を出すまでの数日間にわたって、遺族が故人を見守っていた時代もあったが、現在では、一晩だけ見守り、翌日には葬儀・告別式を行うのが一般的となっている。 |
◆ 梅雨(つゆ) |
5月から7月にかけて毎年めぐって来る曇りや雨の多い期間のこと。雨季の一種。 語源には、梅の実が熟す頃であることからとする説や、この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説など諸説ある。 |
◆ 露払い(つゆはらい) |
貴人の先に立って道を開くこと。また、その役を務める人。転じて、行列などの先導をすること。 相撲で、横綱の土俵入りのとき、先導として土俵に上がる力士のこと。古くは、宮中の蹴鞠(けまり)の会で、まずは鞠を蹴って周囲の木の露を払うこと、また、その役目の人のことをいった。転じて、貴人の先に立って導く人の意味となり、さらに相撲の先導役をいうようになった。 |
◆ 積ん読(つんどく) |
買った本を読まずに積んでしまうこと。「積んでおく」の「つん」と「読書」の「どく」を合わせた造語。「積読」とも。 1901年(明治34年)の雑誌、『学鐙』の田尻北雷「書籍つんどく者を奨説す」、およびその中の表現「音読・黙読以外に、書籍につんどくあり」と用いられたのが最初とされる。 |
◆ 月とすっぽん |
2つのものが、あまりにも違っていて比べようもないこと。また、ひどく不釣り合いなこと。 月もすっぽんも同じように丸いが、月は夜空に輝く美しいものであるのに対して、すっぽんは汚い泥の中にいる。そこから、見た目や形は似ているが、まったく違ったもののたとえで用いられるようになった。 |
◆ 継ぎ接ぎ(つぎはぎ) |
継いだりはいだりすること。特に、衣服につぎをあてること。また、寄せ集めであること。 動詞「継ぐ」と「接ぐ」の連用形を一つに合わせた語。 「継ぎ」は切れ目をつなぐ意、「接ぎ」は2つのものを接着させる意を表す。そこから、衣服の傷んだ部分に継ぎをあてたり、他人の文章を寄せ集めてつなぎ合わせたりすることのたとえに用いられるようになった。 |
◆ 蹲(つくばい) |
茶室の庭先に低く据え付けた手水鉢(ちょうずばち)。茶室に入る前に、手や口を清めるのに用いる。 蹲(つくばい)は、「うずくまる」「しゃがむ」「かがむ」などを意味する動詞「つくばう」が語源。 語構成は「つく(突く)」+「はう(這う)」で、手を洗う際に低い姿勢になることから、「つくばい」と呼ばれるようになったもの。 |
◆ つかぬこと |
いままでの話とは関係のないこと。だしぬけのこと。 思いがけない意の「思いつかぬ」の上略ともいわれるが、話題を変える場面で用いられるので、単に動詞「付く」に打ち消しの助動詞「ず」の連用形「ぬ」がついて、「それまでの話に結びつかない、関連しない」の意を表したものと考えられる。 |
◆ 手当(てあて) |
労働に対して与えられる金銭。また、病気や怪我などの処置。 本来、この「手」は仕事をする人、いわゆる人手のこと。室町時代には、何かをするときの要員の意味で用いられ、その要員を配置することを「手当てを置く」のようにいった。 江戸時代になって、労働の報酬、賃金、心付け、もてなしなど意味となり、さらには病気や怪我の処置をいうようになった。 俗説として、患部に手を当てるところからという説があるが、あとからの意味づけとされる。 |
◆ 帝王切開(ていおうせっかい) |
出産時に、妊婦の子宮切開によって胎児を取り出す手術方法のこと。 ドイツ語の「Kaiserschnitt(Kaiser=皇帝、Schnitt=手術)」を訳した言葉。古代ローマの将軍カエサル(シーザー)がこの方法で生まれたという伝説にちなむ。 語源はラテン語のsectio caesareaで、切るという意味のcaesareaをCaersar(シーザー)と混同したことによる誤訳ともいわれている。 |
◆ 亭主(ていしゅ) |
一家の主人。宿屋や茶屋などの店主。夫。また、茶道で客に茶を出してもてなす人をいう。 「亭」は高くそびえ立つ建物のことで、「亭主」とはそういう家の主人のこと。そこから転じて、一家の主人を表すようになった。鎌倉時代にはすでにこの意味で使われており、店主の意味は室町時代になってからで、夫の意味で用いられるようになったのは江戸時代中期ごろといわれている。 |
◆ 丁寧(ていねい) |
細かいところまで注意が行き届くさま。また、手厚く礼儀正しいさま。 昔、中国の軍隊で、兵士たちに警戒や注意を促すためにたたいた楽器を「丁寧」といい、そこから転じて、注意が行き届く意味で用いられるようになった。 |
◆ デカ |
刑事のことで、もとは犯罪者仲間の隠語。 明治時代、刑事巡査が着ていた「かくそで(角袖)」を逆にして略したことば。角袖は、袖が四角の、和服仕立ての男性用外套のこと。 |
◆ 敵に塩を送る |
敵が困っているときに、あえて援助の手を差し伸べること。 戦国時代、北条・今川軍に兵糧攻めにあい、窮地に立たされていた宿敵武田信玄のもとに、上杉謙信が塩を送ったと伝えられることにちなむ。 |
◆ テキ屋 |
香具師(やし)のこと。漢字では「的屋」と書く。 「ヤシ」を仲間のうちで「ヤ」「ヤー」といい、さらにぞんざいに「ヤー的」といったものを、ひっくり返して「的ヤ」となったとされる。 ほかに、当たればもうかることから、矢が的(まと)に当たることになぞらえたとする説もある。 |
◆ 手ぐすねを引く |
十分に用意をして待ち受けること。手薬煉を引く。 「薬煉(くすね)」とは、松ヤニを油で煮て、練り混ぜたもので、粘着力が強く、弓の弦に塗って強度を増すのに用いるもの。 戦いの前に、手に薬煉をとって弓に塗り、準備を万端に整えて敵を待つことから、あらかじめ用意して待ち構える意味となった。 |
◆ 木偶の坊(でくのぼう) |
何の役にも立たない者。機転の利かない者。または、そういった人をののしるときに使われる言葉。 「木偶」は木彫りの人形。または操り人形のこと。人に操られるだけで、自分では何もできないことから、ぼうっと立っているだけの役立たずの人をたとえていう。 「坊」は「朝寝坊」や「忘れん坊」というのと同じで、人の意を表す言葉。 |
◆ てこずる |
取り扱いかねて、もてあます。扱いに困る。また、解決に手間取る。 漢字では「梃子摺る」「手古摺る」と書き、江戸時代から使われている言葉。 テコ(梃子)を使って重い物を動かそうとしても動かず、テコのほうがズレてしまうことからいうようになった。 また一説には、手の甲がすれることからともいわれている。 |
◆ デザート |
食事の際に、追加的に提供される菓子や果物のこと。 フランス語でサービスすることを止める意味のdesservirという動詞の過去分詞dessertが語源。食事のコースでもうこれ以上何も出ませんよという合図に甘いお菓子などをサービスして、その後テーブルを片付けた名残りからきている。 |
◆ 手塩にかける |
身近に置いて、自分の手で大切に世話をし、育てること。 「手塩」は食べる人が好みで味加減ができるように食膳に添える塩のことで、本来は不浄をはらう意味もあったとされる。その手塩のように側に置くことからいうもので、江戸時代から用いられている。 |
◆ 出初式(でぞめしき) |
出初式(出初め式)とは、消防関係者により1月初旬に行われる、仕事始めの行事である。消防出初式(しょうぼうでぞめしき、消防出初め式)とも呼ばれる。江戸時代から明治時代にかけては1月4日に行われていたが、現代では1月6日の開催が恒例となっている。 出初式の歴史は、江戸時代の万治2年1月4日(1659年2月25日)、老中稲葉伊予守正則が定火消総勢4隊を率いて上野東照宮前で顔見せの儀式「出初」を行い気勢を上げたことが由来とされる。この儀式は、2年前の明暦3年(1657年)に当時の江戸の大半を焼失し、死者10万人ともいわれている、江戸の歴史上最大の被害である明暦の大火により、絶望状態にあった江戸の市民に大きな希望と信頼を与えた。 以来「出初」は、毎年1月に上野東照宮で行われることとなり、次第に儀式化され全国でお正月の恒例行事として受け継がれている。 |
◆ 出たとこ勝負 |
前もって計画を立てずに、その場の成り行きで事を決めること。 サイコロ賭博は出た賽(さい)の目で勝負を決めるが、どの目が出るか予想がつかないことから、転じて、行き当たりばったり、運任せでやってみることの意味で用いられるようになった。 |
◆ 手玉に取る(てだまにとる) |
人を思い通りに操ること。 「手玉」は、布の袋に小豆などを入れて縫いくるんだもので、女の子が遊びに使う、「お手玉」のこと。このお手玉を曲芸師が自由自在に操ったところから、転じて人を翻弄する意味に使われるようになった。 |
◆ でたらめ |
根拠がないこと。首尾一貫しないこと。いいかげんなこと。また、そのさまや、そのような言動。 一説に、サイコロ賭博で、「出たらその目」が「でたらめ」になったという。つまり、サイコロを振ってみてその目の通りに行動する行き当たりばったりなことを表す。転じて、何も考えずに行動する事や理屈や道理には通らない適当な様子などを表すようになった。 漢字で「出鱈目」と書くのは当て字。 |
◆ てっちり |
フグのちり鍋のこと。 「てつ」は鉄砲の略で、フグの異名。 フグは卵巣や肝臓に猛毒をもち、あたる(中毒する)と死ぬことから、鉄砲玉に当たって死ぬことにかけていうもの。 ちなみに、フグの刺身は「てっさ」といい、「さ」は刺身の略。 |
◆ 鉄槌を下す(てっついをくだす) |
厳しく処理・処罰をすること。厳しい制裁を加えること。 「鉄槌」は大形のかなづち、ハンマーのことで、「鉄鎚」とも書く。「鉄槌」という語は中国から伝わり、平安時代には記述が見られるが、比喩に用いられるようになったのは近代になってから。 |
◆ てにをは |
文章で、助詞の総称。 本来は漢文訓読で、国語の助詞・助動詞・接尾語・活用語尾などを記したヲコト点のうち、四隅の点が「て」「に」「を」「は」であったことからいう。 文章を読んだり書いたり、話したりするには、「てにをは」の用法は重要であり、「てにをはが合わない」といえば、助詞の使い方が間違っていること。さらに転じて、話の筋道が通らなかったり、つじつまがあわなかったりすることをいう。 |
◆ デマ |
ドイツ語の「デマゴギー(Demagogie)」の略。政治的な目的や民衆を扇動するために意図的に流す虚偽の情報。転じて、でたらめで根拠のないうわさ話。 もともとはギリシア語で民衆の指導者、特に直接民主制のもとで扇情的な弁論で民衆に取り入る政治家をいう「demagogos」に由来する。 |
◆ 手前味噌(てまえみそ) |
自分で自分をほめることで、「手前味噌を並べる」「手前味噌になりますが」のように用いる。 かつて、味噌は自宅で作ったもので、「手前」は自家製という意味。その家ごとに味が違うもので、自分の家の味噌の自慢をしたことから、現在の意味が生じたとされる。 |
◆ 天衣無縫(てんいむほう) |
性格や言動がありのままで飾り気のないこと。伸び伸びとして美しい様。 庭で寝ていた男が、天の一角より舞い降りた天女の衣服をみて縫い目がないことを不思議に思いその訳を尋ねたところ、天女が「天衣には針や糸は用いません」と答えた故事にちなむ。 もとは、詩歌や文章が技巧がこらされてないくて、自然でありながら完成されていて、美しいさまをいった。 |
◆ 田楽(でんがく) |
長方形に切った豆腐を串に刺し、練り味噌を塗ってあぶり焼きにした料理で、「田楽豆腐」の略。ナスや里芋、こんにゃくなどでも同様に作る。 「田楽」は平安時代から盛んに演じられてきた芸能で、もとは田植えのときに神に豊作を祈って田の畦(あぜ)で舞った「田舞(たまい)」から始まったもの。 腰太鼓やささらを演奏しながら踊ると、さまざまな曲芸をするが、中でも高足に乗って舞う田楽法師の姿が、豆腐を串に刺した様子に似ているところから、この名が付いたとされる。 |
◆ 天狗になる(てんぐになる) |
高慢なこと。いい気になって自慢すること。 「天狗」は深山にすむという想像上の妖怪。赤い顔をし、鼻が異様に高く、山伏姿で、手には団扇や混合杖を持ち、翼があって空を自在に飛び回り、神通力をもつとされる。 その天狗の鼻が高いところからたとえていうもの。 また、実力もないのに自慢したり、怨恨や憤慨によって堕落した僧侶は天狗道という魔道に落ちると言われ、そこから、高慢になる、自慢することをいうようになったともされる。 |
◆ てんてこ舞い(てんてこまい) |
あわただしく動き回ること。うろたえて騒ぐこと。 「てんてこ」は里神楽や祭囃子などでたたく太鼓の音のこと。それに合わせてせわしなく舞う様子からたとえていうもの。「天手古」と書くのは当て字。 |
◆ 天王山(てんのうざん) |
勝敗や運命などが決まる重大な分かれ目。 本来は、京都府にある山の名前で、1982年(天賞10年)、羽柴秀吉が明智光秀を破った山崎の合戦は、交通の要衝であったこの山をどちらが支配するかが勝敗の決める鍵となったことから、重大な分かれ目、分岐点に意味で用いられるようになった。 |
◆ てんやわんや |
大勢の人が各自自分勝手にふるまい、混乱するさま・収拾がつかないさま。 各自、めいめいを意味する「手に手に」から転じた「てんでん」と、無茶苦茶の意の「わや」「わらく」が合わさってできた語。 てんやわんやは江戸時代から使われている俗語だが、1948年(昭和23年)に毎日新聞で連載された獅子文六の小説タイトルとして使われ、流行語となった。 |
◆ 電話 |
音声を電気信号に変換し、電話回線を通じて離れた場所にいる相手と会話ができる装置のこと。telephone。 1876年(明治9年)、グラハム・ベルによって発明された電話機が輸入され、当初はそのまま「テレフォン」と呼ばれたが、翌年に「電話」「電話機」と訳された。もともと話を伝える意の「伝話」「伝話機」という言葉があり、そこから当初は「伝話」「伝話機」とも表記された。 ちなみに、英語のtelephoneは語源となったギリシャ語のτ?λε (t?le) は「遠い」を意味し、φων? (ph?n?) は「声」を意味する。 |
◆ テロ |
政治的な目的を達成するために暴力や暗殺などの非人道的な手段を用いること。また、それをよしとする考え方。 英語の「テロリズム(terrorism)を略したもの。もとは、英語で恐怖を意味するterrorから。 現在は「テロを起こす」「テロ集団」のように、「テロ」の形で用いられることが多い。 テロリストの信奉者をテロリスト(terrorist)という。 |
◆ 天麩羅(てんぷら) |
魚介や野菜などに小麦粉を水と卵で溶いた衣をつけ、油で揚げた料理。天ぷら。 「てんぷら」の語源には、ポルトガル語で調理を意味する「tempero」からとする説と、スペイン語で天上の日(この日は鳥獣肉が禁止され、魚肉を揚げたものを食べる)を意味する「templo」からとする説がある。 はじめは小麦粉をまぶして上げる空揚げであったが、江戸時代ごろから衣をつけて揚げるものが登場し、江戸では鮨とならぶ庶民の食べ物となった。 「天麩羅」の表記は、天竺(てんじく)からきた浪人が売る、小麦粉(麩)の薄物(羅)をかけたものとして、江戸時代の戯作者で浮世絵師の山東京伝(さんとうきょうでん)が考案した当て字といわれる。 |
◆ 顛末(てんまつ) |
物事の始めから終わりまでの事情のこと。一部始終。 「顛」はいただきの意味から、物事の最初を表し、「末」は、すえの意から物事の最後を表すようになった。すなわち、「顛末」とは、始めから終わりまでの事の成り行きのこと。 |
◆ 店屋物(てんやもの) |
飲食店で作られた料理を出前で取り寄せたもの。仕出しとも。 「店屋」とは本来、宿駅に併設された物を売る店のことで、飲食店とは限らなかったが、近世に入り、居酒屋や一膳飯屋などの飲食店も店屋と呼ぶようになり、そこで作られた物を「店屋物」と言うようになった。 やがて、「店屋物を取る」など、飲食店から取り寄せる |
◆ てるてる坊主(てるてるぼうず) |
晴れることを祈って、軒下などにつるす紙や布でつくった人形。天気になれば、墨で瞳を入れたり、また神酒?(みき)?を供えて川に流したりする。 中国では雨が続くと白い紙で頭をつくり、赤い紙の服を着せて、ほうきを持たせた人形を、軒下につるして晴天を祈る風習があった。それが江戸時代に日本に伝わり、当初は「てるてる法師」と呼ばれていたのが、「てるてる坊主」になったという。 |
◆ 頭角を現す |
学問や才能などが群を抜いてすぐれ、目立つようになる。 頭角は、「頭の先」「獣の角」のこと。群れの中で、頭の先が他のものより抜きん出て、目立つことから生まれた語。 出典は、中国唐の詩人韓愈(かんゆ)の『柳子厚墓誌銘』から。 |
◆ 薹が立つ(とうがたつ) |
人間としての盛りが過ぎること。特に、結婚の適齢期が過ぎることをいう。 「薹」は大根や菜の花、ふきなどの花茎のこと。 薹が伸びると、固くなって食べ頃を過ぎることから、野菜などの花茎が伸びて食用に適する時期を過ぎたことを「薹が立つ」と言うようになり、その後、人間にも当てはめて用いられるようになった。 |
◆ 頭角を現す |
学問や才能などが群を抜いてすぐれ、目立つようになる。 頭角は、「頭の先」「獣の角」のこと。群れの中で、頭の先が他のものより抜きん出て、目立つことから生まれた語。 出典は、中国唐の詩人韓愈(かんゆ)の『柳子厚墓誌銘』から。 |
◆ 投機(とうき) |
短期的な将来の予測に基づいて物品や権利の価格の変動から利益を得ようとする取引のこと。 もとは仏教用語。禅宗で師家(しけ)と弟子の機(はたらき)が一つになること。また、修行者が大いなる悟りを開くことをいう。 転じて、機会をうまくとらえる意味となり、さらに、偶然の利益・幸運をねらう行為の意味を表すようになった。 |
◆ 東京(とうきょう) |
東京とは、日本の首都。1868年9月に江戸幕府の所在地の江戸を「東京」と改称された。 1868年9月に出された『江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書』において江戸の町奉行支配地域を管轄する東京府が設置されると書かれたことにより「東京」という名称が用いられることになった。これには、京都に対する「東の京」という意味という解釈と、「京」を「都」の意味に解して「東の京」という解釈がある。 |
◆ 灯台下暗し(とうだいもとくらし) |
身近なことは案外気付かず見落としがちなことのたとえ。 この「灯台」は、室内用の照明具で、上に油皿を置き、油に灯心を浸して火を灯す「灯明台(とうみょうだい)」のこと。その周りは明るく見えるが、真下は暗いことからたとえていわれるようになった。 |
◆ 満天星(どうだんつつじ) |
ツツジ科の落葉低木。春に若葉とともにすずらんに似た壺形の小さな白い花をたくさん咲かせる。暖地に自生するが、多く観賞用も栽培される。灯台躑躅。 「どうだん」は「とうだい(灯台)」が転じたもので、枝分かれしている様子が三本足の灯明台に似ていることにちなむ。 「満点星」と書くのは、中国の故事による。昔、太上老君が仙宮で霊薬を練るうち、誤ってこぼした玉盤の霊水がこの木に散って |
◆ 堂々巡り(どうどうめぐり) |
同じことの繰り返しで、話などが少しも進展しないこと。 「堂」は仏をまつる建物のことで、「堂々巡り」は本来は儀式や願掛けのために仏堂の周りを何度も歩くことを言い、そこからたとえて用いられるようになった。 |
◆ 道楽(どうらく) |
本職以外の趣味にふけって楽しむこと。また、その趣味。特に、博打や酒色にふけることをいう。 本来は仏教語で、仏道修行によって得た悟りの楽しみのこと。 また、「楽」は願うという意で用いられ、道を求めようとする願いを意味する場合は「道楽(どうぎょう)」といった。道を求めようとする願い、それによって得られた楽しみの意が転じて、趣味などに没頭して得る楽しみの意となった。 |
◆ 登竜門(とうりゅうもん) |
そこを通れば立身出世ができるといわれる関門。また、運命を決めるような大切な試験のたとえ。 中国の黄河中流の急流、竜門は大変な難所で、そこにたくさんの鯉が集まっても、この急流では大きな魚でも昇ることはできず、もしも昇れる鯉がいれば、竜になるであろうと言い伝えられたことから、困難に対する関門を言うようになった。 |
◆ 棟梁(とうりょう) |
大工の親方。かしら。また、一族・一門を率いる者。 棟(むね)と梁(はり)は建物の最も重要な部分であることから、中世に集団において要となる人、さらには集団を指導し、引っ張る統率者の意が生まれた。 その後、江戸時代になって、職能集団の長、特に大工のかしらを「棟梁」と呼ぶようになった。 |
◆ ト書き(とがき) |
芝居の脚本で、セリフ以外の動作舞台装置などの説明を記してある部分。 「…ト言って前を見る」のように、「…ト」の形で書かれることから。 |
◆ 木賊(とくさ) |
トクサ科の常緑多年草。茎が硬くざらついているので、古くから木材などの表面を磨くのに用いられる。 砥(と)ぐ草の意で、「とくさ」と名付けられた。「砥草」とも書く。 「木賊」の表記は漢名からで、木をそこなう、すり減らすという意味。 |
◆ とことん |
最後の最後まで。徹底的に。 もとは、日本舞踊で足拍子の音の形容。近世末には民謡の囃子言葉として使われるようになった。明治時代初め、官軍の東征に際して士気を高揚するために作られた軍歌「とことんやれ節」の最後に続く囃子言葉「とことんやれとんやれな」から、最後までの意味が生じるようになったといわれている。 |
◆ 心太(ところてん) |
テングサを煮溶かし、型に入れて冷やし固めたもの。心太突きで細く突き出し、酢醤油などをかけて食べる。 古く奈良時代にはテングサのことを「こころぶと」といい、「心太」の字が当てられ、やがて、それで作る食品のことも呼ぶようになった。 「太」が呉音で「たい」と読まれて「こころたい」になり、「こころてい」「こころてん」、さらに「ところてん」と音変化したものとされる。 |
◆ どさくさ |
混乱していて騒々しい状態。 一説に、江戸時代、佐渡金山の人夫確保のための賭博狩りのことを、「佐渡」を逆にして「どさ」といい、その時の賭場の混乱振りからのたとえとされる。「くさ」は語呂合わせのためにつけられた語といわれている。 また、「どさ」は「とっさ」から転じたとする説もある。 |
◆ どさ回り(どさまわり) |
劇団などが地方で興行すること。 「どさ」は田舎・地方をさげすんで言う語。一説に、語尾に「どさあ(…ということ)」を付けて話すことから、東北弁や東北地方の人を「どさあ」といい、それが「どさ」に変化したとされる。 また、江戸時代、佐渡金山の人夫確保の博徒狩りを「佐渡」の倒語で「どさ」といったことから、遠く離れた地の意味で用いられたとする説もある。 |
◆ 年増(としま) |
娘の年頃を過ぎた女性。 年上を意味する「としまし」「としまさり」を略していう語で、もとは遊郭で盛を過ぎた遊女に対して用いられていた。 江戸時代には20歳前後をいい、23歳から30歳くらいまでを中年増(ちゅうどしま)、それより上を大年増(おおどしま)といったが、現在では年増といえば、30歳から40歳くらいの女性を指す。 |
◆ 年寄りの冷や水 としよりのひやみず |
老人が年に不相応な無茶行動や、差し出た振る舞いをすることのたとえ。 江戸時代、夏になると冷たい湧き水を桶に汲んで、「ひゃっこい、ひゃっこい」と呼びながら冷や水売りが市中を売り歩いていた。老人がその冷たい水を飲んでお腹をこわすなどしたことから出た言葉。 |
◆ 塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ) |
ひどい苦しみ。大変な困難の中にあること。 「塗」は泥の水で、「炭」は火の意。すなわち、泥水にまみれて、炭火で焼かれるような、大変な苦痛ということ。 出典は、中国の『書経(しょきょう)』で、「有夏昏徳にして民塗炭に墜つ(夏の傑王は、不徳の暴君だったので、人民は泥にまみれ火に焼かれるような苦難を味わった)」という基づく。 |
◆ 土壇場(どたんば) |
せっぱつまった場面。進退きわまった場面。 「土壇」は斬首の刑を行うための、土で築いた台のこと。つまり「土壇場」とは死刑場そのものみたいなもので、そこに上がればもう死ぬしかないことから、最終的に追い詰められた状態のたとえに使用する。 |
◆ とちる) |
役者などが、セリフや演技を間違えること。もとは、江戸時代の浄瑠璃・歌舞伎の社会で用いられた。 「とち」は、室町時代からあわてふためく意で用いられていた「とちめく」の「とち」と同源で、「橡麺坊(とちめんぼう)」に由来する。 「橡面坊」は橡の実の粉を原料にした橡麺を作るときに使う棒のことで、せわしく伸ばさないと橡麺が固くなってしまうところから、あわてるさまやあわて者をたとえていうようになった。 |
◆ 嫁ぐ(とつぐ) |
女性が結婚して嫁になること。 「とつぐ」の「と」は陰部の意味の「処」を示し、その「と」を「つぐ(継ぐ)」ことからという。もとは男女が情を通じる意であったが、転じて結婚する意となった。 古くは男性にも用いられたが、のち、女性のみに用いられるようになった。 |
◆ とっくに |
過去のある時点でその事態が成立していることを表わす。ずっと前に。すでに。とうに。 語構成は、「とっく」に格助詞の「に」がついたもの。 「とっく」は、早いさまを表す形容詞「疾(と)し」の連用形「とく」が転じたもので、「早くに」といった意を表す副詞だが、「とっくの昔」など、名詞としても使用されており、これに格助詞の「に」を添えてはっきりと副詞化したもの。 |
◆ 咄嗟(とっさ) |
あっという間。ごくわずかな時間。瞬間。 もともとは中国語から。 「咄」は、日本では「はなし」と読んで落語のことをさしたりするが、本来は舌打ちをすることや、舌打ちの音を意味する。「嗟」は中国人が感動したときに発する舌打ちの擬音語。 つまり、「咄」も「嗟」一瞬の行為であることから、きわめて短い時間を「咄嗟」という。 |
◆ とてつもない |
道理に合わない。途方もない。並み外れている。 漢字では「途轍もない」と書く。 「途」は道、「轍」はわだちで、道に残した車輪の跡のこと。それが転じて筋道・道理の意味になった。 そこから、「とてつもない」は、筋道から外れている、道理に合わない |
◆ トトカルチョ |
サッカーの試合の勝敗を予想して行う宝くじのこと。1946年にイタリアでスポーツ施設の復興とスポーツ振興のために行われたのが始まり。日本ではサッカーくじとも呼ばれる。 もとは、イタリア語「totocalcio」。 「totocalcio」は、イタリア語でサッカーを意味する「calcio」と、賭金の合計を意味する「totalizzatore(語源はtotaleで英語のtotalに相当する言葉)」の合成語。 |
◆ とどのつまり |
結局。つまるところ。 「とど」とは、魚のトド(鯔)のことで、ボラが成長したもの。 ボラは出世魚で、成長するにしたがって、オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドなどと呼び名が変わり(地域によって呼び方は異なる)、トドはこれ以上大きくならないことから、「結局」「行きつくところ」などを意味する「とどのつまり」の語源となった。 |
◆ トナカイ |
シカ科の哺乳類。体高1〜1.5メートル。寒帯に群をなしてすみ、雌雄ともに角をもち、ひづめが大きい。北ヨーロッパでは古くから家畜化され、そり引きなどに使われる。 トナカイの語源は、アイヌ語での呼称「トゥナカイ」(tunakay) または「トゥナッカイ」(tunaxkay) に由来する。 漢字では「馴鹿」と表記するが、これは馴らされた鹿を意味する。 |
◆ とにかく |
何はともあれ。いずれにしても。ともかく。「兎に角」とも当てて書く。 古い語形は「とにかくに」で、最後の「に」が脱落して「とにかく」が成立した。 「と」はそのように、「かく」はこのようにの意味の副詞で、あれこれと、何やかやというのが本来の意味。 それが転じて、何かにつけて、いずれにせよという意味になった。 |
◆ 賭博(とばく) |
金品をかけて勝負ごとをすること。かけごと。ばくち。 「賭博」の「賭」には、かけをする、かけごと、ばくちなどの意味がある。 また「博」は、双六(すごろく)などのサイコロを用いた遊びを意味し、双六は一般に金品をかけて行われたことから、「賭」と同様かけごとやばくちなどの意味をもつ。 |
◆ とばっちり |
そばにいたために本来受けなくてもいい災いを受けること。また、その災い。「とばっちりを受ける」「とばっちりを食う」のように用いる。 そばにいて飛び散る水しぶきを受けることを意味する古語の「迸(とばし)る」が名詞化した言葉。「迸(とばし)る」は現代使用されている「迸(ほとばし)る」の語源でもある。 |
◆ ドーピング |
スポーツなどの競技で、運動能力を向上させるために不正に薬物を使用すること。 dopeは麻薬、興奮剤のことで、それを投与する意味で動詞としても用いられる。もとはオランダ語で、液体を意味する。 |
◆ トマト |
ナス科植物。また、その果実のこと。多年生植物で、果実は食用として利用される。南米ペルーの原産。蕃茄(ばんか)。赤茄子。西洋茄子。唐柿(とうし)。小金瓜(こがねうり)、珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)。 メキシコ先住民のナワトル語で黄金のリンゴを意味するトマトル(tomatl)が語源で、スペイン語でtomate、さらに英語のtomatoとなった。 日本には江戸時代中期に渡来したが、もっぱら観賞用で、食用としての栽培は明治以降。 |
◆ トライアスロン |
1日で、競泳、自転車、マラソンの3つの競技を順に行い、そのタイムを競う耐久レースのこと。その過酷さから鉄人レースとも呼ばれる。 トライアスロン(triathlon)とは、ギリシャ語で数字の「3」を意味するtriと、「競技」を意味するathlonの合成語。 この言葉自体は、具体的な種目名を示していないが、現在では、水泳・自転車ロードレース・長距離走(スイム・バイク・ラン)の3種目を、この順番で、それぞれの距離・コースを設定し1人のアスリートが連続して行う耐久競技を指す。 |
◆ 虎の子(とらのこ |
手放せない大事なもの。特に大切に持っているお金のこと。 虎は子供を非常にかわいがることからのたとえで、江戸時代より用いられるようになった。 |
◆ 虎の巻(とらのまき) |
門外不出の秘伝が書かれている書。転じて、教科書などに対する解説書、あんちょこのことをいう。 「虎の巻」とは、中国古代の兵法書『六韜(りくとう)』の一遍、「虎韜の巻(ことうのまき)」が略されてできた言葉だと言われる。 「韜」とは剣や弓などを入れる袋のことで、ここでは広く兵法の秘策を意味する。『六韜』は、「文韜」「武韜」「龍韜」「虎韜」「豹韜」「犬韜」の6巻から成り、このうち、特に「虎韜の巻」には、陣を張る法や包囲を脱する法など、兵法の極意が記されている。 そこから、「虎の巻」は秘伝書の意味で使われるようになり、さらには、教科書の解説本なども意味するようになった。 |
◆ どら焼き |
小麦粉に卵・砂糖を入れて、丸く焼いた皮二枚の間にあんを挟んだ和菓子。 「どら」とは、法会や船の出航の合図などに使う円盤状の打楽器「銅鑼(どら)」のこと。その銅鑼に形が似ていることからの命名。 江戸時代のどら焼きは、皮を一枚だけ用い、四角く折りたたみ、片面の中央はあんこがむき出しであったという。現在の二枚のカステラ風の生地で挟む方式は、1914年(大正3年)創業の上野の和菓子屋「うさぎや」にて考案され、全国に広まったとされる。 |
◆ 鳥居(とりい) |
神域を示すために、神社の参道入口に建てられた門。 語源については諸説あり定説はない。鶏の止まり木を意味する「鶏居」を語源とする説、止まり木(あるいは神前止まり木)説、「とおりいる(通り入る)」が転じたとする借字説や、古代インドの塔をかこむ垣の門をトラーナと呼ぶので形や音が似ているところからそれが原型だとの説がある。 |
◆ トリカブト |
キンポウゲ科の多年草。秋、深紫色の冠状の花が集まって咲く。かぶとぎく。かぶとばな。 秋、枝先に深紫色の花をつけるが、花の形が舞楽の常装束の用いる被り物の「鳥兜」に似ていることからこの名がある。 根には猛毒があるが、漢方では「鳥頭(うず)」「附子(ぶし)」といい、鎮痛剤や強心剤として用いられる。 |
◆ 取り付く島もない とりつくしまもない |
相手がひどく怒っていたり、つっけんどんだったりで、接しようがない。頼りにしてすがる所がなく、どうしようもない。 語源は、「航海に出たものの、近くに立ち寄れるような島はなく、休息すら取れない」といった状況のことで、困り果てる様子にたとえていう。 |
◆ 鳥肌が立つ(とりはだがたつ) |
驚きや恐怖などで、ぞっとすること。 「鳥肌」は鶏の毛をむしったあとのように、皮膚にぶつぶつができる現象で、寒さや恐怖などを感じたときに立毛筋が反射的に怒る現象からたとえていうもの。 近年では、感動したときに使うことが多くなっている。 |
◆ トロイの木馬 |
内通者や巧妙に相手を陥れる罠のこと。現代では、コンピューターウイルス・不正プログラムのこともいう。 大きな木馬の中に兵を潜ませ、戦場に放置すると、トロイ軍は戦利品として城内に持ちかえると、夜になって木馬の中からギリシア兵が現れ、ついにトロイは陥落したという。ホロメスの叙事詩『イーリアス』に描かれている。 |
◆ 泥仕合(どろじあい) |
本来の争点を忘れて、互いに相手の欠点や秘密を暴露し合うなど、醜く争うこと。またはその争いのこと。 もとは、泥にまみれて争うこと。特に歌舞伎で、舞台に泥田を作り、その中で立ち回りをすることをいう。泥の中でし合う(互いに争い合う)、の意で「泥仕合」と書く |
◆ 泥縄式(どろなわしき) |
事が起こってからあわてて対策を講じること。 「泥縄」とは、「泥棒を捕らえて縄をなう」ということわざの略。泥棒を捕まえてから縛るための縄をなうのでは間に合わないことから、行き当たりばったりのやり方をたとえていう。 |
◆ どろん |
姿を隠すこと。 歌舞伎の下座音楽で、幽霊や妖怪などが姿を消すときに、効果音として連打する大太鼓の音からたとえていうもの。古くは「どろどろ」とも。 |
◆ 団栗(どんぐり) |
クヌギ・カシワ・コナラ・カシなどの果実の総称。狭義にはクヌギの実を指す。 語源については諸説あり、独楽(こま)にして遊んだことから、独楽の古名「つむぐり」の変化という説がある。「つむ」は回転する意。 ほかにも、「とちぐり(橡栗)」の変化とする説や、「だんぐり(団栗)」の意からとする説などがある。 |
◆ とんちき |
ぼんやりしていて、気のきかないこと。また、その人。まぬけ。のろま。頓痴気。 「とんま」の「とん」に、「高慢ちき」などの「ちき」がついた語。 また、擬人化して「とんきち(頓吉)」といい、「きち」を倒置した語ともいう。 |
◆ どんちゃん騒ぎ |
酒を飲んだり、歌ったり踊ったりして、大勢で騒ぐこと。 「どんちゃん」は太鼓や鉦(かね)を同時にたたいたときの音の形容。歌舞伎や芝居などは、合戦の場の効果音として用いることから、転じて、鳴り物を鳴らして大騒ぎする意となった。 |
◆ とんちんかん |
間のぬけた言動をすること。また、物事のつじつまが合わないこと。 鍛冶屋の相槌を打つ音がズレると、「とん」「ちん」「かん」と聞こえることからいう。「頓珍漢」と書くのは当て字。 |
◆ とんでもない |
あってはならないさま。また、相手の言葉を強く否定して、まったくそんなことはないの意で用いる。 「とでもない」が変化した語。 一説には、「と」は「途」で、道筋、道理に外れるを意味する。その「途」に否定の「無い」をつけ、「道理から外れてひどい」「思ってもみない」などの意味で「途でもない」となり、「とんでもない」と変化した。 |
◆ どんでん返し |
話の展開や物事の形勢が、それまでとは正反対にひっくり返ること。 本来は、歌舞伎の舞台で、大道具を一気に90度後ろにひっくり返して、底になっていた面を立てて場面を転換することで、その仕掛けのこともいう。 もとは、中が自在に動く仕掛けの「強盗提灯(がんどうちょうちん)」に似ていることから、「強盗(がんどう)返し」といい、一説にはそのときに下座の鳴り物が「どんでんどんどん」と鳴っていたので、「どんでん返し」というようになったとされる。 |
◆ とんとん拍子 |
物事が滞りなく、順調に進むこと。 「とんとん」は、続けさまに軽くたたいたり、階段や床などを調子よく足早に踏む音の形容で、転じて、物事が順調に進むさまをいう。特に、舞の舞台で、拍子を取って「とんとん」と床を踏み、舞うところから、いかにも調子よく事が運ぶさまを「とんとん拍子」という。 「とんとん」は、続けさまに軽くたたいたり、階段や床などを調子よく足早に踏む音の形容で、転じて、物事が順調に進むさまをいう。特に、舞の舞台で、拍子を取って「とんとん」と床を踏み、舞うところから、いかにも調子よく事が運ぶさまを「とんとん拍子」という。 |
◆ どんぴしゃり |
完全に一致すること。予想が的中すること。 「どん」は意味を強める接頭語で、「ぴしゃり」は少しの狂いもなくピタリと合うさまを表す語。「どんぴしゃ」ともいう。 |
◆ 丼勘定(どんぶりかんじょう) |
おおまかに金の出し入れをすること。無計画にお金を使うこと。 「丼」は江戸時代に、お金や小物を入れて懐に持ち歩いていた大きめの袋のことで、この袋にお金を入れて、無造作に出し入れしたことから「丼勘定」という言葉が生まれたとされる。 また、大工やトビなどの職人が着けていた腹掛けの前の部分についたポケット状の物入れのことを「丼」といい、そこから無造作にお金を出し入れすることに由来する説もある。 |
◆ とんぼ返り |
地面を蹴って、空中で体を一回転させること。宙返り。また、目的地に着いたら、用事を済ませ、すぐに帰途につくこと。 飛んでいるときに、急に向きを変えるトンボの習性からいうもの。 ちなみに、芝居では「とんぼ」と略し、とんぼ返りをすることを「とんぼを切る」という。 |
◆ とんま |
愚かなこと。まぬけであること。また、その人。 鈍い、まぬけなさまをいう形容動詞「とん(頓)」の語幹に、状態を表す接尾語の「ま」がついた語。 また、「のろま」転じたとする説もある。「頓馬」は当て字。 |
◆ 問屋(とんや) |
生産者から商品を仕入れて、小売業者に卸売りする商店。 平安時代末期、荘園領主の命を受け、港湾などに居住して、主に年貢米の輸送や保管、船の手配などをする人を「問職(といしき)」といった。 鎌倉・室町時代になると専業化し、中継ぎ取引や船商人への宿所の手配などもする「問丸(といまる)」へと発展。さらに陸上輸送なども行うようになると「丸」が「屋」となり、「問屋(といや)」と呼ばれるようになった。江戸時代になり、「問屋(とんや)」と音変化した。 |
◆ 唐辛子(とうがらし) |
ナス科の一年草。果皮や種子の辛味が強く、香辛料や薬用にする。南アメリカの原産。日本には16世紀に伝来。 「唐辛子」の由来は、「唐から伝わった辛子」の意味。 しかし、この「唐」は外国という意味で、中国から入ったものではない。豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに持ち帰ったとも、あるいはポルトガル人がもたらしたともいわれ、高麗胡椒、南蛮胡椒ともいわれた。 |
◆ 道具(どうぐ) |
物を作ったり、仕事をしたりするのに用いる種々の用具。 元来は「仏道の具」のことで、仏道修行のための衣や鉢、錫杖(しゃくじょう)など、六物(ろくもつ)といわれる必需品や、密教の修法に用いる宝具などをさした。 そこから一般化し、武家の「道具(槍・刀など)」「大工道具(鉋・金槌など)」、芝居の「大道具」などをさすようになった。 |
◆ トローチ |
口の中でなめて溶かしながら服用する、円形の錠剤。のどや口腔の治療に用いる。 トローチ(troche)の語源は、ギリシア語で小さな車輪を意味する「trochos」に由来する。 |
◆ 杜氏(とうじ) |
酒づくりの職人の長。また、その職人。 杜氏は、もともと刀自(とじ)から出た語といわれる。 刀自は「戸主(とぬし)」が変化した語で、家事を取り仕切る女性の意。古く酒造りに女性が関わっていたことの名残といわれる。 「杜氏」は当て字。 |
◆ 頭取(とうどり) |
一番上に立って指図をする人。特に銀行における肩書の一つで、一般の会社の社長に相当する役職。 語源については2つあり、一つは「筆頭取締役」の略称に由来するという説がある。 もう一つは、雅楽の演奏における「音頭取り」が縮約して「頭取」となったとする説がある。 幕末・明治初期に様々な機関の長の名称に使用されたが、次第に廃れ、銀行に限定されるようになった。 |
◆ 屠蘇(とそ) |
元日に飲む祝い酒。屠蘇散を酒やみりんに浸したもので、一年間の邪気を払い、寿命を伸ばす効果があるとされる。 語源としては、鬼気を屠滅し人魂を蘇生させるからとか、「屠蘇」という名の草庵に住む人が除夜に里人に薬を配り、元日に飲ませた故事からとかの説がある。また、西域の薬草名からともいう。 |
◆ 取り締まる |
管理・監督する。違反行為がないように監視する。 江戸時代に現れた語で、当初は態度や服装などに緩みがなく引き締まっている意を表す自動詞だった。やがて、管理・監督する意を表す他動詞に展示、自動詞は使われなくなった。 現在ではもっぱら「違反を取り締まる」のように、違法行為の監視のときに使われる。 |
◆ ドン |
首領。親分。組織の長として絶大な権力をふるうものをいう。 「ドン」はスペイン語に由来する。もとは貴族などの名の前につける敬称であったが、そこから権力者の意味に転じた。 日本では1980年代に使われるようになり、似たような意味の「ボス」よりもスケールの大きさを感じさせる語として定着した。 |
◆ とんずら |
逃げること。悪いことをして逃走したり、嫌なことから逃避したりする場合に使われる。 とんずらの由来は、「とん」は「遁」、「ずら」は「ずらかる」の略。 「遁」は「遁走」「遁世」などに使われる字で、逃げる意味。 |